21 / 51
第21話 十二天将④ 裏切り
しおりを挟む
貴人にいわれて採石場所に着くと、金形代君がいる。 その前にローブを纏った者達が倒れていた。
「金形代君! 十二天将の符は!?」
僕がいうと、金形代君は符を見せて、
「ああ、ここにある......そこに倒れている救咒衆、六凶の奴が持っていたのを奪った......」
「危なかった......とりあえず六つの凶将は揃わずにすんだか」
僕が倒れたローブをみていると、
「すまん......」
そう金形代君の呟きが聞こえたと思った瞬間、僕は首に強い衝撃を受け意識が遠のいていった。
誰かの声で目が覚めると、
「早う目覚めよ! 大変なことになるぞ!」
貴人が僕の顔を叩いていた。
「金形代君は......」
「お主を殴ると他の五つの符のある方へ行ってしまった! あやつ......仲間ではないのか!」
僕は走って追いかけた。
僕と貴人は金形代の向かった場所に着く。 そこは卜占学園だった。 学園に入るとそこは学園ではなく奇妙な山となっていて、異形の植物や虫達が蠢く異界となっていた。
「なんだここは......」
「これは......隠世と一体化しておる......」
「狭間の森と同じか......」
「まずい! 早く行くぞ! 全部の符がもう集まっておる!」
山を進み登ると頂上にあった洞窟に入ると、奥の部屋中で、灰、雅が倒れ、金形代君が膝をついている姿が見えた。 その後ろに車椅子に座った老人がぐったりした幼い少女を膝に乗せている。
「皆!」
僕が駆け寄ると、金ぶちのメガネをかけた老人が話しかけてきた。
「ほう、土光薙家の坊主か......確かに素晴らしい霊力だな」
「......何者なんですか......」
僕は聞きながら、このメガネの老人の異様な圧を感じ取っていた。
「......金形代 宗像......俺の祖父だ」
金形代君が言った。
「金形代家の当主がなんで!?」
「私が救咒衆、奴らを率いていたからだ」
薄い唇で嫌な笑い方をした。
「術士の世界なんてできはしないんです! この貴人から聞きました。 その六凶は酒呑童子を封印したもの! 返してください!」
「そうだ! じじい、返すのじゃ! この世を変えるなどというのは、後世が作ったデタラメじゃ!」
僕と貴人の言葉に驚いたような顔を見せると、
「何を言っておるのだ......そんなことは知っている」
「だったら......なぜ......まさか!?」
「そうよ、酒呑童子を復活させるのが目的よ! 救術衆などそのために集めた式神使いにすぎん」
ニヤニヤと宗像は笑いながら言った。
「なっ! 騙していたのか! それで死んだ者もいるんだぞ!」
「クックックッ、私以外の術士が死のうが知ったことではない、奴らは所詮使えぬ底辺の術士だ。 私が傀儡を体内に入れあの力を与えたのだ。 一度でも強い力を得たのだから、私の為に死ぬのは当然だろう」
「......相変わらず、クズだな......どうせ貴様のことだ酒呑童子を甦らせて力でも得ようというのだろう......それより錫《すず》は無事なんだろうな!」
金形代君が言った。
「ふふふ聡いな、偶児等よりお前を遇すべきだったかな......お前の妹、錫《すず》はここに式神を使う霊力の器として元気にしている」
「......必ず殺してやる......」
「それはできまい、お前が従順に我に従うのは、錫が私の手にあるからだろう。 そして仲間であるその二人も手にかけた」
「それで僕に攻撃を......」
「すまない......俺の家族はもう妹の錫だけなんだ......あの男の元に捕らえられていた」
苦渋の表情で金形代君は答える。
「さあ、私が儀式をする間、土光薙の坊主を抑えていろ。 出来ればこの子は返してやろう」
「くっ!......わかった......」
金形代君はゆっくり立ち上がり、術式を唱えた。
「金水行、青金具足《あおがねぐそく》!」
体を青い甲冑で覆った金形代君は、ビュンと空気を切りながら一瞬で目の前に迫った。
ガキン!
僕はとっさに霊殻で防ぐも飛ばされ、壁に打ち付けられた。
(人質がいる......とにかく宗像から錫ちゃんを奪い返さないと......)
金形代君の後ろにいる、宗像を見ると膝に錫ちゃんを乗せて、何らかの術式を唱えている。 前から金形代君が迫り、僕は真正面から受け押し合いになった。 その時金形代が左に目線を送る、僕は金形代を押し飛ばし、霊玉を撃つと兜の左側の角が折れて後ろに飛んだ。
「ほう、あの霊力と対等に戦うか練、どれ程修練したのかがわかるというもの」
「当然だ......貴様を倒すためにだがな!」
そう言うと折れて飛んだ兜の角が回転し、宗像の腹を貫く。
「ぐっ! 貴様!」
そして高速で移動すると錫ちゃんを取り返した。 僕はそれと同時に宗像に霊玉を撃ち込む、当たった宗像は車椅子ごと吹き飛んだ。
僕の側に移動した金形代君は、
「すまなかった神無、灰と雅も死んではいない」
「ああ、わかってる」
僕は笑ってそう答えた。
「金形代君! 十二天将の符は!?」
僕がいうと、金形代君は符を見せて、
「ああ、ここにある......そこに倒れている救咒衆、六凶の奴が持っていたのを奪った......」
「危なかった......とりあえず六つの凶将は揃わずにすんだか」
僕が倒れたローブをみていると、
「すまん......」
そう金形代君の呟きが聞こえたと思った瞬間、僕は首に強い衝撃を受け意識が遠のいていった。
誰かの声で目が覚めると、
「早う目覚めよ! 大変なことになるぞ!」
貴人が僕の顔を叩いていた。
「金形代君は......」
「お主を殴ると他の五つの符のある方へ行ってしまった! あやつ......仲間ではないのか!」
僕は走って追いかけた。
僕と貴人は金形代の向かった場所に着く。 そこは卜占学園だった。 学園に入るとそこは学園ではなく奇妙な山となっていて、異形の植物や虫達が蠢く異界となっていた。
「なんだここは......」
「これは......隠世と一体化しておる......」
「狭間の森と同じか......」
「まずい! 早く行くぞ! 全部の符がもう集まっておる!」
山を進み登ると頂上にあった洞窟に入ると、奥の部屋中で、灰、雅が倒れ、金形代君が膝をついている姿が見えた。 その後ろに車椅子に座った老人がぐったりした幼い少女を膝に乗せている。
「皆!」
僕が駆け寄ると、金ぶちのメガネをかけた老人が話しかけてきた。
「ほう、土光薙家の坊主か......確かに素晴らしい霊力だな」
「......何者なんですか......」
僕は聞きながら、このメガネの老人の異様な圧を感じ取っていた。
「......金形代 宗像......俺の祖父だ」
金形代君が言った。
「金形代家の当主がなんで!?」
「私が救咒衆、奴らを率いていたからだ」
薄い唇で嫌な笑い方をした。
「術士の世界なんてできはしないんです! この貴人から聞きました。 その六凶は酒呑童子を封印したもの! 返してください!」
「そうだ! じじい、返すのじゃ! この世を変えるなどというのは、後世が作ったデタラメじゃ!」
僕と貴人の言葉に驚いたような顔を見せると、
「何を言っておるのだ......そんなことは知っている」
「だったら......なぜ......まさか!?」
「そうよ、酒呑童子を復活させるのが目的よ! 救術衆などそのために集めた式神使いにすぎん」
ニヤニヤと宗像は笑いながら言った。
「なっ! 騙していたのか! それで死んだ者もいるんだぞ!」
「クックックッ、私以外の術士が死のうが知ったことではない、奴らは所詮使えぬ底辺の術士だ。 私が傀儡を体内に入れあの力を与えたのだ。 一度でも強い力を得たのだから、私の為に死ぬのは当然だろう」
「......相変わらず、クズだな......どうせ貴様のことだ酒呑童子を甦らせて力でも得ようというのだろう......それより錫《すず》は無事なんだろうな!」
金形代君が言った。
「ふふふ聡いな、偶児等よりお前を遇すべきだったかな......お前の妹、錫《すず》はここに式神を使う霊力の器として元気にしている」
「......必ず殺してやる......」
「それはできまい、お前が従順に我に従うのは、錫が私の手にあるからだろう。 そして仲間であるその二人も手にかけた」
「それで僕に攻撃を......」
「すまない......俺の家族はもう妹の錫だけなんだ......あの男の元に捕らえられていた」
苦渋の表情で金形代君は答える。
「さあ、私が儀式をする間、土光薙の坊主を抑えていろ。 出来ればこの子は返してやろう」
「くっ!......わかった......」
金形代君はゆっくり立ち上がり、術式を唱えた。
「金水行、青金具足《あおがねぐそく》!」
体を青い甲冑で覆った金形代君は、ビュンと空気を切りながら一瞬で目の前に迫った。
ガキン!
僕はとっさに霊殻で防ぐも飛ばされ、壁に打ち付けられた。
(人質がいる......とにかく宗像から錫ちゃんを奪い返さないと......)
金形代君の後ろにいる、宗像を見ると膝に錫ちゃんを乗せて、何らかの術式を唱えている。 前から金形代君が迫り、僕は真正面から受け押し合いになった。 その時金形代が左に目線を送る、僕は金形代を押し飛ばし、霊玉を撃つと兜の左側の角が折れて後ろに飛んだ。
「ほう、あの霊力と対等に戦うか練、どれ程修練したのかがわかるというもの」
「当然だ......貴様を倒すためにだがな!」
そう言うと折れて飛んだ兜の角が回転し、宗像の腹を貫く。
「ぐっ! 貴様!」
そして高速で移動すると錫ちゃんを取り返した。 僕はそれと同時に宗像に霊玉を撃ち込む、当たった宗像は車椅子ごと吹き飛んだ。
僕の側に移動した金形代君は、
「すまなかった神無、灰と雅も死んではいない」
「ああ、わかってる」
僕は笑ってそう答えた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる