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第5章
帰って来た大切な人達
しおりを挟む手紙をホルス様に託した日からほんとにすぐ、にぃ様とヒュー様とノヴァがお昼前のアーバスノイヤー家門前に現れたと報告を聞き、食堂へ向かっていた足をすぐに玄関へと向けた。
「っにぃ様!!!」
「ルナイス!」
早足で玄関に向かっていると既ににぃ様達が居て、マナーとかそういうの全部一旦捨てて全速力で走り、にぃ様に飛びついた。
抱き着いたにぃ様からは砂埃のような、錆びついた鉄のような…お世辞にも良いニオイとは言えないにおいが漂ってきた。
恐らく洗浄魔法は使っていたのだろうが長い事ゆっくりとお風呂に入ることもなかったろうし、身なりに気を遣う余裕はなかったはずだ。
そんな過酷な戦場の様子がそのにおいから感じ取れて、視界が歪んできたのでさらに強くにぃ様にぎゅっと抱き着く。
「ノヴァいっぱい食べてね」
「食べる。食べるからルナイスもじっと見てないで食べろ」
「うん、食べるよ」
食堂に移って魔力を使い過ぎて倒れかけたと聞いたノヴァが魔力豊富なご飯を食べる姿を凝視する僕。
ノヴァはこっちを見ないで僕にも食べてくれって言うけど、もうちょっとノヴァが大丈夫にならないと僕は自分の食事を開始するつもりはない。
「それで?…お前は俺達が居ない間に国際会議に駆り出されて?命狙われて?どういうことか説明してもらおうか」
「恐れながら、まずは湯に入り身を清めてからお話をされてはいかがでしょうか」
食べながら鋭い目で僕を睨みながら詰め寄ろうとするヒュー様に屋敷に戻ってきてたワイアットがぴしゃりといい放つ。
ワイアットに言われてはヒュー様もにぃ様も何も言えず、ご飯を口に掻き入れるとささささっと食堂を出ていかれた。
ノヴァは僕の状況を知っているから、落ち着いて食事をしてくれていて、大分顔色が良くなったように思うので僕も食事に手をつけた。
半魔であるノヴァの魔力切れは通常の人よりも危険なはずだから…すごく心配する。
「全部お話したの?」
「いや…黒幕の話はしていない。そんなことはあの人達からしたらどうでもいいことだろう?」
ノヴァからの返答に少し考えて確かにと頷く。
にぃ様もヒュー様も相手が誰であろうと関係なく、僕を害した人物がいるってことがだめだから相手は国ですよって言っても関係ない気がする。
でも、僕が毒矢にやられて意識を失ってたなんて知られて…ちょっと恥ずかしい。
「やっぱりとーさまに特訓付き合ってもらお」
「…あんまり無茶はするなよ」
「うん。ほどほどにね」
「あぁ」
二人でふふっと穏やかに笑いながら食事を終えて、身なりを整えて現れるだろうにぃ様達の為に談話室へ移った。
ノヴァも着替えてくると言ってアーバスノイヤー家にあるノヴァの部屋へ。
未だにアーバスノイヤー家に自分の部屋があることを不思議がっている様子のノヴァだけど、とーさまはもちろん使用人ですら誰一人、家にノヴァの部屋があることに疑問を抱いてなんかいない。
早く慣れればいいのにっと思いながらも、気恥ずかしそうなノヴァを見るのは面白い。
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