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一章『迷い猫の愁い』
その四
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降り立った彼――世助の足元に蹲る男は、人ひとり分の体重と重力によって肩の骨を砕かれたようだった。男が痛い痛いと声を上げながら悶えているのを見るなり、世助はその男の頚椎へ素早く踵を落とす。
「この程度なら病院に放り込みゃどうにかなるだろ」
世助が降ってきた時、私は下敷きになった男が潰れ死んだのではないかと肝を冷やしたが、彼は着地場所をちゃんと考えて降りてきたらしい。頸椎をすぐさま打ち抜いて気絶させたのも、必要以上の苦痛を感じさせないようにという彼なりのお情けだったようだ。
残った男たちへ目を向けると、世助は私を背後に私を庇いながら言う。
「悪い、遅くなった」
どうしてここが分かったのだろう。まるで迷路みたいに入り組んだ路地なのに。私は気になりはしたけれど、今はそんなことを詮索している時ではない。それよりも彼に伝えるべきことがある。
「世助、気をつけて。あいつら動きを先読みしてくる」
私を追いかける時、男たちは私の進路を的確に先回りしてきた。彼らがこの路地の地図を自宅の庭のように把握しているのもあるだろうけれど、進路を何度変えても同じことが起これば、私の動きを先読みしているという考え方が一番しっくりくる。勿論、そんな神通力でも使うような真似が果たして人間に可能なのかというところだけど……。
「心配いらねえさ。対処法なんざいくらでもあらぁ」
世助は不敵に答えると、懐から何かを取り出した。
「逃げるんじゃねぇぞ。全員一発ずつで済ませてやっからよ」
取り出されたのは、黒い革手袋だった。それを両手にはめながら威嚇する世助。
背後にいた私は、そんな彼からただならぬ雰囲気を感じた。『殺気』とはいささか違うものの、それに類似した気配ではある。けれど、首にぐっと手をかけられたかのような目に見えない圧力は、十九歳の年若い青年から放たれているものとは到底思えない。
どこか幼さの残る外見とは釣り合わない彼の凄みに、真正面から対峙している男たちは気圧されていた。
「たかがガキが一人増えただけじゃねえか。不意をつかれたくらいでビビってんじゃねぇぞ」
ただ一人、主犯格の『先生』だけはすぐに持ち直したようだが、残る手下二人は目に見えて萎縮している。
「このガキがどれだけ強かったとしても、所詮は生身の人間だ。不意打ちはともかく、正面からやり合って負ける道理はねえ」
「……!」
「そうだ、俺らには『先生』がついてる!」
何か分からないが、手下もその言葉に挫けかけた心を立て直したようだった。片方がいつの間にか持っていた鉄パイプを世助に向ける。もう片方も未だに震えはしていたものの、同じく鈍器を構える。
引っ立てられた手下たちは揃って喊声をあげ、世助に襲いかかった。力んで振り上げた鉄パイプが世助の体に到達するかと思われたその時に――世助はふっ、と動く。
文字通り。ただ、ふっ、というごくわずかな呼気の音がした。それが、男たちと世助の明らかな違い。足音を立てながら走り寄り、力任せに武器を振るっていた男たちに対し、世助は足音も衣擦れも、どころか空気の音さえ立てなかった。一切の雑音が、私の耳には入らなかった。
「がッ……!?」
鉄パイプが肉体へ振り下ろされるよりも前に懐へ滑り込んだ世助は、そのまま一人目の鳩尾へ一撃を見舞う。重い一撃、とまでは言わないが、世助に向かって突進していた男にはそれで十分だった。硬い拳は急所へ深々とめり込み、男はその場に崩れ落ちる。
目の前で起きた一瞬の出来事に動揺し、動きが止まった二人目。勿論、世助はその隙も見逃さない。一人目を殴り抜いたその軌道に乗ったまま、彼は体を大きく捻り、脚を振り上げる。なめらかな流線を描いた脚の先はまるで金槌のような重厚さを持って、相手の頭部へと命中する。断末魔を上げることもなく昏倒する男。
――たった一秒くらいの間に起こった出来事に対して、私は言葉を失った。
確かに私は、世助が戦えることを旦那様の口からも聞いていた。彼が旦那様の介助人をしているのは介助役が適任だからというだけではなく、同時に旦那様の護衛にも適しているからなのだと。だから、彼がある程度以上の実力の持ち主であることは知っていた。されど、実際に彼が戦っている場面を目にすると、驚愕を禁じ得ない。彼の強さは想像を遥かにしのいでいた。
対処法なんて実に単純明快。動きが読まれてしまうなら、それに対応される前に倒してしまえばいい――それ即ち、相手を上回る速度で攻撃するということ。そしてそれは、彼にとって特段意識しなければいけないものでもなかったようだ。ただ単純に、彼が持っていた実力が素直に発揮されただけのことだった。
「で、残るはあんた一人だけど」
まるで蚊でも払ってきたかのような淡々とした声で世助は言う。
「どうする? 大人しく降参してくれるんなら一発で済ませるけど」
けれど、それでも『先生』とやらに動揺は見られなかった。あの立ち回りを前にしても動じない胆力は、さすが頭目を張っているだけあると言うべきなのかもしれない。
「確かにガキにしてはできるようだが、所詮はただのガキだ」
一分の隙も許さないような鋭い眼光が、世助をまっすぐにとらえていた。
「いいのか、そんなこと言って。傲り高ぶるやつは痛い目を見るって、昔っから相場が決まってるんだぜ」
「その台詞、そっくりそのまま返すぞ」
相手のどこから沸いてくるのか分からない自信には、さすがの世助も妙に思ったようだ。まさか、あの男が虚勢を張るだけの馬鹿とは思えないし、その上であんな台詞を堂々と言ってのけるのだから、相手には世助の体術に対抗する術があるということなのだろうか。
「一応、もう一回言うぞ。大人しく降参してくれねえか。あんたがどんな技を隠し持ってるかは知らねえが、おれの体術はそれにも対応する。どの道あんたはおれに負けるし、いらねえ怪我はしたくねえだろ。これは傲りでも脅しでもねえ。単なる事実を言ってるだけだ」
「……いつまでも粋がるなよ、ガキ」
今度こそ世助の言葉が癪に障ったのか、男は世助を睨み据え、臨戦態勢に入る。男が右へ一歩足を運べば、世助もまた右へ一歩足を運ぶ。二歩進めば同じように二歩進み――双方が間合いを保ちつつ、はかりつつ、互いに踏み込む時機を見計らっていた。相手の呼吸を数え合う二人の周囲に、澱のような空気が立ちこめる。
あまりの緊迫感に、同じ空間にいる私まで息苦しくなってくる。それでも、睨めつけ合う二人に視線は釘付けで、一度でも瞬きすればたちまち火花が弾けそうな危うさだった。
――実際に状況が動いたのは、本当に唐突だった。淀んだ空気を一気に吹き飛ばさんばかりの風が、路地をひゅうっと駆け抜ける。風が髪を揺らしたかと思えば、既に戦いの火蓋は切られていた。
――ふっ、とまた呼気の音。世助が動く瞬間にだけ聞こえる、ごく小さな音。しかしてそれは、予想外にも乱される。
「っ!」
私が再び彼らを視界に捉えたとき、世助は一撃目を既に放っていた。黒手袋をはめた右拳は、男の顔の中心へと目標を定めていた。
男の方はそれに全く遅れを取ることなく――世助の拳を防いでいる。寸分の狂いもない、完璧な防御だった。
男の側から次の一手が繰り出される。拳を突き出したことによって生まれた隙を狙う、右脇腹への打撃。
しかし世助もすぐに体勢を立て直し、脇腹を打たせることなく素早く距離を取る。
僅かながら驚きを見せた世助を、男がくく、と嗤う。
「どうした? 一発で済ませるんじゃなかったのか?」
挑発するような男の態度。世助は冷静に呼吸を整えると、再度構え直す。そして間髪入れずに、今度は男の左側へ足を踏み込んだ――かのように、私には見えた。
実際には、左側へ行くと見せかけて下へ潜り込み、上に向けて突き上げを仕掛けていたようだった。しかしそれも男は見切り、足を一歩引くことで回避した。
二度目ともなれば、世助もそれのみでは引かない。さらに一歩足を踏み込んで、その肉体を正拳突きで穿とうとする。男はそれを横へ受け流す。反撃は許さないとばかりに三発目――ふっ、と鋭く息を吐き出して、もう一度急所を穿つ一撃を。
その時、世助の右腕を男が掴んだ。男のもう片方の手が世助のシャツの襟も掴もうとする。それを払いのけると、逆に今度は世助が男の右襟を掴み、懐――いや、それよりも上の方を目指して、深く潜り込む。
左腕を塞がれた状態で襟を引かれれば、これにはさしもの男も対処しきれないようだった。世助が仕掛けた頭突きは、せめてもの抵抗で狙いからは少し逸れてしまったものの――男の唇と前歯へようやく命中した。
「ぶがッ……!」
痛みで男が怯んだ隙に、掴まれた腕を振り払う世助。彼の動きの素早さでそのまま畳みかけられることを危惧したのか、男は前方を大きく拳でなぎ払う。それを躱しつつ、一度後退する世助。
「やっぱり、手下たちの統率が取れてたってのはあんたのおかげだったんだな。あんた、相手の思考を読めるんだろ?」
世助は今の戦いではっきりと確信していた。それはおそらく、私よりも明瞭な確信。
「もしやと思ってできるだけ頭ン中を空っぽにして戦ってたんだけど、そう上手くはいかねえもんだ。どれだけ攻撃速度を上げても、どれだけ判断速度を上げても、相手の動きを見極めてここに当てようって考えちまう以上はどうしても読まれるわけか」
相手の隠した手札を読んだ上で対策を講じても、一撃を負わせるだけでこうも苦戦してしまうなんて――彼の圧倒的な強さに安堵していた私は、一抹の不安を覚えた。
けれど、対峙している世助は何故か楽しそうに笑っている。
「素直に感心したぜ。あんた、すげえ反射神経してんだな」
これだけ強い手札を持っていて、まさか先制されるとは思ってもみなかったのだろう。世助の実力を身を以て体感した男の顔は、初めて戦慄に歪んでいた。
「さっきのは運が良かっただけだ。あんたが判断を誤ってくれなきゃ、一発も入らなかっただろうよ」
世助が頭突きを繰り出してくると読んだであろうあの時、男は掴んでいた世助の腕をすぐさま放すべきだった。刹那の判断の遅れも、それによる隙を見逃さなかったのも、どちらも実力のうち。そうとらえれば、先ほどの攻防も――読心術などという特別な力を用いずに戦っている世助の実力の方が、男よりも数段上であった証明に他ならない。
しかしながら私は、それを目で追えている私自身にも驚いていた。常人なら何が起こっているかちっとも分からないだろうに、私にはそれが理解できているのだ。自分で言うのもなんだけど、私の動体視力は少なくとも一般的な人間のものではなかった。
「ぐっ……こ、このガキ――!」
先ほどの世助の台詞に、相手の粗をあげつらう意図はなかったのかもしれない。しかし、男には彼の言い方が随分と鼻についたらしかった。相手の思考が読めるという圧倒的に有利な力を有していて、しかも実際に戦うまではあんなに威張っていたのに、そんな自分があろうことかなんの能力も持たない年若い青年に引けを取ってしまった。男の苦虫を噛み潰したよう表情からは、そんな屈辱の念が色濃く滲んでいた。
それとは別に、世助は本気で理解しがたいといった表情を浮かべて、男に問いかけた。
「なあ、あんた。そんなに強いのになんで売人なんかに身をやつしてんだ? その強さなら軍人なり帝国司書なりでやっていけただろ」
「……はっ! あんな安月給で生活しろってか? 笑わせんな」
純粋な疑問を投げかける世助に、男はまるで馬鹿を見るような目で返答する。
「命がけで働かされるってのに、給料が割に合わねえんだよ。真面目に働いて損をするくらいなら、もっと手軽に金を稼ぐ方法を考えるさ」
「……ふうん?」
私は男の物言いに首を傾げた。
世間的に見れば、軍人や帝国司書はいわゆる『勝ち組』に位置づけられている職だ。当然、その認識が強い一般市民なら、軍人や帝国司書は高い給料を貰って裕福な私生活を送っている、という考えが出てくるはず。けれどこの男は、給料を『安月給』などと表現した。明らかに、一般市民から出てくるような考え方ではない。
「なるほどね。あんた、現役の帝国司書だったのか」
私が覚えた違和感には、世助が答えてくれた。
「それも、禁書回収部隊の隊員だろ。その心を読む術は禁書の能力、って考えりゃ辻褄が合う」
さらに、世助は男が犯した所業の真相まで的確に指摘する。
「帝国司書隊の立場を悪用して原本をくすね、それを闇市に流した。
――ただ金がほしいってだけの理由で、作家たちが心血注いで紡いだ『本』を穢しやがったな?」
男はそれを沈黙で肯定する。すると、世助のまなじりが急速に、ぎゅっと吊り上がった。
「一発食らわせたけど、もう一発殴る」
手下の男たちも含め、余計な怪我は負わせまいと立ち回っていた世助だったけれど、これには堪忍袋の緒を切らしたようだった。腕全体の血管が浮き出るほど握り込まれた拳からは、革手袋のギチギチという音が聞こえてきそうだ。
「覚悟しやがれ、その鼻今すぐへし折ってや――」
世助が派手に啖呵を切ろうとしたところで、再び路地を強風が吹き抜ける。
――ここで事件は起こった。
「……あっ!」
緊迫した空気の中、路地を吹き抜けた風が――私のスカートを思い切りめくったのだ。ちなみに、私の制服のスカートは丈がかなり短かった。だから、その中身は容易く見えてしまう。
「ぬぁっ!?」
それがちょうど、世助と対峙していた男の視界に入ったらしい。男は私のスカートの中身……即ち下着を目にするなり、分かりやすく動揺した。
「…………」
見得を切り損ねた世助は、口上の続きを述べる威勢を削がれてしまったようだった。
一度破綻した場面を再び立て直すのには、かなり屈強な精神が要る。しかし、世助は私に背を向けたまま、その場で硬直していた。どうやら彼も、自分の背後で何が起こったのかまでは察してしまったらしい。
いよいよというところで微妙な空気になってしまったのをどうすればいいのか。私には分からなかった。
分からなかったけれど――ただ、この戦況を動かす術はあった。
私はスカートの先を摘まむと、
「ほら、見なさいよ」
としっかりとめくり上げ、中身を男に見せつける。
「「ぶふぉッ!?」」
今度は男のみならず、私の方を見ていない世助までもが奇声を発した。
「あ、頭イカれてんじゃねぇか、この女!?」
男は顔を真っ赤にし、狼狽えていた。……そういえばこの男、私をとらえたときも一人だけ女体に興味を示していなかったような気がする。
もしかして、この手は使えるかもしれない。
「あら、これでも足りないの? じゃあこれならどう?」
ここは恥じらいなんだの、品がどうのと言っている場合ではない。私は大胆に、下着を結びつけている腰の紐に手をかける。
「うわああああ馬鹿やめろ!!」
男はいよいよ取り乱す。世助は振り返らない。ただ、茶髪の隙間から覗いた耳はこの上なく赤かった。
私は淑女らしい感情のアレソレをすべてかなぐり捨てて、下着の紐の結び目をゆっくりと、焦らすようにほどいた。
「だからやめろって言って――」
「てめえもしっかり見てんじゃねぇええええ!!」
突然、それまで目を背けたまま固まっていた世助が怒声を上げる。怒りの沸くままに振るわれた拳骨は、まるで金槌を振り下ろしたかのように、男の脳天に直撃する。
多分、今日の彼から放たれた中では、最上級に力の籠もった拳だったのだろう。捻りの利いた拳骨で頬を殴られた男は、乱暴にあつかわれたゴム鞠のごとく地面へと叩きつけられ、跳ね返った。
「この程度なら病院に放り込みゃどうにかなるだろ」
世助が降ってきた時、私は下敷きになった男が潰れ死んだのではないかと肝を冷やしたが、彼は着地場所をちゃんと考えて降りてきたらしい。頸椎をすぐさま打ち抜いて気絶させたのも、必要以上の苦痛を感じさせないようにという彼なりのお情けだったようだ。
残った男たちへ目を向けると、世助は私を背後に私を庇いながら言う。
「悪い、遅くなった」
どうしてここが分かったのだろう。まるで迷路みたいに入り組んだ路地なのに。私は気になりはしたけれど、今はそんなことを詮索している時ではない。それよりも彼に伝えるべきことがある。
「世助、気をつけて。あいつら動きを先読みしてくる」
私を追いかける時、男たちは私の進路を的確に先回りしてきた。彼らがこの路地の地図を自宅の庭のように把握しているのもあるだろうけれど、進路を何度変えても同じことが起これば、私の動きを先読みしているという考え方が一番しっくりくる。勿論、そんな神通力でも使うような真似が果たして人間に可能なのかというところだけど……。
「心配いらねえさ。対処法なんざいくらでもあらぁ」
世助は不敵に答えると、懐から何かを取り出した。
「逃げるんじゃねぇぞ。全員一発ずつで済ませてやっからよ」
取り出されたのは、黒い革手袋だった。それを両手にはめながら威嚇する世助。
背後にいた私は、そんな彼からただならぬ雰囲気を感じた。『殺気』とはいささか違うものの、それに類似した気配ではある。けれど、首にぐっと手をかけられたかのような目に見えない圧力は、十九歳の年若い青年から放たれているものとは到底思えない。
どこか幼さの残る外見とは釣り合わない彼の凄みに、真正面から対峙している男たちは気圧されていた。
「たかがガキが一人増えただけじゃねえか。不意をつかれたくらいでビビってんじゃねぇぞ」
ただ一人、主犯格の『先生』だけはすぐに持ち直したようだが、残る手下二人は目に見えて萎縮している。
「このガキがどれだけ強かったとしても、所詮は生身の人間だ。不意打ちはともかく、正面からやり合って負ける道理はねえ」
「……!」
「そうだ、俺らには『先生』がついてる!」
何か分からないが、手下もその言葉に挫けかけた心を立て直したようだった。片方がいつの間にか持っていた鉄パイプを世助に向ける。もう片方も未だに震えはしていたものの、同じく鈍器を構える。
引っ立てられた手下たちは揃って喊声をあげ、世助に襲いかかった。力んで振り上げた鉄パイプが世助の体に到達するかと思われたその時に――世助はふっ、と動く。
文字通り。ただ、ふっ、というごくわずかな呼気の音がした。それが、男たちと世助の明らかな違い。足音を立てながら走り寄り、力任せに武器を振るっていた男たちに対し、世助は足音も衣擦れも、どころか空気の音さえ立てなかった。一切の雑音が、私の耳には入らなかった。
「がッ……!?」
鉄パイプが肉体へ振り下ろされるよりも前に懐へ滑り込んだ世助は、そのまま一人目の鳩尾へ一撃を見舞う。重い一撃、とまでは言わないが、世助に向かって突進していた男にはそれで十分だった。硬い拳は急所へ深々とめり込み、男はその場に崩れ落ちる。
目の前で起きた一瞬の出来事に動揺し、動きが止まった二人目。勿論、世助はその隙も見逃さない。一人目を殴り抜いたその軌道に乗ったまま、彼は体を大きく捻り、脚を振り上げる。なめらかな流線を描いた脚の先はまるで金槌のような重厚さを持って、相手の頭部へと命中する。断末魔を上げることもなく昏倒する男。
――たった一秒くらいの間に起こった出来事に対して、私は言葉を失った。
確かに私は、世助が戦えることを旦那様の口からも聞いていた。彼が旦那様の介助人をしているのは介助役が適任だからというだけではなく、同時に旦那様の護衛にも適しているからなのだと。だから、彼がある程度以上の実力の持ち主であることは知っていた。されど、実際に彼が戦っている場面を目にすると、驚愕を禁じ得ない。彼の強さは想像を遥かにしのいでいた。
対処法なんて実に単純明快。動きが読まれてしまうなら、それに対応される前に倒してしまえばいい――それ即ち、相手を上回る速度で攻撃するということ。そしてそれは、彼にとって特段意識しなければいけないものでもなかったようだ。ただ単純に、彼が持っていた実力が素直に発揮されただけのことだった。
「で、残るはあんた一人だけど」
まるで蚊でも払ってきたかのような淡々とした声で世助は言う。
「どうする? 大人しく降参してくれるんなら一発で済ませるけど」
けれど、それでも『先生』とやらに動揺は見られなかった。あの立ち回りを前にしても動じない胆力は、さすが頭目を張っているだけあると言うべきなのかもしれない。
「確かにガキにしてはできるようだが、所詮はただのガキだ」
一分の隙も許さないような鋭い眼光が、世助をまっすぐにとらえていた。
「いいのか、そんなこと言って。傲り高ぶるやつは痛い目を見るって、昔っから相場が決まってるんだぜ」
「その台詞、そっくりそのまま返すぞ」
相手のどこから沸いてくるのか分からない自信には、さすがの世助も妙に思ったようだ。まさか、あの男が虚勢を張るだけの馬鹿とは思えないし、その上であんな台詞を堂々と言ってのけるのだから、相手には世助の体術に対抗する術があるということなのだろうか。
「一応、もう一回言うぞ。大人しく降参してくれねえか。あんたがどんな技を隠し持ってるかは知らねえが、おれの体術はそれにも対応する。どの道あんたはおれに負けるし、いらねえ怪我はしたくねえだろ。これは傲りでも脅しでもねえ。単なる事実を言ってるだけだ」
「……いつまでも粋がるなよ、ガキ」
今度こそ世助の言葉が癪に障ったのか、男は世助を睨み据え、臨戦態勢に入る。男が右へ一歩足を運べば、世助もまた右へ一歩足を運ぶ。二歩進めば同じように二歩進み――双方が間合いを保ちつつ、はかりつつ、互いに踏み込む時機を見計らっていた。相手の呼吸を数え合う二人の周囲に、澱のような空気が立ちこめる。
あまりの緊迫感に、同じ空間にいる私まで息苦しくなってくる。それでも、睨めつけ合う二人に視線は釘付けで、一度でも瞬きすればたちまち火花が弾けそうな危うさだった。
――実際に状況が動いたのは、本当に唐突だった。淀んだ空気を一気に吹き飛ばさんばかりの風が、路地をひゅうっと駆け抜ける。風が髪を揺らしたかと思えば、既に戦いの火蓋は切られていた。
――ふっ、とまた呼気の音。世助が動く瞬間にだけ聞こえる、ごく小さな音。しかしてそれは、予想外にも乱される。
「っ!」
私が再び彼らを視界に捉えたとき、世助は一撃目を既に放っていた。黒手袋をはめた右拳は、男の顔の中心へと目標を定めていた。
男の方はそれに全く遅れを取ることなく――世助の拳を防いでいる。寸分の狂いもない、完璧な防御だった。
男の側から次の一手が繰り出される。拳を突き出したことによって生まれた隙を狙う、右脇腹への打撃。
しかし世助もすぐに体勢を立て直し、脇腹を打たせることなく素早く距離を取る。
僅かながら驚きを見せた世助を、男がくく、と嗤う。
「どうした? 一発で済ませるんじゃなかったのか?」
挑発するような男の態度。世助は冷静に呼吸を整えると、再度構え直す。そして間髪入れずに、今度は男の左側へ足を踏み込んだ――かのように、私には見えた。
実際には、左側へ行くと見せかけて下へ潜り込み、上に向けて突き上げを仕掛けていたようだった。しかしそれも男は見切り、足を一歩引くことで回避した。
二度目ともなれば、世助もそれのみでは引かない。さらに一歩足を踏み込んで、その肉体を正拳突きで穿とうとする。男はそれを横へ受け流す。反撃は許さないとばかりに三発目――ふっ、と鋭く息を吐き出して、もう一度急所を穿つ一撃を。
その時、世助の右腕を男が掴んだ。男のもう片方の手が世助のシャツの襟も掴もうとする。それを払いのけると、逆に今度は世助が男の右襟を掴み、懐――いや、それよりも上の方を目指して、深く潜り込む。
左腕を塞がれた状態で襟を引かれれば、これにはさしもの男も対処しきれないようだった。世助が仕掛けた頭突きは、せめてもの抵抗で狙いからは少し逸れてしまったものの――男の唇と前歯へようやく命中した。
「ぶがッ……!」
痛みで男が怯んだ隙に、掴まれた腕を振り払う世助。彼の動きの素早さでそのまま畳みかけられることを危惧したのか、男は前方を大きく拳でなぎ払う。それを躱しつつ、一度後退する世助。
「やっぱり、手下たちの統率が取れてたってのはあんたのおかげだったんだな。あんた、相手の思考を読めるんだろ?」
世助は今の戦いではっきりと確信していた。それはおそらく、私よりも明瞭な確信。
「もしやと思ってできるだけ頭ン中を空っぽにして戦ってたんだけど、そう上手くはいかねえもんだ。どれだけ攻撃速度を上げても、どれだけ判断速度を上げても、相手の動きを見極めてここに当てようって考えちまう以上はどうしても読まれるわけか」
相手の隠した手札を読んだ上で対策を講じても、一撃を負わせるだけでこうも苦戦してしまうなんて――彼の圧倒的な強さに安堵していた私は、一抹の不安を覚えた。
けれど、対峙している世助は何故か楽しそうに笑っている。
「素直に感心したぜ。あんた、すげえ反射神経してんだな」
これだけ強い手札を持っていて、まさか先制されるとは思ってもみなかったのだろう。世助の実力を身を以て体感した男の顔は、初めて戦慄に歪んでいた。
「さっきのは運が良かっただけだ。あんたが判断を誤ってくれなきゃ、一発も入らなかっただろうよ」
世助が頭突きを繰り出してくると読んだであろうあの時、男は掴んでいた世助の腕をすぐさま放すべきだった。刹那の判断の遅れも、それによる隙を見逃さなかったのも、どちらも実力のうち。そうとらえれば、先ほどの攻防も――読心術などという特別な力を用いずに戦っている世助の実力の方が、男よりも数段上であった証明に他ならない。
しかしながら私は、それを目で追えている私自身にも驚いていた。常人なら何が起こっているかちっとも分からないだろうに、私にはそれが理解できているのだ。自分で言うのもなんだけど、私の動体視力は少なくとも一般的な人間のものではなかった。
「ぐっ……こ、このガキ――!」
先ほどの世助の台詞に、相手の粗をあげつらう意図はなかったのかもしれない。しかし、男には彼の言い方が随分と鼻についたらしかった。相手の思考が読めるという圧倒的に有利な力を有していて、しかも実際に戦うまではあんなに威張っていたのに、そんな自分があろうことかなんの能力も持たない年若い青年に引けを取ってしまった。男の苦虫を噛み潰したよう表情からは、そんな屈辱の念が色濃く滲んでいた。
それとは別に、世助は本気で理解しがたいといった表情を浮かべて、男に問いかけた。
「なあ、あんた。そんなに強いのになんで売人なんかに身をやつしてんだ? その強さなら軍人なり帝国司書なりでやっていけただろ」
「……はっ! あんな安月給で生活しろってか? 笑わせんな」
純粋な疑問を投げかける世助に、男はまるで馬鹿を見るような目で返答する。
「命がけで働かされるってのに、給料が割に合わねえんだよ。真面目に働いて損をするくらいなら、もっと手軽に金を稼ぐ方法を考えるさ」
「……ふうん?」
私は男の物言いに首を傾げた。
世間的に見れば、軍人や帝国司書はいわゆる『勝ち組』に位置づけられている職だ。当然、その認識が強い一般市民なら、軍人や帝国司書は高い給料を貰って裕福な私生活を送っている、という考えが出てくるはず。けれどこの男は、給料を『安月給』などと表現した。明らかに、一般市民から出てくるような考え方ではない。
「なるほどね。あんた、現役の帝国司書だったのか」
私が覚えた違和感には、世助が答えてくれた。
「それも、禁書回収部隊の隊員だろ。その心を読む術は禁書の能力、って考えりゃ辻褄が合う」
さらに、世助は男が犯した所業の真相まで的確に指摘する。
「帝国司書隊の立場を悪用して原本をくすね、それを闇市に流した。
――ただ金がほしいってだけの理由で、作家たちが心血注いで紡いだ『本』を穢しやがったな?」
男はそれを沈黙で肯定する。すると、世助のまなじりが急速に、ぎゅっと吊り上がった。
「一発食らわせたけど、もう一発殴る」
手下の男たちも含め、余計な怪我は負わせまいと立ち回っていた世助だったけれど、これには堪忍袋の緒を切らしたようだった。腕全体の血管が浮き出るほど握り込まれた拳からは、革手袋のギチギチという音が聞こえてきそうだ。
「覚悟しやがれ、その鼻今すぐへし折ってや――」
世助が派手に啖呵を切ろうとしたところで、再び路地を強風が吹き抜ける。
――ここで事件は起こった。
「……あっ!」
緊迫した空気の中、路地を吹き抜けた風が――私のスカートを思い切りめくったのだ。ちなみに、私の制服のスカートは丈がかなり短かった。だから、その中身は容易く見えてしまう。
「ぬぁっ!?」
それがちょうど、世助と対峙していた男の視界に入ったらしい。男は私のスカートの中身……即ち下着を目にするなり、分かりやすく動揺した。
「…………」
見得を切り損ねた世助は、口上の続きを述べる威勢を削がれてしまったようだった。
一度破綻した場面を再び立て直すのには、かなり屈強な精神が要る。しかし、世助は私に背を向けたまま、その場で硬直していた。どうやら彼も、自分の背後で何が起こったのかまでは察してしまったらしい。
いよいよというところで微妙な空気になってしまったのをどうすればいいのか。私には分からなかった。
分からなかったけれど――ただ、この戦況を動かす術はあった。
私はスカートの先を摘まむと、
「ほら、見なさいよ」
としっかりとめくり上げ、中身を男に見せつける。
「「ぶふぉッ!?」」
今度は男のみならず、私の方を見ていない世助までもが奇声を発した。
「あ、頭イカれてんじゃねぇか、この女!?」
男は顔を真っ赤にし、狼狽えていた。……そういえばこの男、私をとらえたときも一人だけ女体に興味を示していなかったような気がする。
もしかして、この手は使えるかもしれない。
「あら、これでも足りないの? じゃあこれならどう?」
ここは恥じらいなんだの、品がどうのと言っている場合ではない。私は大胆に、下着を結びつけている腰の紐に手をかける。
「うわああああ馬鹿やめろ!!」
男はいよいよ取り乱す。世助は振り返らない。ただ、茶髪の隙間から覗いた耳はこの上なく赤かった。
私は淑女らしい感情のアレソレをすべてかなぐり捨てて、下着の紐の結び目をゆっくりと、焦らすようにほどいた。
「だからやめろって言って――」
「てめえもしっかり見てんじゃねぇええええ!!」
突然、それまで目を背けたまま固まっていた世助が怒声を上げる。怒りの沸くままに振るわれた拳骨は、まるで金槌を振り下ろしたかのように、男の脳天に直撃する。
多分、今日の彼から放たれた中では、最上級に力の籠もった拳だったのだろう。捻りの利いた拳骨で頬を殴られた男は、乱暴にあつかわれたゴム鞠のごとく地面へと叩きつけられ、跳ね返った。
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