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第二章
9.S級に至るはずだった人たち
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――どうしてこうなったんだろう。
キャロル・メイズは、憂鬱な気分でいつもの場所に向かっていた。
念願のS級に上がる前に、ぜんぜん仕事をしてくれない人をお払い箱にして、自分たちはこの青空のように前途洋々だったはずだ。
それがどうして、こんなことになっているのだろう。
キャロルが所属するギルドのパーティーは、今やだれが見ても落ちぶれてしまっていた。
ランクはA級のままだが、飛ぶ鳥を落とす勢いだったのが閑古鳥が鳴くような状態なので、周りからの雑音がすごい。
あるパーティーからは「幸運の女神を手放しちまったんだなぁ」とニヤニヤ笑いながら言われて、腹立たしいといったらなかった。あいつらもバーバラにおもねって彼女を貶していたのに。
キャロルは付与術師だが、ギルドでは仕事をしてくれない人の代わりにずっと治癒術師をやっていた。
パーティー本来の治癒術師は本当に何もしなくて、キャロルは腹立たしくて仕方がなかったから、どうせ兼業なら居ない方がずっとマシだと思っていたのに。
「バーバラ、また部屋を汚して。ココはアンタだけの場所じゃないんだよ」
キャロルが訪れたのは、ダイヤモンドスター名義で借りられている、パーティーメンバーみんなの場所だった。パーティーメンバーから追放した彼女、メイベル・ホックが、バーバラの意向で契約してきた。
「アタシがリーダーだ」
バーバラがギロリと睨みつける。
「リーダーは独裁者って意味でも、家長って意味でもない」
キャロルは忌々しく言い返すと、散らかったゴミの山を見て鼻にしわを寄せた。
「うっ……汚い……」
ダンジョンでもないのに汚れ物なんて触りたくなかった。
キャロルは深くため息をつきたいのを我慢して、指で魔法陣を描いた。それから二言三言呪文を唱えて手をかざし、一個一個片づけていく。
浮遊魔法なんて繊細で高等な術を、こんなことに使うなんて。
キャロルは凋落ぶりにまたげんなりとした。
本当に、とても難しい魔法なのだ。両手も塞がってしまうので、限られた場面でしか使えない欠点もある。
キャロルがやっと深くため息をつけたのは、そんな根気のいる作業を終えて部屋の空気も換気しおえた後だった。
「あーあ……。どうしてあたしがこんなこと……」
こんな雑用、今まではメイベルがやっていた。それしかまともに仕事らしい仕事が出来なかったからだ。
やっぱり、雑用としてなら再雇用してもいいとか、そういう契約の見直しにすれば良かったんじゃないかとキャロルは思う。
「ああ、すまん。間に合わなかったか」
男の声がして、キャロルは急いで入口の方を振り向いた。
「サイラス!」
「よっ。悪いな。一人で片づけさせちまって」
キャロルが喜びの声を上げたのは、新入りのサイラスへだった。
彼は部屋の隅に押しやられているゴミの山を見て、キャロルに謝る。
キャロル・メイズは、憂鬱な気分でいつもの場所に向かっていた。
念願のS級に上がる前に、ぜんぜん仕事をしてくれない人をお払い箱にして、自分たちはこの青空のように前途洋々だったはずだ。
それがどうして、こんなことになっているのだろう。
キャロルが所属するギルドのパーティーは、今やだれが見ても落ちぶれてしまっていた。
ランクはA級のままだが、飛ぶ鳥を落とす勢いだったのが閑古鳥が鳴くような状態なので、周りからの雑音がすごい。
あるパーティーからは「幸運の女神を手放しちまったんだなぁ」とニヤニヤ笑いながら言われて、腹立たしいといったらなかった。あいつらもバーバラにおもねって彼女を貶していたのに。
キャロルは付与術師だが、ギルドでは仕事をしてくれない人の代わりにずっと治癒術師をやっていた。
パーティー本来の治癒術師は本当に何もしなくて、キャロルは腹立たしくて仕方がなかったから、どうせ兼業なら居ない方がずっとマシだと思っていたのに。
「バーバラ、また部屋を汚して。ココはアンタだけの場所じゃないんだよ」
キャロルが訪れたのは、ダイヤモンドスター名義で借りられている、パーティーメンバーみんなの場所だった。パーティーメンバーから追放した彼女、メイベル・ホックが、バーバラの意向で契約してきた。
「アタシがリーダーだ」
バーバラがギロリと睨みつける。
「リーダーは独裁者って意味でも、家長って意味でもない」
キャロルは忌々しく言い返すと、散らかったゴミの山を見て鼻にしわを寄せた。
「うっ……汚い……」
ダンジョンでもないのに汚れ物なんて触りたくなかった。
キャロルは深くため息をつきたいのを我慢して、指で魔法陣を描いた。それから二言三言呪文を唱えて手をかざし、一個一個片づけていく。
浮遊魔法なんて繊細で高等な術を、こんなことに使うなんて。
キャロルは凋落ぶりにまたげんなりとした。
本当に、とても難しい魔法なのだ。両手も塞がってしまうので、限られた場面でしか使えない欠点もある。
キャロルがやっと深くため息をつけたのは、そんな根気のいる作業を終えて部屋の空気も換気しおえた後だった。
「あーあ……。どうしてあたしがこんなこと……」
こんな雑用、今まではメイベルがやっていた。それしかまともに仕事らしい仕事が出来なかったからだ。
やっぱり、雑用としてなら再雇用してもいいとか、そういう契約の見直しにすれば良かったんじゃないかとキャロルは思う。
「ああ、すまん。間に合わなかったか」
男の声がして、キャロルは急いで入口の方を振り向いた。
「サイラス!」
「よっ。悪いな。一人で片づけさせちまって」
キャロルが喜びの声を上げたのは、新入りのサイラスへだった。
彼は部屋の隅に押しやられているゴミの山を見て、キャロルに謝る。
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