僕と先生との物語

げんき

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中学校

中学3年生【遅刻交渉②】

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次の日からまた遅刻しないようにがんばった。
朝から高橋先生はちゃんと電話をくれた。
寒くて布団から出たくなかったが、怒られたくないのと先生の期待に応えたくてがんばった。

その週は遅刻する事なく登校できた。

高橋先生も他の先生も褒めてくれた。



ただその次の週の月曜日。
週明けはなかなか起きれなかった。
電話もしてくれていたが、電話にも気付かずに寝てしまっていた。

結局、起きた時にはもう昼前になっていた。
そこから遅刻して学校には向かった。



学校に着くといつも通り遅刻証明書をもらいに職員室に行く。
高橋先生は授業中で居なかった。
代わりに井上先生が出てきてくれた。

「先週はがんばってたのに、起きられへんかったんか?」

「うん。」

「高橋先生から朝電話あったやろ?」

「気付かんと寝てた。」

「明日からまたがんばりや。」

そう言われて教室に行った。



クラスでは高橋先生の英語の授業があった。
僕は少し気まずいなと思いながらも教室に入った。

「ごめん。遅刻した。」

「1回目な。明日からはまたがんばりや。教科書とノート出して用意しといで。」



僕は言われた通り用意した。
遅刻はしたが、先生は約束通り僕に罰は与えなかった。

そのいつもとは違う様子を見てクラスメイトが驚いていた。



市川君は「げんきビンタ無しなん?」と聞いてきた。

「高橋先生と約束して、契約交わしてん。でも、失敗やったかも。」

「どういうこと?」

「ビンタ無しにしてってお願いしたら、オッケーくれた。ただ、週に3回したら呼び出すって。」

「それで1回目って先生言ってたんや。」

「うん。まだ月曜日やのに、ヤバイかも。」

「とりあえずそれでやるって言ってしまったならやるしか無いな。」

「うん。」



次の日、また高橋先生は電話で起こしてくれた。
でも、電話に出れなかった。

結局2日連続、寝坊して遅刻してしまった。



学校に行き、授業を受け帰ろうとしていると高橋先生から声をかけられた。

「げんき早くも遅刻2回目やな。次したら、わかってるな?」

「うん。こんな契約したこと後悔してる。まだ火曜日やのに。無理かもしれん。」

「自分で言い出した事やろ。ちゃんとやり切れ。」



そして水曜日。
高橋先生の電話には気が付かず寝てると市川君が朝からインターホンを何度も鳴らしてくれた。
それに気付き、何とか遅刻せずに登校できた。

市川君に何度もお礼を言った。



木曜日。
高橋先生からの朝の電話にも気が付き起きれた。
この日も市川君は迎えに来てくれていて一緒に学校に行った。



金曜日。
高橋先生からの電話に気付かずに寝てた。
市川君もインターホンを鳴らしてくれた。
そして、その音に気が付き起きた。
ただ、気が付き起きた時には登校しなければいけない時間の5分前。

終わった。

間違いなく間に合わない。

しかも市川君も巻き込んでしまった。



市川君はまだこの後、受験も控えている。

僕に付き合っている場合ではないと思い、お礼を言って先に学校に行ってもらおうと声を掛けた。

「ホンマにごめん。起こしてくれてたのに、起きれやんくって。しかも、市川君まで巻き込んで遅刻させてしまった。ごめん。」

「げんき遅刻できやんって言ってたから。全然良いよ。待ってるから行こう。」

「でも、市川君まだ受験もあるし授業大事やと思うから先に行ってて。」

「げんき1人で学校来れるん?ここで休んだらそれこそ後悔するで。」

「行きたくないけど、行かないとアカンのはわかってるから。大丈夫。ありがとう。」

「まぁ、もうどうせ間に合わんし、やっぱりげんきの事が心配やから待っとくわ。一緒に行こう。早く用意して来て。」

「うん。」



僕は用意をした。
そして、市川君と一緒に学校に向かった。

「何でそんな契約してもたんやろ。いけると思ってんけどな。」

「週2回まで遅刻許してくれるなら確かにこの契約魅力的に思うわな。」

「うん。それで毎朝のビンタ無くなるならラッキーと思ったけど。週に3回遅刻したら呼び出すって言ってたけど、またボコボコにされるんやろうな。ホンマに憂鬱や。」

「そうやんな。遅刻とかもいつも厳しいから、そんな条件の中で遅刻してしまったらヤバイかもな。」

「3回したら容赦しやんって言ってた。ホンマに行きたくない。どうしよ。」

「でも、これでサボって行かんかったらもっと怒られるやろ。」

「うん。それはホンマにヤバイと思う。」

「じゃ、やっぱり行くしかないな。一緒に謝るから。」

「ありがとう。この嫌な感じ久しぶりやわ。最近、ちゃんとがんばってやってたから呼び出される事なかったし。」

「確かに。げんきがんばってたもんな。俺も最近そんなん無いから、思い出したら恐怖やな。」

「うん。」



そんな話をしながら歩いていると学校が見えた。
もうしょうがない。

2人で職員室に行った。

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