僕と先生との物語

げんき

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中学校

中学2年生【定期テストでの出来事②】

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僕は家に帰ると自分のベッドに寝転んだ。

いろいろ考えた。
確かに消しゴムテスト中に千切って投げたのはアカンかった。
でも、やってない事をやったって言われたのはやっぱり腹が立った。



その日の夜、松井先生が来た。
でも、僕は無視をした。
松井先生はお母さんとだけ話をして帰って行った。



次の日の朝、お母さんに朝早くから起こされた。

「今日もテストやろ?」

「もう学校行かん。」

「松井先生、今日必ずテスト受けに来てほしいって言ってたで。昨日の事聞いたけど、ちゃんとアカンかった事謝っておいで。」

「消しゴムは投げたけど、中村さんには当ててないもん。」

「投げたやつがたまたま当たってしまったんかもしれんで。その子も当たってなかったら当たったって言って泣かんと思うねん。」

「それもわかるけど、もうどうでもいい。全部嫌なったから、もう行かん。」



お母さんは学校に電話を入れていた。

「一応、げんきが行きたくないって言ってるとは伝えた。それでも松井先生はがんばって来て欲しいって。行けるなら行っといで。」

そう言ってお母さんは仕事に行った。



僕はそのままベッドに潜り込んでた。

9時ぐらいにインターホンが鳴ったが、出なかった。
その後すぐ家の電話も鳴った。
でも出なかった。
さらに、僕の携帯にも電話があったが出なかった。



そして、そのまま夜になってお母さんが帰って来た。
お母さんの横には松井先生が居てた。

松井先生は僕の部屋に来た。

「何で今日来なかったんや?」

「行きたくなかった。」

「何がそんなに引っかかってるんや?」

「確かにテスト中に消しゴム投げたのはアカンと思う。でも、やってない事をやったって言われるのは納得できやん。」

「当てたろうと思ってわざとやってないのはげんきの話を聞いてたらわかる。でも、当てるつもりなかっても当たってしまったんやったらどうや?」

僕は黙ってた。

「げんきが中村と逆の立場やったらどうや?しっかりその日のために準備したのに、途中でトラブルに巻き込まれて自分の力発揮できなかったらどんな気持ちになる?」

「嫌やと思う。」

「中村もげんきがわざと消しゴム当てたとは思ってない。でも、げんきが遊んで投げてたのが当たったから嫌やったん違うかな?わかるか?」

「何となく。」



「じゃ例えば、げんきが何気なく振り返った瞬間に、人に当たったらどうする?」

「謝る。」

「でも、それもわざとじゃないやん。」

「自分が振り返ってぶつかってんやったらわざとじゃなくても謝る。」

「それと一緒やと思うねん。げんきは棚に消しゴム入れてた。でも、他の人に当ててしまったら、やっぱり謝らないとアカンと思う。」

「うん。」

「げんきが取った行動で嫌な思いをした人が居るなら、やっぱりその行動は見直していかんと。とりあえず明日学校おいで。」

僕は「行けたら行く。」とだけ伝えた。



松井先生の言いたい事はわかった。

でも、素直になれない自分が居てた。











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