普通の勇者とハーレム勇者

リョウタ

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3章 フェイトエピソード

頼れる?助っ人

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ブローノ王子の依頼を引き受けた後、今度は護衛の話へと移る。勇者とは言え、今の俺達には戦闘能力が殆ど無いので足を引っ張る様で心苦しいが、仕方ない。


「君たち二人と僕を護衛してくれる者だが、実は大勢で押し掛ける訳には行かなくてね……人数はそんなに用意する訳にはいかないんだ」

それもそうだろう。ただでさえ今から向かう場所では険悪な空気となるだろうに、そんな所に大人数で行けば……大袈裟かも知れないが戦争を仕掛けに来たと思われるかも知れない。


「だが安心して欲しい。護衛には我が軍最強の騎士と最強の魔導師を用意している」


やはりそうだろう。騎士はユリウスさんで間違いないと思う。あれだけ自分から最強アピールしてたし。
そして魔導師は…………え?嫌な予感……

俺と穂花ちゃんは「まさかね」と互いに顔を見合わせる。なんか最近どこかで王国最強の魔法使いさんを紹介された覚えがあるんだよな。……てかもうぶっちゃけあの人で確定だわ!


「騎士の方は二人共知ってると思うがユリウス・ギアート……孝志は結構、普段よく話してるんじゃないか?」

「はい……パーティーのエスコートも何故かあの方が行う予定でした」

「はは、それは見てみたかったかも……でも同性の場合はエスコートというより、護衛での付き添いの意味が大きいからエスコートなんて言わないよ」

「ですが、ユリウスさんはエスコートと言ってましたよ?」

「それは……ふふっ、彼の意地悪だろうね」

「──貴重な……情報提供……ありがとうございます……ブローノ王子…!」

あの親父あとで問い詰めてやる…!
何がエスコートだよ!ただの護衛なら最初からそう言えよ!しょうもない冗談言いやがって……いつも嘘や冗談ばかり言ってる俺も人のこと言えない気もするが。


「そしてもう一名の魔術師の方がオーティス・アルカナと言う人物だが、彼のことは知っているかな?」

「……はい」

残念ながら知ってます…
俺が力弱く『はい』と返事をすると、隣に座っている穂花ちゃんは遠い目をする。
そしてそれを見たブローノ王子は、既に彼と俺達が顔を合わせした事を察した様で、微笑みを浮かべた。


「確かに彼は変わり者だが、ああ見えて人間性は素晴らしいよ。そして魔法に関してはラクスール王国内において右に出る者はいない、最強の魔法使いで間違いない」

あの人の凄さは何と無く分かるんだけど『変わり者』の部分のマイナス要素が余りに大き過ぎやしませんか?
いや、あまり我儘を言ってる場合じゃないな。
それにユリウスさんも来てくれるし、あの人が代わりにオーティスさんと遊んでくれるだろう。
これでパーティーの件はチャラだ、良かったなユリウスさん、俺に許されるぜ?


──そして獣人国へは俺と、ブローノ王子、穂花ちゃん、ユリウスさん、オーティスさんの5人……非公式だがアルマスを入れた6人で行くことになった。


「──それでは、明日の午前9時に迎えを出す。それまで短い時間だがゆっくりしてくれ」

だいたい今から12時間後か……まだ寝る時間には早いが、明日に備えて今日は早めに寝るとしよう。


「わかりました、では失礼します」

「私も失礼します」

俺と穂花ちゃんは礼儀正しく挨拶をして部屋を出ようとするが、出る直前にブローノ王子に引き止められた。


「あ、それとこれを受け取ってくれ……冒険に必要な物だ」

俺と穂花ちゃんはそれぞれ別の道具を受け取る。
見た目ではどういう効果があるか俺のも穂花ちゃんのもわからない。


「「これは何ですか?」」

「ああ、これはだな───」


──受け取った道具の説明を聞いた俺と穂花ちゃんは、それを大事に仕舞い込んだ。


───────


ブローノ王子と別れてから少し歩き、今は大きな声をあげてもブローノ王子の部屋まで届かない場所まで移動して居る。
すると、穂花ちゃんが元気いっぱいにこんな事を言い出した。


「孝志さん!冒険ですよ!楽しみですね!」

悪いけど俺ってインドアだから、冒険するより部屋に引きこもって居たい……穂花ちゃんノリ悪くてごめんね……?


「若いっていいな~」

俺はボソッと、冗談交じりでそんな言葉を返した。


「孝志さん産まれてからまだ17年と4ヶ月と19日しか経ってないですよね?!全然若いじゃないですか!」

「それもそうか……え?俺の産まれに詳し過ぎない?」

穂花ちゃんの凄まじい記憶力に俺は驚かされるばかりだ。けど日にちまで言い当てられると流石に怖いよ?


──俺は穂花ちゃんを部屋まで送り届けた後、明日からの事について少し考えてみた。
俺は帰り際にブローノ王子に頂いた魔法のアイテム【収納ボックス】を取り出す。
一見、ただの布袋にしか見えないが何でもあらゆる物質や食料をこの中に入れると、その物質は縮小され重さも無くなるという。
因みに、生物なんかを入れることは出来ないそうだ。

直ぐに寝るつもりだったが、良い物を貰ったし、寝る前に必要な物を個人的に用意しておくか…

俺は部屋には帰らずに、違う場所へ向かう事に決めた。





──明日、俺は獣人国へ向かう。

ブローノ王子から獣人国の話を聞いて、俺は直ぐに今朝見た夢を思い出した。
しかも、その通りに事が進んで行くもんだから少し鳥肌も立った。

確かミカエル大草原にある洞窟に向えと言ってたっけ?
行きは急がなくてはならないので無理だと思うが、帰りにブローノ王子かユリウスさんにお願いして連れて行って貰おうかな?



それにしても初の冒険の旅が謝罪目的とか……いや、この感じが何とも俺らしい。
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