僕と先生との物語

げんき

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小学校

小学5年生【夏休みの宿題④】

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それから残りの時間ずっとその姿勢で僕たちは教室に居ました。

そして、みんな帰る時間になり挨拶をして帰って行きます。

でも、僕たち3人はまだ解放されてません。

僕は気を付け、他の2人は正座したままです。

勝手に動くことは、この状況ではできません。



しばらくすると吉岡先生が話しかけてきました。

先生は「ちょっと離れるけど、そのまま待っときなさい。」と言い、教室を出て行きました。

まだ許してもらえない状態、いつ許してくれるかわからない現状に、心はボロボロです。

いつになれば許してもらえるんやろ。
何か僕から言わないとアカンのかな。
もうずっとこのままやったらどうしよう。

いろいろと考えるものの、何も良い案は出てきません。

先生の帰りを待っている間も特に3人の中で会話も無く、ただただ無言の時間が過ぎて行きました。



それから15分ぐらいして、先生が戻ってきました。

先生は入ってくるなり「反省したか?」
と聞いてきました。

僕たちはそれぞれに返事をし、頷きました。

先生は「反省したならとりあえず楽な姿勢で話を聞きなさい。」と僕たちに言いました。

正座をしていた2人は足を崩し、起きあがろうとしましたが、結局1時間程その体勢だったため、足が痺れて起き上がれてませんでした。

その様子を見て「椅子に座れるか?」と2人に言っていました。

2人は足を引きずりながら椅子に座ってました。
僕は先生に「座らんのか?」と聞かれましたが、お尻が痛くて座りたくありませんでした。

「このまま立ってても良い?」と先生に聞き、了承をもらい立っていました。



「大丈夫か?先生こんな何発も思いっきりビンタしたことも、こんな何回も木の棒でけつバットしたことも今までにない。痛かったやろ?」

僕は「ホンマ死ぬかと思った。」と言いました。

市川君も「痛いのはもちろんやけど、めっちゃ先生怖かった。」と伝え、岩戸君は「俺も痛くて泣いたけど、2人への罰はヤバかった。」と先生に言いました。

「何でそこまでやったと思う?」

「宿題めっちゃサボったから。」

「それだけじゃない。前にもそれぞれ同じ話して先生にしばかれて怒られてないか?人間やから失敗もする。でも、同じことを繰り返したらアカンねん。前にあれだけ怒ってもわからんねんやったら、先生もっとこの3人に厳しくしようって思ったんや。」

僕たちはただじっと聞くことしかできなかった。

「3人共よく耐えた。めっちゃ辛かったと思う。反省してるのもわかる。ただ、これで終わりじゃないねん。今日から少しずつ夏休みの宿題全部終わらすで。全部終わるまで毎日放課後残ってやるんやで。」

「嘘やん。マジで?」

「当たり前やろ。」

それを聞いた市川君は「こんなことなら、初めからちゃんとやれば良かった。俺ら叩かれ損やん。」と嘆きました。

「今回のことちゃんと反省して次に繋げてくれるなら、先生もここまで怒った甲斐があるんやけどな。これからの3人次第やな。ただ、一つわかったのは3人には他の子たち以上に厳しくしないと、3人には響かんってことやな。」

市川君が「これから俺らに対して、先生より厳しくなるってこと?」と確認しました。

「そうでもしないと、またいらん事するやろ。ただ、3人共今日は良くがんばった。もうそれぞれ家にも事情話して連絡してるから、今日はもうちょい残って宿題やって帰るで。先生3人が終わるまでずっと横に居てるから。」

「嫌や。ちゃんと残るし、自分で宿題するから。先生横におらんでも大丈夫やから。そんな僕らのこと信用無いん?」

「無いと言うか、宿題難しかったやろ。だから自力で宿題できなかったんやろ?」

「そうやけど…。先生居てたら気抜かれへんやん。」

「気抜かんで良いねん。さあ、始めるで。」



そう言われて、諦めて早速僕たちは宿題に取り掛かった。

今回の事で怒られてしばかれて、めっちゃ痛くて、先生もめっちゃ怖かった。

もうあんな目に遭いたくないって本気で思って、本気でがんばろうと思った。
それから毎日、宿題が終わるまで放課後1時間残された。



3日後に岩戸君が一番に終わり、岩戸君が抜けた。

めっちゃ羨ましかったが、しょうがない。

それからは市川君と放課後残ってやった。

ここで初めて知ったが、市川君賢い。
どんどん問題を解き、あっという間に次の問題に進んでいく。
あんなにあった宿題の残りも簡単に終わらせて言った。

岩戸君が抜けてから5日後、市川君も無事に宿題が終わった。



その間も吉岡先生は僕に付きっきりで丁寧に教えてくれていたが、全然進まない。

先生とのマンツーマンでの毎日の勉強が2週間続き、しんどくなってきた。
言えば怒られるかなぁと思いながらも先生にお願いをしてみた。

「もう無理。算数は諦めて良い?他はちゃんとやるから。」

別室ではまだ2年生の勉強をしている僕が、5年生の宿題を理解することはだいぶ難しかった。

特に算数についてはお手上げだったので、僕は算数のワークだけでも免除してもらおうとお願いした。

先生ももちろんそんな状態なのはわかっているので、交換条件を出してくれた。

「別室での授業で、5日で九九全部覚えて言えたら算数のワークは無しにしてもいいよ。」

「ヤッター。それなら九九覚える。後6と7と8の段覚えないとアカンねん。」

「じゃ、5日後チェックするで。」



そう言って、実際に5日後確認のテストをされた。

別室で必死に覚えたこともあり、ちゃんと全て言えるようになっていて、無事オッケーをもらい、算数のワークは免除。

それでも、全て終わるのに1カ月もかかってしまった。
何とか時間はかかったが最後までやり切ることができた。

ちなみに読書感想文と生活日記も免除してくれました。




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