8 / 55
第一章
8.逃げるしかない!②
しおりを挟む
だって、生まれた時から誰にも愛されていなかったことを、改めて突きつけられたのだから。ほのかに期待していた自分の甘さに反吐が出る。
(……でも、私は人だから。社会の中に居て人と関われないのは、無理がある)
どうしたって誰かに愛されたい。メイベルは、人だから。誰か一人くらい、味方が居てくれたっていいのにと思う。酷く心が乾いてしまった。
そこでメイベルは、ハッとなった。
だからだろうか。だから、魔王だと思われている?
魔王は、邪悪を生み人々を悪逆に染め上げる、忌まわしい存在だ。
魔女はその手先とされている。魔女は、いにしえより人々を誑かし魔王への贄にし、大地を血に染め上げてきた。
また魔女は嫉妬深く自分より美しい存在には不幸の呪いをかけ、そのエキスを飲み自らを若返らせていたと。
そのため魔王を封じた当時のアヴァルランドの王は、その罪を贖わせるため魔女の命を取らない代わりに消えない罪の証を残し、彼女らの外見を髪を赤く瞳を緑にしたと伝えられている。
つまり、封じられた魔王が臣下である魔女を通して復活しようとしていると、おそらく王家はそう睨んでいるということだ。
その証拠にメイベルは魔女の配色をしていて、嫉妬と虚栄心で人々を誑かし貶めた罪を咎められ、憂いている。
「冗談じゃない。これ以上、誰かに振り回されるなんて嫌だ!」
しっかりと脱出を図るべく、メイベルは屋敷からありったけの物をかき集めた。
実家から持ち出せた物はあまりなく、屋敷の中もほとんど何もないといっても良かったので、微々たる量にしかならなかったが、ないよりはマシである。
どうやら、昔から魔女扱いに内心腹が立って何も我慢せず生きてきた根性だけは、メイベルを裏切らずにいてくれるようだった。
びっしゃーん! と、特大の雷が落ちる。
直近で落ち凄まじい音だったが、自らを奮い立たせることにいっぱいいっぱいのメイベルは、雷が鳴ったなー程度にしか思っていなかった。
だから、落雷に遭った木が燃え上がり屋敷に倒れてようやく、雷がすぐ傍で落ちたことを知る。
「え、嘘……」
ドンと音と揺れがあって何事かと屋敷を見渡したメイベルは、木から屋敷へ火が燃え移っていることを認めると絶句した。が、すぐに。
「ううん、違う。このまま屋敷を出よう。火災はいい。殿下たちが引き返してくる前に……!」
気を取り直し厨房へ急いだ。
料理をしない貴族令嬢なので、どこに何があるかすべてを把握していないが、冒険はする貴族令嬢なので最低限の目星はついている。
真水は精製出来るから良い。栄養も野生で生っている果実などを摂れば良い。と、くれば残るはカロリー。
「食べ物もかき集めておけば良かった!」
傷むのを避けてこれである。
厨房に入るや、メイベルは視線一つで視界に入る引出を片っ端から魔法で開けていった。勢いあまってナイフやフォークが飛び出してしまったが、ササっと避けて食べ物を探す。
目的の食べ物を見つければ、アイテムボックスに詰め込んだ。メイベルの技量では視線誘導と思考の両立は完璧にこなせないので、ここだけは手作業になる。
「よし……!」
決して充分ではないが、深追いして火に巻かれては事である。メイベルはほどよく切り上げると屋敷の外へ向かった。
星明かりのない嵐で真っ暗闇な夜の中、メイベルは後ろを振り返らず走った。
(……でも、私は人だから。社会の中に居て人と関われないのは、無理がある)
どうしたって誰かに愛されたい。メイベルは、人だから。誰か一人くらい、味方が居てくれたっていいのにと思う。酷く心が乾いてしまった。
そこでメイベルは、ハッとなった。
だからだろうか。だから、魔王だと思われている?
魔王は、邪悪を生み人々を悪逆に染め上げる、忌まわしい存在だ。
魔女はその手先とされている。魔女は、いにしえより人々を誑かし魔王への贄にし、大地を血に染め上げてきた。
また魔女は嫉妬深く自分より美しい存在には不幸の呪いをかけ、そのエキスを飲み自らを若返らせていたと。
そのため魔王を封じた当時のアヴァルランドの王は、その罪を贖わせるため魔女の命を取らない代わりに消えない罪の証を残し、彼女らの外見を髪を赤く瞳を緑にしたと伝えられている。
つまり、封じられた魔王が臣下である魔女を通して復活しようとしていると、おそらく王家はそう睨んでいるということだ。
その証拠にメイベルは魔女の配色をしていて、嫉妬と虚栄心で人々を誑かし貶めた罪を咎められ、憂いている。
「冗談じゃない。これ以上、誰かに振り回されるなんて嫌だ!」
しっかりと脱出を図るべく、メイベルは屋敷からありったけの物をかき集めた。
実家から持ち出せた物はあまりなく、屋敷の中もほとんど何もないといっても良かったので、微々たる量にしかならなかったが、ないよりはマシである。
どうやら、昔から魔女扱いに内心腹が立って何も我慢せず生きてきた根性だけは、メイベルを裏切らずにいてくれるようだった。
びっしゃーん! と、特大の雷が落ちる。
直近で落ち凄まじい音だったが、自らを奮い立たせることにいっぱいいっぱいのメイベルは、雷が鳴ったなー程度にしか思っていなかった。
だから、落雷に遭った木が燃え上がり屋敷に倒れてようやく、雷がすぐ傍で落ちたことを知る。
「え、嘘……」
ドンと音と揺れがあって何事かと屋敷を見渡したメイベルは、木から屋敷へ火が燃え移っていることを認めると絶句した。が、すぐに。
「ううん、違う。このまま屋敷を出よう。火災はいい。殿下たちが引き返してくる前に……!」
気を取り直し厨房へ急いだ。
料理をしない貴族令嬢なので、どこに何があるかすべてを把握していないが、冒険はする貴族令嬢なので最低限の目星はついている。
真水は精製出来るから良い。栄養も野生で生っている果実などを摂れば良い。と、くれば残るはカロリー。
「食べ物もかき集めておけば良かった!」
傷むのを避けてこれである。
厨房に入るや、メイベルは視線一つで視界に入る引出を片っ端から魔法で開けていった。勢いあまってナイフやフォークが飛び出してしまったが、ササっと避けて食べ物を探す。
目的の食べ物を見つければ、アイテムボックスに詰め込んだ。メイベルの技量では視線誘導と思考の両立は完璧にこなせないので、ここだけは手作業になる。
「よし……!」
決して充分ではないが、深追いして火に巻かれては事である。メイベルはほどよく切り上げると屋敷の外へ向かった。
星明かりのない嵐で真っ暗闇な夜の中、メイベルは後ろを振り返らず走った。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
前世で孵した竜の卵~幼竜が竜王になって迎えに来ました~
高遠すばる
恋愛
エリナには前世の記憶がある。
先代竜王の「仮の伴侶」であり、人間貴族であった「エリスティナ」の記憶。
先代竜王に真の番が現れてからは虐げられる日々、その末に追放され、非業の死を遂げたエリスティナ。
普通の平民に生まれ変わったエリスティナ、改めエリナは強く心に決めている。
「もう二度と、竜種とかかわらないで生きていこう!」
たったひとつ、心残りは前世で捨てられていた卵から孵ったはちみつ色の髪をした竜種の雛のこと。クリスと名付け、かわいがっていたその少年のことだけが忘れられない。
そんなある日、エリナのもとへ、今代竜王の遣いがやってくる。
はちみつ色の髪をした竜王曰く。
「あなたが、僕の運命の番だからです。エリナ。愛しいひと」
番なんてもうこりごり、そんなエリナとエリナを一身に愛する竜王のラブロマンス・ファンタジー!
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる