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最終章
47.偶然と凋落と計略と②
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彼はそう言うが、彼の仕事は大層なものだった。
弟から証言を丁寧に拾い、クーデターの情報を事前にキャッチした。
この功績は大きい。
「そろそろ始まるぞ」
バーナードの言葉に、従者はすぐに口をつぐみ、それぞれ配置についた。
彼らにはまた役割があった。
バーナードはオズワルドの従者にして、ウーレイン侯爵フォレイン家の者として。
ハワードは同じくオズワルドの従者にして、フローゼン伯爵フローゼン家の者として。
リオンは同じく従者にして、チョボア男爵サンウッド家当主として。
グレイスは一代限りの名誉騎士のため、メイベルの従者として参列し、この式典を支えるのである。
「ヌーンヒル侯爵コルート家の御到着ー!」
コールマンの声が上がった。
まだ招待された貴族たちが到着する段階であるが、ここから実質、式典の始まりである。
「こちらは御当主リチャード様! 御令嬢にして長子フィリッパ様! 御令息にして次期当主フィリップ様!
後ろに控えますは、フィリッパ様の侍女スーザン様! ベルックリン子爵ユポンセル家御令嬢! フィリップ様の従者――!」
未然に防がれたクーデターの話は、もちろん貴族の間で持ちきりだったが、同じくらい注目の的であろう侯爵家の名前と、その口上に、会場はほんの少し、ひそやかに騒めいた。
メイベルの排斥はともかく、フィリッパが長子として名を呼ばれていた。その上で次期当主ではない。と、くれば。
と、噂話があちこちで飛んでいく。
「ヒースト大公の御入場ー!」
王族の入場。
さしもの貴族たちの喋り声も、ピタっと止まる。
「守護竜の恩寵篤きアヴァルランド王国第一王子にして、光輝く広き大地を治めたる公主! オズワルド・アーサー・オーガスタス様!」
その場にいる者たちがいっせいに傅く。
貴族でない者は式典の後半で入場を認められるので、その動作に遅れる者は一人もいない。
王族の男児に伝統の黒髪を颯爽と流し、オズワルドが入場する。
「アヴァロン公の御入場ー!」
ユージェニーが後ろに少女を連れて、式典会場に入った。少女はレースで顔を隠している。
「神竜より賜われたるアヴァルランド王国第一王女にして、神々の恵みを与え給う公主たる王太子! ユージェニー・モルガン・アン様!」
王族の入場のため、貴族たちは少女が気になったが、それを決して口にしない。
そして。
「アヴァルランド女王陛下の御光臨ー!」
最敬礼の中、オールドローズの長い髪を揺らし、女王は現れた。
「アルビアン竜王の御加護によるレルムの統治者にして、トーラス・シターン家に与えられたるアヴァルランド王国国王! ソフィー・ティティス・アレクサンドラ女王陛下!」
そして最後に、女王の後ろに控える者の名が読み上げられた。
「女王陛下王配にしてイーグッド公爵! チャールズ様!」
国王の配偶者が式典で一番最後に読み上げられる名前なのは、この国での伝統であった。王を支える者として、敬意を示してのことである。
女王は上座に着くと、王祖と同じ薄紫色の瞳を貴族たちに向けた。
「今日は、我が娘、ユージェニーの王位継承宣言の式典に、よくぞ参った。
クーデターの話は、そなたらの耳にも届いておろう。我が妹パトリシアの息子にして、我が甥ジェームズを、或いは我が息子オズワルドを国王にと望む者あらば、今のうちに申し出よ。話だけは聞こう」
そう言って、玉座に座る。
しかし、思いもよらない女王の言葉に、会場は緊張感に包まれる。
女王は笑った。
「安心せよ、そのことで処罰はせぬ」
弟から証言を丁寧に拾い、クーデターの情報を事前にキャッチした。
この功績は大きい。
「そろそろ始まるぞ」
バーナードの言葉に、従者はすぐに口をつぐみ、それぞれ配置についた。
彼らにはまた役割があった。
バーナードはオズワルドの従者にして、ウーレイン侯爵フォレイン家の者として。
ハワードは同じくオズワルドの従者にして、フローゼン伯爵フローゼン家の者として。
リオンは同じく従者にして、チョボア男爵サンウッド家当主として。
グレイスは一代限りの名誉騎士のため、メイベルの従者として参列し、この式典を支えるのである。
「ヌーンヒル侯爵コルート家の御到着ー!」
コールマンの声が上がった。
まだ招待された貴族たちが到着する段階であるが、ここから実質、式典の始まりである。
「こちらは御当主リチャード様! 御令嬢にして長子フィリッパ様! 御令息にして次期当主フィリップ様!
後ろに控えますは、フィリッパ様の侍女スーザン様! ベルックリン子爵ユポンセル家御令嬢! フィリップ様の従者――!」
未然に防がれたクーデターの話は、もちろん貴族の間で持ちきりだったが、同じくらい注目の的であろう侯爵家の名前と、その口上に、会場はほんの少し、ひそやかに騒めいた。
メイベルの排斥はともかく、フィリッパが長子として名を呼ばれていた。その上で次期当主ではない。と、くれば。
と、噂話があちこちで飛んでいく。
「ヒースト大公の御入場ー!」
王族の入場。
さしもの貴族たちの喋り声も、ピタっと止まる。
「守護竜の恩寵篤きアヴァルランド王国第一王子にして、光輝く広き大地を治めたる公主! オズワルド・アーサー・オーガスタス様!」
その場にいる者たちがいっせいに傅く。
貴族でない者は式典の後半で入場を認められるので、その動作に遅れる者は一人もいない。
王族の男児に伝統の黒髪を颯爽と流し、オズワルドが入場する。
「アヴァロン公の御入場ー!」
ユージェニーが後ろに少女を連れて、式典会場に入った。少女はレースで顔を隠している。
「神竜より賜われたるアヴァルランド王国第一王女にして、神々の恵みを与え給う公主たる王太子! ユージェニー・モルガン・アン様!」
王族の入場のため、貴族たちは少女が気になったが、それを決して口にしない。
そして。
「アヴァルランド女王陛下の御光臨ー!」
最敬礼の中、オールドローズの長い髪を揺らし、女王は現れた。
「アルビアン竜王の御加護によるレルムの統治者にして、トーラス・シターン家に与えられたるアヴァルランド王国国王! ソフィー・ティティス・アレクサンドラ女王陛下!」
そして最後に、女王の後ろに控える者の名が読み上げられた。
「女王陛下王配にしてイーグッド公爵! チャールズ様!」
国王の配偶者が式典で一番最後に読み上げられる名前なのは、この国での伝統であった。王を支える者として、敬意を示してのことである。
女王は上座に着くと、王祖と同じ薄紫色の瞳を貴族たちに向けた。
「今日は、我が娘、ユージェニーの王位継承宣言の式典に、よくぞ参った。
クーデターの話は、そなたらの耳にも届いておろう。我が妹パトリシアの息子にして、我が甥ジェームズを、或いは我が息子オズワルドを国王にと望む者あらば、今のうちに申し出よ。話だけは聞こう」
そう言って、玉座に座る。
しかし、思いもよらない女王の言葉に、会場は緊張感に包まれる。
女王は笑った。
「安心せよ、そのことで処罰はせぬ」
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