3 / 11
全部俺の思う通りにしてやる③
しおりを挟む
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
📌【注意書き】
※この作品には以下の描写・要素が含まれます。苦手な方はご注意ください。
・執着愛/独占欲/ヤンデレ傾向
・恋人間での感情的暴力(言動含む)
・軽度の監禁描写
・依存関係の描写(情緒不安定・精神的揺さぶり多め)
・キャラクターの葛藤、心情の乱れを強く描いています
💥救いがあるとは限りません、自己責任でご覧ください。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
東雲祐介×澤端隼人
目が覚めると、朝になっていた。
「体調はどうだ?…薬は抜けたか?」
「あ…昨日はありがとう…」
台所で何かしながら隼人に背を向け喋る。
「珍しいな、お前が男に襲われんの」
「…初めてだった、すっげー怖かった…動けなくてもう、終わったって思った」
「俺の事は?」
「…祐介の事?」
「怒ってないのか?」
「なんで怒る理由がある?俺を助けてくれたし、今までの分はチャラだろ」
「ふーん、お前案外優しいんだな」
「は?何それ、俺が優しくないみたいじゃん」
「俺はお前が弁当買ってくるやつとしか思ってない」
「は?ひでぇな」
「あーそうだ、今日今から花見行くぞ」
「は?」
「お前が元気そうだから」
そう言いながらお弁当を袋に入れて出かける準備をする。
「え、待って俺なんもしてないんだけど」
「後、お前待ち」
「え、急ぐ」
慌てて隼人は出かける準備を始める。
「ねぇー、祐介俺なんか持っていくもんある?」
「お前だけいい」
ゆるーく返事をし走って隼人を待ってる祐介の元に行く。
「ねぇ、花見ってどこ行くの?」
ドアの鍵を閉める。
「少し遠出をしようかと思ってるけど」
「ドライブがてら良いじゃん!」
祐介の車に乗り、目的地までドライブをする。
「隼人はさ、今俺の事どう思ってんの?」
「んーどう思ってる…なんか真剣に俺の事考えてんのかなーとは思ってる、けど俺の自体はよく分からないかな」
「ふーん」
「だって、俺に薬使ってんの俺がはっきりしないからでしょ?」
「なんだ、知ってたんだ」
「そりゃー酒だけあんなになったら、おかしいと思うでしょ?」
「それでも、俺にノコノコ着いてきたわけ?……俺と離れられないんだ」
「は?別に…そんな事言ってない」
少し頬を赤らめ窓の外を見る。すると急に車が止まった。
「ん?」
「ここ、景色いんだ」
へぇ…と振り向いた瞬間余りの近さに祐介の唇と触れた。
「え…あ、ごめん」
「なんで謝んの?」
「あ…いや……事故ったから」
「事故ったって何が?」
「え、だから…き、キス…」
思わず口元抑えながら再びヒュっと窓の外を見る。
「ねぇ、隼人こっち向いてよ」
顔を真っ赤にしている隼人。
「付き合ってないからそんなに恥ずかしいの?それとも俺だから?」
「ちが…う……き、緊張してるんだよ、俺」
何故か隼人は心がザワザワ苦しい様な祐介にも聞こえそうな心音の音が耳に響く。
「今更?何に緊張してんの?」
「いや…ほらこうやって出かけるの久々じゃん」
「この間散歩出かけたじゃん」
「車でさ、出かけるの」
車内でジリジリではやとに近寄る。
(そ、それ以上近寄るな)
「凄い心臓バクバクしてる」
キス出来そうな距離に隼人の胸元に手を当てられた。
「何その顔」
「み、見るなって…別にお前で緊張してない」
「ふーん、じゃあ、この更に早くなってる心音は何?」
「だ、だから緊張じゃないって、早く目的地行こうよ」
じゃあ、行くかと素直に席に戻った。
(あ…すんなり前を向くんだ)
何故か隼人は少し残念な感覚に落ちる。暫く車を走らせる。
「なぁ、少し窓開けていい?」
「うん」
(なんだ、この感覚…祐介に構って?貰えてる時すげー嬉しいのに、冷たく感じたらなんか凹む…)
窓を開け気分を変える。暫く走ると桜が満開の道が出てくる。
「すげぇ…」
「ここ良いだろ?隼人、ここ来た事ある?」
「いや、無いよ」
「じゃあ、俺と初めてだ?」
「そうだよ、いい思い出になりそう」
そう言いながら車を止め場所を選ぶ。
「そうだな」
「今年はめっちゃ綺麗に咲いてるね」
「ん?…今年って」
「あ、SNSとかで見かけてたから、去年より綺麗に咲いてるな~って」
「へぇーそんなんも見るんだ……でも、SNSだとさ綺麗に写ってるやつしかなくない?」
一瞬ドキッとする隼人。
「…んー、まぁ、今日は楽しみに来たし楽しもうよ」
祐介がそう言って、空気を流すように隼人の肩を軽く叩く。
「そ、そうだね!一緒に写真も撮ろ!」
「そうだね、場所…どの辺がいいかな?」
「あの辺とかどう?」
隼人が指さした場所は石の椅子が2つあり桜が綺麗に咲いている場所だった。
「あそこだったら写真もいい感じにとれそうじゃない?」
「さすがだな、隼人」
その場所に荷物を置く。
「なぁ、隼人、ちょっとそこ立って」
「この辺?」
「もうちょい右」
「うん」
シャッターの音がした。
「うん、隼人映えるね」
そう言って撮った写真を隼人に見せる。
「うわ、めっちゃいいじゃん!え、てか、祐介写真撮るのも上手い?」
「いや、別に……普通にネットとかかで出てくるからそれ見て」
「え、祐介も撮ってあげる!」
「いや、良いよ、俺は」
「じゃあさ、一緒に撮ろ?」
んーと暫く考え良いよと言うが、実際取れたのは隼人がピース、祐介がそっぽ向いてる横顔写真だった。
「祐介顔写ってないよ」
「いんだよ、それで」
(家帰ったら、お前の番な)
祐介が作ってくれたお弁当を食べ、他愛の無い話をし少し桜並木を散歩がてら歩いて車に戻った。
--祐介の自宅。
靴を脱いで部屋に上がる。
「祐介、今日花見誘ってくれてありがとう」
「たまには、気分転換も必要だろ?」
キッチンの机に荷物を置く。祐介は自分のジャケットをハンガーを掛ける。
「隼人、ジャケット掛けるから貸して」
「ん、ありがとう」
ジャケットを脱ぎ祐介に渡す。ハンガーに掛けようとジャケットを持ち替えた瞬間ポケットから何かが落ちた。
「ん?…何これ」
紙を拾い見ると、音信不通だった時のレシートと一緒に、小さく折り畳まれた紙が入っていた。
『今日はありがとう。また会えるの楽しみにしてるね。ななちゃんより』
「ねぇ、何これ隼人」
祐介は隼人に直接渡す。何の事か分からず受け取った隼人は、一瞬息が詰まった。
「なんでこれ残してるの?」
「捨てようと思ったんだよ」
苦笑いしながらゴミ箱に捨てようと動きかけたが、祐介はムスッとした顔で隼人の腕を掴み壁に追いやった。
「……ほんとに思ってんの?どうせまた、俺が来なかったらまた、会うつもりだったんだろ?」
「ほんとに捨てようと思ったよ!」
「ふーん……じゃあさ、今すぐ女の子の連絡全部消せよ」
鼓動が早くなり、息が詰まる。手が震え上手く押せない。
「なんで手が震えてんの?消すのが惜しいの?俺が怖いの?でも、怒らせたのお前だよな?」
(違う…違うけど…俺が分からない…どうしたらいい…祐介)
「ごめん…祐介…でも、今どうしたら良いのか分からないんだ…もう、祐介に携帯預けるから好きにして」
隼人から携帯を渡され、祐介は連絡先を開く。女の子の連絡先を消す。
「俺の会社関係と家族、俺のやつだけ残しといた」
そう言って隼人に返す。
「さっきどうしたらいいって言ってたけど、何が分からないんだ?……俺が怒ったからパニックで分からないのか?」
「…すぐ詰めるし、威圧感で怖い」
はぁ…とでかい溜息を着く。
「それはさ」
祐介の言葉を重ねるように口を開く。
「俺が正直になれないから?」
「そう、分かってるのに何でそんな事するの?」
隼人を怖がらせないように優しい口調で問う。
「…なんか…何言っても怒られそうで…だから」
「正直に言ってくれたら怒らないよ」
下を向いている隼人に手を伸ばすとビクッと小さく身体を震わす。
「…あ……ごめん」
「…今の俺も……怖い?」
心配そうな顔で隼人を見る。少し、ソファーに座ろうと隼人の手を取る。
「隼人、ごめんな」
ソファーに座らせひざ掛けを隼人の肩にかける。
「…俺が必死になりすぎなのかな」
落ち着ける様に隼人を抱き寄せ頭を優しく撫でる。
「前も言ってるんだけどさ、俺は隼人が好きなんだよ」
隼人は下を向きながら小さく頷く。
「最初全く振り向いてくれないし、今は少し振り向いてくれるけど…」
少し怯えながらはやとは口を開く。
「なんで、祐介は俺に執着するの?」
思わず祐介は目を丸くする。
「好きだから……お前ずっと見てると、俺が居ないと何も出来ないんだなって思うし、俺がサポートしなきゃって思ってたんだけど…段々……気が付いたらお前が欲しいってなってた」
祐介の手が伸び、隼人をゆっくり抱きしめる。
「俺、隼人にどうやったら接したらいい?好きになってくれる?……このままだと俺、隼人の嫌な所ばっか見つけて…また、問い詰めそうだ…疑って、責めて、お前を傷つけて……それでも止まらなくて。俺も隼人に嫌われるのは、ほんとに、嫌だ」
祐介の震える声が耳を掠める。隼人は緊張なのか恐怖なのか心音がバクバク鳴り、息が震え、部屋に響きそうだった。
「こんな俺はもう嫌い?」
隼人の顔を両手で触れ、自分の方を向け唇に触れようとした途端、隼人は下を向いた。
「ごめん……今…俺、祐介にどう接したら良いか分からないんだ…俺が祐介に困らせてばっかで…」
隼人の顔から手が離れ、何故か隼人が涙がボロボロ零れた。
「ごめん…困らせてばっかで……祐介の気持ちにも答えられなくて」
「そんなに謝らないでよ、俺が悪いみたいじゃん…ねぇ、泣かないで?」
祐介は自分の袖口で隼人の涙を拭う。
「ねぇ……それ、ほんとに俺の事思ってる?」
声色が少し変わった気がした。そしてその声色が耳に刺さる。
スっと立ち上がり、祐介は隼人に何も言わず目線だけ落とし、家を出てしまう。
祐介の家なのに、隼人しか居ない家は何か寂しくドアの閉まる音だけが響く。
(…なんで…祐介が、出ていくんだよ……)
余りの驚く行動に隼人は涙が止まる。
(ほんとに訳わかんねぇ)
隼人は冷静に考え出す。祐介が納得いく答えを暫く考えるが何も浮かばない、考え出した答えを言っても多分祐介には響かない。
祐介の家に祐介が帰ってくる迄待つか、そのまま逃げるように帰るか…
(…逃げるように帰っても、また祐介に捕まるんだろうな…それなら帰ってくる迄待ってた方がいいのかな)
そんな事をずっと考えていると外は暗く、祐介も未だに帰ってこない。時計は20時を回っている。
(俺…このまま祐介を好きになれるんかな…)
ソファーに蹲り、ひざ掛けを頭に被せる。
時計を何度も見ても時間は進まない。シーンとした部屋で時計の針の音、祐介がお気に入りのルームフレグランスのベルガモットの香りが漂うだけ。
(なんだかんだ、喧嘩しても…結局俺は祐介にご機嫌取りされてるんだな…)
バサッとひざ掛けを再び頭に被すとフワッとウッディ系の香りが纏った。
(…やだな…この匂い……家に来るんじゃなかった…)
ふと隼人の頭に過ぎる。
『隼人、家にルームフレグランス置きたいから選んでよ』
『俺が選んでいいの?』
『お前しか来ないし』
『んー…これとか祐介っぽくない?』
『トップノートが…ベルガモット、ラストノートがアンバー、ムスク、ウッディか…良いな!俺この匂い好きかも!これにする』
(なんで…ルームフレグランスなんか俺に選ばせたんだよ…)
懐かしい記憶が頭の中にグルグル廻り、恐怖より不安や寂しさが少しづつ溢れ出てくる。
(このルームフレグランスって……確か…量もあんまり多くないのに、日持ちも持たないのにずっとこれを買ってるんだ)
ピコンと携帯がなる。隼人は何故か慌てて確認し、祐介じゃない事が分かると、携帯を裏返して机に再び置いた。
1人の時間はとても長い、スローモーションみたいに中々時間が進まない。
来るはずが無い携帯を眺め、画像フォルダを眺めていた。
(祐介、お花見楽しくなかったかな…)
遡りながら画像を見ていると、音信不通からの祐介と会った時の写真が思ったより沢山出てきた。
(これ…祐介とこの間お散歩行った時のやつだ…祐介も桜と映えるんだよね……ん?なんで)
気付いたら頭の中は祐介の事ばかりで、また不安に襲われそうになる。
携帯を投げ付け、顔を埋めるように蹲った。
時計の針が、また一つ進んだ。
(……まだ帰ってこない)
部屋は静かで、冷たい。ひざ掛けの中にいるはずなのに、ずっと寒い気がする。
(……俺、いつまでここにいればいいんだろう……早く帰ってきて……)
もう、答えなんて出なかった。
📌【注意書き】
※この作品には以下の描写・要素が含まれます。苦手な方はご注意ください。
・執着愛/独占欲/ヤンデレ傾向
・恋人間での感情的暴力(言動含む)
・軽度の監禁描写
・依存関係の描写(情緒不安定・精神的揺さぶり多め)
・キャラクターの葛藤、心情の乱れを強く描いています
💥救いがあるとは限りません、自己責任でご覧ください。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
東雲祐介×澤端隼人
目が覚めると、朝になっていた。
「体調はどうだ?…薬は抜けたか?」
「あ…昨日はありがとう…」
台所で何かしながら隼人に背を向け喋る。
「珍しいな、お前が男に襲われんの」
「…初めてだった、すっげー怖かった…動けなくてもう、終わったって思った」
「俺の事は?」
「…祐介の事?」
「怒ってないのか?」
「なんで怒る理由がある?俺を助けてくれたし、今までの分はチャラだろ」
「ふーん、お前案外優しいんだな」
「は?何それ、俺が優しくないみたいじゃん」
「俺はお前が弁当買ってくるやつとしか思ってない」
「は?ひでぇな」
「あーそうだ、今日今から花見行くぞ」
「は?」
「お前が元気そうだから」
そう言いながらお弁当を袋に入れて出かける準備をする。
「え、待って俺なんもしてないんだけど」
「後、お前待ち」
「え、急ぐ」
慌てて隼人は出かける準備を始める。
「ねぇー、祐介俺なんか持っていくもんある?」
「お前だけいい」
ゆるーく返事をし走って隼人を待ってる祐介の元に行く。
「ねぇ、花見ってどこ行くの?」
ドアの鍵を閉める。
「少し遠出をしようかと思ってるけど」
「ドライブがてら良いじゃん!」
祐介の車に乗り、目的地までドライブをする。
「隼人はさ、今俺の事どう思ってんの?」
「んーどう思ってる…なんか真剣に俺の事考えてんのかなーとは思ってる、けど俺の自体はよく分からないかな」
「ふーん」
「だって、俺に薬使ってんの俺がはっきりしないからでしょ?」
「なんだ、知ってたんだ」
「そりゃー酒だけあんなになったら、おかしいと思うでしょ?」
「それでも、俺にノコノコ着いてきたわけ?……俺と離れられないんだ」
「は?別に…そんな事言ってない」
少し頬を赤らめ窓の外を見る。すると急に車が止まった。
「ん?」
「ここ、景色いんだ」
へぇ…と振り向いた瞬間余りの近さに祐介の唇と触れた。
「え…あ、ごめん」
「なんで謝んの?」
「あ…いや……事故ったから」
「事故ったって何が?」
「え、だから…き、キス…」
思わず口元抑えながら再びヒュっと窓の外を見る。
「ねぇ、隼人こっち向いてよ」
顔を真っ赤にしている隼人。
「付き合ってないからそんなに恥ずかしいの?それとも俺だから?」
「ちが…う……き、緊張してるんだよ、俺」
何故か隼人は心がザワザワ苦しい様な祐介にも聞こえそうな心音の音が耳に響く。
「今更?何に緊張してんの?」
「いや…ほらこうやって出かけるの久々じゃん」
「この間散歩出かけたじゃん」
「車でさ、出かけるの」
車内でジリジリではやとに近寄る。
(そ、それ以上近寄るな)
「凄い心臓バクバクしてる」
キス出来そうな距離に隼人の胸元に手を当てられた。
「何その顔」
「み、見るなって…別にお前で緊張してない」
「ふーん、じゃあ、この更に早くなってる心音は何?」
「だ、だから緊張じゃないって、早く目的地行こうよ」
じゃあ、行くかと素直に席に戻った。
(あ…すんなり前を向くんだ)
何故か隼人は少し残念な感覚に落ちる。暫く車を走らせる。
「なぁ、少し窓開けていい?」
「うん」
(なんだ、この感覚…祐介に構って?貰えてる時すげー嬉しいのに、冷たく感じたらなんか凹む…)
窓を開け気分を変える。暫く走ると桜が満開の道が出てくる。
「すげぇ…」
「ここ良いだろ?隼人、ここ来た事ある?」
「いや、無いよ」
「じゃあ、俺と初めてだ?」
「そうだよ、いい思い出になりそう」
そう言いながら車を止め場所を選ぶ。
「そうだな」
「今年はめっちゃ綺麗に咲いてるね」
「ん?…今年って」
「あ、SNSとかで見かけてたから、去年より綺麗に咲いてるな~って」
「へぇーそんなんも見るんだ……でも、SNSだとさ綺麗に写ってるやつしかなくない?」
一瞬ドキッとする隼人。
「…んー、まぁ、今日は楽しみに来たし楽しもうよ」
祐介がそう言って、空気を流すように隼人の肩を軽く叩く。
「そ、そうだね!一緒に写真も撮ろ!」
「そうだね、場所…どの辺がいいかな?」
「あの辺とかどう?」
隼人が指さした場所は石の椅子が2つあり桜が綺麗に咲いている場所だった。
「あそこだったら写真もいい感じにとれそうじゃない?」
「さすがだな、隼人」
その場所に荷物を置く。
「なぁ、隼人、ちょっとそこ立って」
「この辺?」
「もうちょい右」
「うん」
シャッターの音がした。
「うん、隼人映えるね」
そう言って撮った写真を隼人に見せる。
「うわ、めっちゃいいじゃん!え、てか、祐介写真撮るのも上手い?」
「いや、別に……普通にネットとかかで出てくるからそれ見て」
「え、祐介も撮ってあげる!」
「いや、良いよ、俺は」
「じゃあさ、一緒に撮ろ?」
んーと暫く考え良いよと言うが、実際取れたのは隼人がピース、祐介がそっぽ向いてる横顔写真だった。
「祐介顔写ってないよ」
「いんだよ、それで」
(家帰ったら、お前の番な)
祐介が作ってくれたお弁当を食べ、他愛の無い話をし少し桜並木を散歩がてら歩いて車に戻った。
--祐介の自宅。
靴を脱いで部屋に上がる。
「祐介、今日花見誘ってくれてありがとう」
「たまには、気分転換も必要だろ?」
キッチンの机に荷物を置く。祐介は自分のジャケットをハンガーを掛ける。
「隼人、ジャケット掛けるから貸して」
「ん、ありがとう」
ジャケットを脱ぎ祐介に渡す。ハンガーに掛けようとジャケットを持ち替えた瞬間ポケットから何かが落ちた。
「ん?…何これ」
紙を拾い見ると、音信不通だった時のレシートと一緒に、小さく折り畳まれた紙が入っていた。
『今日はありがとう。また会えるの楽しみにしてるね。ななちゃんより』
「ねぇ、何これ隼人」
祐介は隼人に直接渡す。何の事か分からず受け取った隼人は、一瞬息が詰まった。
「なんでこれ残してるの?」
「捨てようと思ったんだよ」
苦笑いしながらゴミ箱に捨てようと動きかけたが、祐介はムスッとした顔で隼人の腕を掴み壁に追いやった。
「……ほんとに思ってんの?どうせまた、俺が来なかったらまた、会うつもりだったんだろ?」
「ほんとに捨てようと思ったよ!」
「ふーん……じゃあさ、今すぐ女の子の連絡全部消せよ」
鼓動が早くなり、息が詰まる。手が震え上手く押せない。
「なんで手が震えてんの?消すのが惜しいの?俺が怖いの?でも、怒らせたのお前だよな?」
(違う…違うけど…俺が分からない…どうしたらいい…祐介)
「ごめん…祐介…でも、今どうしたら良いのか分からないんだ…もう、祐介に携帯預けるから好きにして」
隼人から携帯を渡され、祐介は連絡先を開く。女の子の連絡先を消す。
「俺の会社関係と家族、俺のやつだけ残しといた」
そう言って隼人に返す。
「さっきどうしたらいいって言ってたけど、何が分からないんだ?……俺が怒ったからパニックで分からないのか?」
「…すぐ詰めるし、威圧感で怖い」
はぁ…とでかい溜息を着く。
「それはさ」
祐介の言葉を重ねるように口を開く。
「俺が正直になれないから?」
「そう、分かってるのに何でそんな事するの?」
隼人を怖がらせないように優しい口調で問う。
「…なんか…何言っても怒られそうで…だから」
「正直に言ってくれたら怒らないよ」
下を向いている隼人に手を伸ばすとビクッと小さく身体を震わす。
「…あ……ごめん」
「…今の俺も……怖い?」
心配そうな顔で隼人を見る。少し、ソファーに座ろうと隼人の手を取る。
「隼人、ごめんな」
ソファーに座らせひざ掛けを隼人の肩にかける。
「…俺が必死になりすぎなのかな」
落ち着ける様に隼人を抱き寄せ頭を優しく撫でる。
「前も言ってるんだけどさ、俺は隼人が好きなんだよ」
隼人は下を向きながら小さく頷く。
「最初全く振り向いてくれないし、今は少し振り向いてくれるけど…」
少し怯えながらはやとは口を開く。
「なんで、祐介は俺に執着するの?」
思わず祐介は目を丸くする。
「好きだから……お前ずっと見てると、俺が居ないと何も出来ないんだなって思うし、俺がサポートしなきゃって思ってたんだけど…段々……気が付いたらお前が欲しいってなってた」
祐介の手が伸び、隼人をゆっくり抱きしめる。
「俺、隼人にどうやったら接したらいい?好きになってくれる?……このままだと俺、隼人の嫌な所ばっか見つけて…また、問い詰めそうだ…疑って、責めて、お前を傷つけて……それでも止まらなくて。俺も隼人に嫌われるのは、ほんとに、嫌だ」
祐介の震える声が耳を掠める。隼人は緊張なのか恐怖なのか心音がバクバク鳴り、息が震え、部屋に響きそうだった。
「こんな俺はもう嫌い?」
隼人の顔を両手で触れ、自分の方を向け唇に触れようとした途端、隼人は下を向いた。
「ごめん……今…俺、祐介にどう接したら良いか分からないんだ…俺が祐介に困らせてばっかで…」
隼人の顔から手が離れ、何故か隼人が涙がボロボロ零れた。
「ごめん…困らせてばっかで……祐介の気持ちにも答えられなくて」
「そんなに謝らないでよ、俺が悪いみたいじゃん…ねぇ、泣かないで?」
祐介は自分の袖口で隼人の涙を拭う。
「ねぇ……それ、ほんとに俺の事思ってる?」
声色が少し変わった気がした。そしてその声色が耳に刺さる。
スっと立ち上がり、祐介は隼人に何も言わず目線だけ落とし、家を出てしまう。
祐介の家なのに、隼人しか居ない家は何か寂しくドアの閉まる音だけが響く。
(…なんで…祐介が、出ていくんだよ……)
余りの驚く行動に隼人は涙が止まる。
(ほんとに訳わかんねぇ)
隼人は冷静に考え出す。祐介が納得いく答えを暫く考えるが何も浮かばない、考え出した答えを言っても多分祐介には響かない。
祐介の家に祐介が帰ってくる迄待つか、そのまま逃げるように帰るか…
(…逃げるように帰っても、また祐介に捕まるんだろうな…それなら帰ってくる迄待ってた方がいいのかな)
そんな事をずっと考えていると外は暗く、祐介も未だに帰ってこない。時計は20時を回っている。
(俺…このまま祐介を好きになれるんかな…)
ソファーに蹲り、ひざ掛けを頭に被せる。
時計を何度も見ても時間は進まない。シーンとした部屋で時計の針の音、祐介がお気に入りのルームフレグランスのベルガモットの香りが漂うだけ。
(なんだかんだ、喧嘩しても…結局俺は祐介にご機嫌取りされてるんだな…)
バサッとひざ掛けを再び頭に被すとフワッとウッディ系の香りが纏った。
(…やだな…この匂い……家に来るんじゃなかった…)
ふと隼人の頭に過ぎる。
『隼人、家にルームフレグランス置きたいから選んでよ』
『俺が選んでいいの?』
『お前しか来ないし』
『んー…これとか祐介っぽくない?』
『トップノートが…ベルガモット、ラストノートがアンバー、ムスク、ウッディか…良いな!俺この匂い好きかも!これにする』
(なんで…ルームフレグランスなんか俺に選ばせたんだよ…)
懐かしい記憶が頭の中にグルグル廻り、恐怖より不安や寂しさが少しづつ溢れ出てくる。
(このルームフレグランスって……確か…量もあんまり多くないのに、日持ちも持たないのにずっとこれを買ってるんだ)
ピコンと携帯がなる。隼人は何故か慌てて確認し、祐介じゃない事が分かると、携帯を裏返して机に再び置いた。
1人の時間はとても長い、スローモーションみたいに中々時間が進まない。
来るはずが無い携帯を眺め、画像フォルダを眺めていた。
(祐介、お花見楽しくなかったかな…)
遡りながら画像を見ていると、音信不通からの祐介と会った時の写真が思ったより沢山出てきた。
(これ…祐介とこの間お散歩行った時のやつだ…祐介も桜と映えるんだよね……ん?なんで)
気付いたら頭の中は祐介の事ばかりで、また不安に襲われそうになる。
携帯を投げ付け、顔を埋めるように蹲った。
時計の針が、また一つ進んだ。
(……まだ帰ってこない)
部屋は静かで、冷たい。ひざ掛けの中にいるはずなのに、ずっと寒い気がする。
(……俺、いつまでここにいればいいんだろう……早く帰ってきて……)
もう、答えなんて出なかった。
0
あなたにおすすめの小説
Original drug
佐治尚実
BL
ある薬を愛しい恋人の翔祐に服用させた医薬品会社に勤める一条は、この日を数年間も待ち望んでいた。
翔祐(しょうすけ) 一条との家に軟禁されている 平凡 一条の恋人 敬語
一条(いちじょう) 医薬品会社の執行役員
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
ほおつきよ
兎守 優
BL
過去のトラウマから音に敏感な真昼は、歩道橋の下、ごうごうと鳴り響く風に耳を傾ける夕空と出会う。やがては視力と聴力を失って無音の闇に包まれる夕空、事件に巻き込まれ片目を失ったカメラマン・夜一、警察官になりたかった・朝日、四者四様の運命が絡み合う、痛みと喪失を抉り合い、そして、埋め合う物語。
花香る人
佐治尚実
BL
平凡な高校生のユイトは、なぜか美形ハイスペックの同学年のカイと親友であった。
いつも自分のことを気に掛けてくれるカイは、とても美しく優しい。
自分のような取り柄もない人間はカイに不釣り合いだ、とユイトは内心悩んでいた。
ある高校二年の冬、二人は図書館で過ごしていた。毎日カイが聞いてくる問いに、ユイトはその日初めて嘘を吐いた。
もしも親友が主人公に思いを寄せてたら
ユイト 平凡、大人しい
カイ 美形、変態、裏表激しい
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
変異型Ωは鉄壁の貞操
田中 乃那加
BL
変異型――それは初めての性行為相手によってバースが決まってしまう突然変異種のこと。
男子大学生の金城 奏汰(かなしろ かなた)は変異型。
もしαに抱かれたら【Ω】に、βやΩを抱けば【β】に定着する。
奏汰はαが大嫌い、そして絶対にΩにはなりたくない。夢はもちろん、βの可愛いカノジョをつくり幸せな家庭を築くこと。
だから護身術を身につけ、さらに防犯グッズを持ち歩いていた。
ある日の歓楽街にて、β女性にからんでいたタチの悪い酔っ払いを次から次へとやっつける。
それを見た高校生、名張 龍也(なばり たつや)に一目惚れされることに。
当然突っぱねる奏汰と引かない龍也。
抱かれたくない男は貞操を守りきり、βのカノジョが出来るのか!?
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる