僕と先生との物語

げんき

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中学校

中学2年生【先生の家から登校8日目】と【携帯事件①】

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8日目の火曜日。
朝から「わかってるな。」と確認され、教室に向かった。

僕は昨日GETした携帯を早速見た。
この約1週間、ずっと携帯を触っていなかったのでだいぶメッセージが溜まっていた。
少しメッセージを見たところで、もうすぐ高橋先生が上がってくる時間になる。
僕は一度携帯を鞄に入れた。



それから社会の授業、体育の授業を受けた。

久しぶりの体育ではテンションが上がり
集合の笛が鳴っているのにいつまでも走り回っていて井上先生にげんこつされた。

でも、それ以上怒られる事はなかった。



3時間目の家庭科。
僕はコソッと授業中に携帯を出してメッセージのチェックをした。
そしていろんな人に返信していった。



その中に同じクラスの坂本君からのメッセージがあった。

坂本君とは去年から同じクラスで、英語の授業中にケンカになってから仲良くなっていた。

別室にずっと通っていた時に心配してメッセージを送ってくれていた。

僕はそのメッセージにも返信した。



すると坂本君の席の辺りから携帯の音が鳴った。

その音を聞いて、家庭科の小寺先生はすぐにその近くに行った。

「この辺りで携帯の音したけど、持ってきてるん誰や?」
しばらく沈黙が続く。

「正直に言いや。誰も出てこないなら全員の持ち物検査してもらうで。」

小寺先生がそう言うと、坂本君が「僕持ってきてます。すみません。」と言って鞄から携帯を出した。



そのまま坂本君は小寺先生に連れられて降りていった。

僕は自分が送ったメッセージが原因だと思った。

でも、黙っていて言い出せなかった。



そして、休み時間。
僕は市川君を呼んで、人気のない場所に行った。
そして、事情を説明した。

「携帯なったタイミング的にも僕が送ったメッセージが原因やと思う。どうしよう。」

「メッセージこっちのは消せても、坂本君の方のは消されへんもんな。」

「バレたらマジで殺される。何か良い方法ないかな?」

「考えてるけど思いつかん。」

「とりあえず携帯取りに帰った事を先生知ったら市川君も怒られるからそれは内緒にしよう。僕が勝手にやった事にするわ。市川君の携帯一応誰かに預けといた方が良いかも。」

「わかった。とりあえず預けてくるわ。何か良い案があれば言うから。」

話をしてもやっぱり解決しなかった。



そして、次の授業が始まってしまった。
4時間目は数学。
何も手につかない。

授業担当の先生は「ノート書いて。今がんばらないとアカン時やろ。」と言ってくるが、それどころではない。

結局、何もしないまま時間が過ぎていった。



そして、授業が半分ほど過ぎた頃に高橋先生が教室に来た。

「げんき携帯持って出ておいで。」

話し方は普通だが、発している雰囲気は誰が見ても怒っているのがわかる状態。

他のクラスメイトが「げんき大丈夫か?何してん?」と聞いてくれたが、僕は何も言わずに、携帯の入っている鞄を持って外に出た。



そのまま相談室に入れられた。

「何で呼ばれたかわかるよな?携帯出して。」

僕は素直に携帯を出した。

その時点で、ビンタが飛んできた。

でも、先生は何も言う事なく携帯を開いて中身を勝手にチェックし始めた。



「携帯持ってきてるのも意味わからんけど、何で授業時間中にメッセージ送ってるんや?」

僕は何も答えれなかった。

するとまたビンタされた。

「もういい。ちょっとここで反省して待っといて。」

そう言うと先生は出ていった。




僕はこの後、怒られることが怖くて泣いていた。
いくら待っても先生は帰ってこない。

どうせ怒られるなら早く怒って欲しい。
この待たされている時間が怖くて、どんどん不安になる。


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