王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第4章

真剣会議

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証拠品は一定の範囲内からは出せないように魔法を施してファクター公爵様に渡した。


中央から証拠品を持ってこいと言われたら魔法を施したノヴァが行かないといけないという手間があるけれど、油断ならない相手なので慎重に厳重にことを進めた方がいい。

正直血の付いた骨何て所持していたくないからファクター公爵が引き取ってくれて良かった。





「オルフェウス伯爵の所はどうだろうか。」


「連絡を受けすぐに調べさせておりますが、我が領には今の所それらしき魔獣の群れは確認できておりません。」


「うむ。グリシャム子爵はどうだ。」


「我が領も連絡を受け直ちに調査に向かわせましたがそれらしきものの報告は今のところ受けておりません。」



公爵の質問にオルフェウス伯爵とグリシャム子爵は首を横に振った。

被害がないようでなによりであるが、数分後にどうなるか分からない状況の為楽観視はできない。



オルフェウス伯爵家はナイ様のご実家だし、グリシャム子爵は学生の頃の担任をしてくれた先生のご実家。

此処に集まっている当主達はアーバスノイヤー家と深めなお付き合いのあるお家だし、家からは出たけれど僕が関わっているのでとーさまは国と僕達の間のやり取りをしなくちゃいけなくなっている。


領主としての仕事に近衛騎士団長としての仕事…その上にこんな問題まで背負わなくてはいけないだなんて、僕は自分の父の疲れきっている顔を直視できません。




最近は問題続きで、領地のことはにぃ様がやっているって聞いたけどにぃ様だって騎士団の仕事もある。
それに本来裏家業は僕だけがやればよかったのに、にぃ様がこんな仕事を僕にだけ背負わせるのは嫌だって言ってくれて裏家業の仕分けもにぃ様がやってくれている状況だ。








「…ノヴァ。」


「俺はルナイスと一緒に居れるなら構わない。それにこの状況を放って呑気に旅行を続けてられないし、楽しんで旅行もできないだろう。」



こそっと隣に座るノヴァの名前を呼ぶと、ノヴァが僕の耳に口を寄せて小さな声で甘やかしてくれる。

ぎゅーっと抱き着きたいところだけど、此処は真剣な話し合いの場なので我慢して…




「発言をお許しください。…現地の調査についてですが僕達に任せてもらえないでしょうか?」


この場では僕達が一番家格の低い人間になるので、こういった場では発言にも許可を得ないといけないのは少し面倒に感じる。

しかしこの場にいるのはほぼ身内ばかり。

僕を嫌悪する人間がいないので、会話はスムーズに進んでいく。




僕がノヴァにおねだりしたのは新婚旅行を一旦忘れて、問題の調査に取り組むこと。
名前を呼んだだけで理解してくれるノヴァすごい。


ノヴァは僕がまだ言葉を喋れない赤ん坊の頃からお話をしているので、今では魔法を使わなくてもノヴァは僕の言いたいことをほとんど分かってくれる。

会話が最低限で済むので僕としては助かるのだけど、テトラ君にそれでいいのかっと聞かれたことがあってからなるべく言葉を発して会話をすることにしている。


確かに声を出してノヴァとお喋りするのもすごく楽しいし。






っと、思考がまったく別方向へいってしまったが、ようは色んな仕事があって忙しい当主様達よりも新婚旅行中で時間のある僕達が調査をした方が効率がいいという提案をしたのだ。



「お前達は新婚旅行中だろう。」

ヒュー様が眉間に皺を寄せて僕達を睨んでくる。

怖い顔をしているが、あれは新婚旅行中に仕事をするな。危ないだろうが。って意味があるって僕は理解している。






「こんなやばそうな問題があるって知って呑気に旅行できません。それに偶然かもしれないですけど僕達の馬車は一度奴等に襲撃を受けています。こちらの様子を見ていたようですし、僕達がこの件に関わったことは相手も分かっているでしょうし、この先安全に旅行ができるとも思えません。」


凄んでくるヒュー様を真っ直ぐに見つめて言い返すと唇をぐっと噛んで難しい顔をするヒュー様。

絶対「確かに」って思っているに違いない。








「と…ちち、うえにはこの問題を早急に片づけてもらうため近衛騎士団の任務に専念してもらいたいですし、各当主様方もそれぞれの重要な仕事があります。ヒュー様も王国騎士としての仕事に領地のこともある。現地の調査をするのに僕以上の適任者がおりますか。」



いつも通りとーさまって呼びそうになったけれど、すぐに呼び慣れない父上と言い変えた。

とーさまとヒル侯爵やヒュー様にはバレてしまっているだろうが、セーフだセーフ。




「そうだな。では君達に現地の調査を任せよう。必要であらば各家の警備隊を自由に使ってよい。皆もそれで良いだろうか。」


「「「「問題ない(ありません)」」」」



とーさまは不満気な顔をしているが、僕の提案以上の案がないのか渋々と頷いていた。

後でしっかり話しましょうねっと視線で伝えるが伝わっただろうか?





とりあえずこの件は早急に対処するべき重大事件として、国の体制が整うまでは一時的に僕達が中心となって調査と対応をすることとして会議は終わった。







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