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甘いこと⑤
俺は自分に自信がない。
それは見た目が平凡だからっていうのもある。
昔から、好きになった相手に告白する勇気さえなかった。
だから彼女が一度もできたことがないまま二十五になった。
誰か俺に自信を持たせてくれないか。
そういう他力本願がよくないのに、わかっているのに、誰か…俺が縋っていい人が欲しかった。
かっこいい人を妬むのに努力はしない。
努力したところで無駄だと諦めているから、なにもできない。
こんな俺を見てくれる人なんているはずがない。
関さんはいつも厳しくて、かっこいいけど怖い人だなと思っていた。
でもそれだけ仕事に対して真剣で、尊敬もしていた。
遠い人で、尊敬はするけれど自分もそうなりたいなんて考えられないくらい、俺とは違う世界の人。
食事のときも気を抜いていないのか、食べ方がとても綺麗で目を引かれていた。
モテるのに、誰かと付き合ってるとかそういう浮いた噂がなにもない不思議な人。
というか仕事以外の会話をしてるところを見たことがない。
惚れっぽい俺は優しくされたことでコロッと関さんを好きになってしまった。
でも、絶対告白することなく、いつか関さんが誰かと付き合ったとか結婚したという話を聞くんだろうなと思った。
その人に俺なんかが繰り返し抱かれることなんて、想像もできなかった。
「兼人さん…俺、一度自宅に帰らないと」
「どうして?」
「明日は仕事なので…着替えとか」
土曜日は抱かれ続けて、一日が終わった。
日曜日の昼過ぎ、帰宅しないとと伝えると兼人さんの表情が変わった。
「仕事行くのか?」
「行かないと…いけないので」
「俺が全部カバーするから、素春はうちにいていいよ」
「え…」
それって俺、会社に必要ないってこと?
「でも、俺の任されてる仕事も…」
「俺が全部やっとくから。大丈夫。なにも心配しないで俺を待ってて」
「……」
優しく微笑まれる。
そうか…そうだよな。
俺がやるより兼人さんがやったほうが完璧だし、すぐ終わる。
でも。
「……俺、必要ないですか?」
「素春?」
「関さん、俺、必要ないですか?」
「……」
関さんの表情が歪んでいく。
怯みそうになるのをぐっと堪えて、じっとその目を見る。
「素春は、俺のものになったんだろ?」
「はい」
「だったら俺の部屋にいればいいじゃないか」
「でも仕事はしないと…生活もありますし」
「俺が養う」
「え」
ぎゅっと抱き締められ、思考が止まる。
「俺が養ってやるから、素春はこの部屋から出なくていい」
「それは…」
「離れるな。俺の愛情だけ受け取って」
「あ…」
唇が重なりそうになって慌てて避けると、後頭部を掴まれて強引に唇を塞がれた。
「避けるなよ」
「だって…兼人さ…んっ」
またキスで言葉を呑み込まれる。
舌を吸われて、そのまま魂までずるりと吸い出されてしまったように感じる。
「素春は俺のものなんだ。俺を愛してるんだよ。俺だけを見てればいいんだ」
「あっ…待ってくだ…」
「待たない」
何度も角度を変えて深く唇を重ねられて力が抜けていく。
「…素春、俺のものだ」
「兼人、さ…」
鎖のような愛情が、兼人さんの言葉どおりに俺を雁字搦めにして窒息しそうだ。
「愛してる、素春…素春」
でも徐々にその息苦しさが気持ちよくなってくる。
だめだと思うのに、兼人さんにしがみ付いてしまった。
それは見た目が平凡だからっていうのもある。
昔から、好きになった相手に告白する勇気さえなかった。
だから彼女が一度もできたことがないまま二十五になった。
誰か俺に自信を持たせてくれないか。
そういう他力本願がよくないのに、わかっているのに、誰か…俺が縋っていい人が欲しかった。
かっこいい人を妬むのに努力はしない。
努力したところで無駄だと諦めているから、なにもできない。
こんな俺を見てくれる人なんているはずがない。
関さんはいつも厳しくて、かっこいいけど怖い人だなと思っていた。
でもそれだけ仕事に対して真剣で、尊敬もしていた。
遠い人で、尊敬はするけれど自分もそうなりたいなんて考えられないくらい、俺とは違う世界の人。
食事のときも気を抜いていないのか、食べ方がとても綺麗で目を引かれていた。
モテるのに、誰かと付き合ってるとかそういう浮いた噂がなにもない不思議な人。
というか仕事以外の会話をしてるところを見たことがない。
惚れっぽい俺は優しくされたことでコロッと関さんを好きになってしまった。
でも、絶対告白することなく、いつか関さんが誰かと付き合ったとか結婚したという話を聞くんだろうなと思った。
その人に俺なんかが繰り返し抱かれることなんて、想像もできなかった。
「兼人さん…俺、一度自宅に帰らないと」
「どうして?」
「明日は仕事なので…着替えとか」
土曜日は抱かれ続けて、一日が終わった。
日曜日の昼過ぎ、帰宅しないとと伝えると兼人さんの表情が変わった。
「仕事行くのか?」
「行かないと…いけないので」
「俺が全部カバーするから、素春はうちにいていいよ」
「え…」
それって俺、会社に必要ないってこと?
「でも、俺の任されてる仕事も…」
「俺が全部やっとくから。大丈夫。なにも心配しないで俺を待ってて」
「……」
優しく微笑まれる。
そうか…そうだよな。
俺がやるより兼人さんがやったほうが完璧だし、すぐ終わる。
でも。
「……俺、必要ないですか?」
「素春?」
「関さん、俺、必要ないですか?」
「……」
関さんの表情が歪んでいく。
怯みそうになるのをぐっと堪えて、じっとその目を見る。
「素春は、俺のものになったんだろ?」
「はい」
「だったら俺の部屋にいればいいじゃないか」
「でも仕事はしないと…生活もありますし」
「俺が養う」
「え」
ぎゅっと抱き締められ、思考が止まる。
「俺が養ってやるから、素春はこの部屋から出なくていい」
「それは…」
「離れるな。俺の愛情だけ受け取って」
「あ…」
唇が重なりそうになって慌てて避けると、後頭部を掴まれて強引に唇を塞がれた。
「避けるなよ」
「だって…兼人さ…んっ」
またキスで言葉を呑み込まれる。
舌を吸われて、そのまま魂までずるりと吸い出されてしまったように感じる。
「素春は俺のものなんだ。俺を愛してるんだよ。俺だけを見てればいいんだ」
「あっ…待ってくだ…」
「待たない」
何度も角度を変えて深く唇を重ねられて力が抜けていく。
「…素春、俺のものだ」
「兼人、さ…」
鎖のような愛情が、兼人さんの言葉どおりに俺を雁字搦めにして窒息しそうだ。
「愛してる、素春…素春」
でも徐々にその息苦しさが気持ちよくなってくる。
だめだと思うのに、兼人さんにしがみ付いてしまった。
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