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六章『花、熱る 後編』
その六
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「あーあ、やっちまったよ。やっちまった」
島をかき乱した嵐はおさまり、空が薄明るくなってくる時分――おれは布団の中でうつ伏せになりながら脚をバタバタさせていた。
「後悔してる?」
その隣で、同じ布団で寝ていたリツが寝ぼけ眼で聞いてくる。おれは脚をばたつかせるのをやめ、しばらく考えた。
「……おれは、覚悟がなかったんだと思う」
この先、彼女との譚に何があったとしても。どんな展開が待ち受けていたとしても。それを受け止める覚悟が、昨日までのおれには無かったのかもしれない。リツを気遣うつもりで、実際のところは自分の気持ちに向き合うことから逃げていたのかもしれない。
ぽつぽつとそんなことを、小っ恥ずかしい思いでリツに漏らす。
「でも、後悔はきっとしてない。このまま隠し続けたら、多分どこかで後悔してたから。これでよかったんだと思う。……ただ罪悪感が半端ねえ」
リツに促される形であったとはいえ、おれは本当に手を出してしまった。彼女に元々の恋人がいたらどうしよう。おれだったらリツに拒まれない限り絶対に身を引かないし、もしそいつと真っ向から対峙することになったら徹底的にボコボコにすると思う。流血事件は免れまい。
「なあ、あんた。本当に良いのかよ。昨日言ったアレ、本気だぞ」
「『離してやれそうにない』ってやつ?」
おれがそれに頷くと、リツは少し考える素振りをする。
「浮気はしそうにないわよね。一途な男、私は好きよ?」
そして、にっこりと笑いながらそんなことを言うのだ。まあ確かに、おれはリツに出会ってからリツ以外の女に興味が湧かなくなったし、一途な男と言えば聞こえはいい。だが、何度も言う通り、おれはマジで執心深いし嫉妬深い。束縛男一歩手前のようなものだ。本当に大丈夫だろうか。リツに嫌がられたりしないだろうか。……自分自身が嫌っている性質ゆえに、そこだけはどうしても不安なのだ。
おれのそんな気持ちを見抜いたのか、はたまた偶然か――リツは、申し訳なさそうに言った。
「世助。本当は昨日の貴方の独り言も聞こえちゃったんだ」
「え……」
「ずっと思い出さなければいいのにとか、私のこと好き過ぎとか、そんな感じのことを言ってなかった?」
全身の血が音を立てて引いていった。思いっきりバレてる。部屋に誰もいないと思ってたからわりと普通の声量で言っちゃったし、そりゃ聞こえるのは当然だろうけど。どうして一番聞かれたくない部分をしっかりと聞かれているのか。恥ずかしいやら情けないやら、いよいよおれは枕から顔をあげられなくなった。
「寂しいって、思ってくれてた?」
「……うん」
リツがやって来て四ヶ月近く、おれの日常にリツがいることはもはや当たり前になっている。そんな彼女がいなくなったら、おれは寂しくて恋しくておかしくなってしまうだろう。
「……私もね、ずっと越午にいられればいいなって、思ってたところ。だって、すごく居心地がいいから。貴方や旦那様や、他の人たちも、みんないい人たちだもの。最初は記憶がなかなか戻らなくて不安だったけど、今は記憶がなくても大丈夫かもって思えるの。どこから来たのかも知れない私を迎え入れてくれるような、優しい人たちに出会えたから」
「……でも、リツには元の生活があるだろ。姉ちゃんだって、きっと心配してるぜ。いつまでもここにいるわけには、いかないんだろ」
本当なら『どこにも行かないでくれ』など、面と向かって言うつもりはなかった。言えるわけがなかった。お互いに戻るべき日常がある以上、おれの我儘で彼女を引き留めるわけにはいかないのだ。
「そうね。思い出せばいずれ、戻らなければいけないでしょうね。……でも、元の生活への不安もあるの」
「え?」
「思い出した記憶が良くないものだったらどうしようって、いいことなんてないのかもしれないって思っているのよ。私は電車の乗り方を知らなかった、なのに刀を使えて、帝国司書隊の裏事情も少し知っている。……どんな人間だったのよ、私」
彼女に言われて、はっとした。考えてみればそうだ。リツは断片的な情報からして、一般人からほど遠い要素も多い。街中で暮らしているただの市民だったとは考えにくいのだ。
「ならこのまま何も思い出さない方がいいのかもって思い始めてるのよ。思い出さないままで、ずっと椿井家のメイドとして暮らして……新しい生活を考えてもいいんじゃないかって」
リツがどんな顔をしているのか心配になって、おれはうつ伏せにしていた体を横に向ける。
「……なんて、そんな弱気なことも言ってられないわよね」
彼女は、笑い直した。
「私だっていつまでも旦那様にお世話になりっぱなしになるわけにはいかないし」
「……っ」
おれの心は、一瞬で不安になった。リツが離れていくんじゃないか、という不安に、心臓を握られたようだった。
リツはそんなおれの頭をそうっと撫でた。
「だから、記憶が戻ってお互いに元の生活に戻ったら、改めてまた会いに行くわ」
この譚を、無かったことにはしたくないから。と、リツは微笑む。
「だから、もしそうなったら待っててくれる?」
「……我慢する。でも、待てが長いのは嫌だ」
「あはは、犬みたい」
「笑いごとじゃねえや」
文句を言いつつも、おれはゆっくり愛おしげに撫でてくれる手に目を細める。温かくて心地いいこの感覚を、他の男になんか譲ってたまるか、と思った。
「覚悟、決めるよ。あんたが記憶を取り戻して、その後どんな譚を進むことになったとしても。おれはそれを受け止めようと思う」
それは望ましい展開かもしれないし、そうではないかもしれない。いずれにしても、おれはもうリツに受け止めてもらったのだ。ここいらで腹を括らなければ、腰抜けすぎてリツの隣に立てやしない。
「絶対に離さねえから。あんたのこと」
誓いを言葉にすると、リツはくすぐったそうに微笑んだ。
*****
「あーあ! 散々な休暇だったわね、ほんと」
ようやく晴れた朝の海を船が行く。甲板に出ると、前を歩いていたリツの黒髪が潮風に揺れた。
「悪い、リツを振り回しちまった」
「いいのよ、最終的にはちゃんと丸く収まったんだし」
煌めく海の向こう、小さくなっていく藍舘島の方を振り返る。
「ナナヱちゃん、いい子だったわね。あの子も幸せになれるといいな」
「うん」
最後にナナヱと顔を合わせられなかったことが心残りだった。時間ギリギリまでおれたちは宿にいたのだが、ナナヱはやって来なかったのだ。仲居さんにもナナヱのことを聞いてみたが、今日は来ていないと首を振られた。
せめて、晴れやかに笑えるようになった彼女をひと目見ておきたかったのだけど――
「ナナヱのことがなにか?」
「ほぁぁ!?」「きゃぁっ!?」
と、別れを惜しんでいたところへ、別れたはずのナナヱが後ろから声をかけてきた。心臓が飛び出るかと思ったし、さすがのリツもこれには仰天したようだ。
「ナナヱ、なんでここに!?」
「修行の旅に出るのです」
そう言うナナヱの姿を見れば、確かに彼女はしっかりと旅の装いをしていた。風呂敷ひと包の荷物に、笠を携え、弁当もこさえ、ご丁寧に脚絆まで身につけている。……彼女が背負っている、布にくるんだ棒状のものはまさか――槍、だろうか。まさか。
「あ、寅松もちゃんとここにいるのですよ」
「ぶにゃ~ん」
ナナヱが着物の衿を開けると、中から寅松の顔がぴょっこり出てきた。胸が大きいふりをして隠しているつもりなのだろうけれど、ナナヱの体格では不自然すぎる。いいのか、その隠し場所で。
「ご両親には伝えてきたの?」
「お家のために武者修行をしてくる、と置き手紙をしてきました。大丈夫、お金はしっかりと持ってるのです」
尋ねたリツは、その回答に頭を抱えていた。ちっとも大丈夫じゃない。手紙だけ置いて十二歳の少女が家出してくるなんて、今ごろ加峯家や藍舘島は大騒ぎなんじゃないか。もう豆粒ほどの大きさまで遠のいてしまった島を見やる。
「旅に出るって言っても、あてはあんのかよ? 親戚のところとか?」
「勿論ないのです! 旅はあてのないものですから」
むふん、と鼻息荒く仁王立ちで言うナナヱだが、それはそんなポーズで言う台詞ではない。心なしか寅松もしたり顔である。
「勢いだけで出てきたわね、貴方……」
「おいおい、どうするんだよ! おれたち、これから越午にいくんだぞ」
「とりあえず、世助様たちにくっついて行くのです。大丈夫、旅費はきちんと自分で持つのです」
「ぶにゃ~ん」
「そういう問題じゃねえ!」
「やっぱりめちゃくちゃな子だわ……」
雨降って地は固まったものの――波乱の休暇旅行は、最後までしっかり波を立てることになりそうだ。大騒ぎのおれたちを乗せた船は、越午までの長い長い帰路をゆったりと辿っていく。
六章『花、熱る・後編』・了
島をかき乱した嵐はおさまり、空が薄明るくなってくる時分――おれは布団の中でうつ伏せになりながら脚をバタバタさせていた。
「後悔してる?」
その隣で、同じ布団で寝ていたリツが寝ぼけ眼で聞いてくる。おれは脚をばたつかせるのをやめ、しばらく考えた。
「……おれは、覚悟がなかったんだと思う」
この先、彼女との譚に何があったとしても。どんな展開が待ち受けていたとしても。それを受け止める覚悟が、昨日までのおれには無かったのかもしれない。リツを気遣うつもりで、実際のところは自分の気持ちに向き合うことから逃げていたのかもしれない。
ぽつぽつとそんなことを、小っ恥ずかしい思いでリツに漏らす。
「でも、後悔はきっとしてない。このまま隠し続けたら、多分どこかで後悔してたから。これでよかったんだと思う。……ただ罪悪感が半端ねえ」
リツに促される形であったとはいえ、おれは本当に手を出してしまった。彼女に元々の恋人がいたらどうしよう。おれだったらリツに拒まれない限り絶対に身を引かないし、もしそいつと真っ向から対峙することになったら徹底的にボコボコにすると思う。流血事件は免れまい。
「なあ、あんた。本当に良いのかよ。昨日言ったアレ、本気だぞ」
「『離してやれそうにない』ってやつ?」
おれがそれに頷くと、リツは少し考える素振りをする。
「浮気はしそうにないわよね。一途な男、私は好きよ?」
そして、にっこりと笑いながらそんなことを言うのだ。まあ確かに、おれはリツに出会ってからリツ以外の女に興味が湧かなくなったし、一途な男と言えば聞こえはいい。だが、何度も言う通り、おれはマジで執心深いし嫉妬深い。束縛男一歩手前のようなものだ。本当に大丈夫だろうか。リツに嫌がられたりしないだろうか。……自分自身が嫌っている性質ゆえに、そこだけはどうしても不安なのだ。
おれのそんな気持ちを見抜いたのか、はたまた偶然か――リツは、申し訳なさそうに言った。
「世助。本当は昨日の貴方の独り言も聞こえちゃったんだ」
「え……」
「ずっと思い出さなければいいのにとか、私のこと好き過ぎとか、そんな感じのことを言ってなかった?」
全身の血が音を立てて引いていった。思いっきりバレてる。部屋に誰もいないと思ってたからわりと普通の声量で言っちゃったし、そりゃ聞こえるのは当然だろうけど。どうして一番聞かれたくない部分をしっかりと聞かれているのか。恥ずかしいやら情けないやら、いよいよおれは枕から顔をあげられなくなった。
「寂しいって、思ってくれてた?」
「……うん」
リツがやって来て四ヶ月近く、おれの日常にリツがいることはもはや当たり前になっている。そんな彼女がいなくなったら、おれは寂しくて恋しくておかしくなってしまうだろう。
「……私もね、ずっと越午にいられればいいなって、思ってたところ。だって、すごく居心地がいいから。貴方や旦那様や、他の人たちも、みんないい人たちだもの。最初は記憶がなかなか戻らなくて不安だったけど、今は記憶がなくても大丈夫かもって思えるの。どこから来たのかも知れない私を迎え入れてくれるような、優しい人たちに出会えたから」
「……でも、リツには元の生活があるだろ。姉ちゃんだって、きっと心配してるぜ。いつまでもここにいるわけには、いかないんだろ」
本当なら『どこにも行かないでくれ』など、面と向かって言うつもりはなかった。言えるわけがなかった。お互いに戻るべき日常がある以上、おれの我儘で彼女を引き留めるわけにはいかないのだ。
「そうね。思い出せばいずれ、戻らなければいけないでしょうね。……でも、元の生活への不安もあるの」
「え?」
「思い出した記憶が良くないものだったらどうしようって、いいことなんてないのかもしれないって思っているのよ。私は電車の乗り方を知らなかった、なのに刀を使えて、帝国司書隊の裏事情も少し知っている。……どんな人間だったのよ、私」
彼女に言われて、はっとした。考えてみればそうだ。リツは断片的な情報からして、一般人からほど遠い要素も多い。街中で暮らしているただの市民だったとは考えにくいのだ。
「ならこのまま何も思い出さない方がいいのかもって思い始めてるのよ。思い出さないままで、ずっと椿井家のメイドとして暮らして……新しい生活を考えてもいいんじゃないかって」
リツがどんな顔をしているのか心配になって、おれはうつ伏せにしていた体を横に向ける。
「……なんて、そんな弱気なことも言ってられないわよね」
彼女は、笑い直した。
「私だっていつまでも旦那様にお世話になりっぱなしになるわけにはいかないし」
「……っ」
おれの心は、一瞬で不安になった。リツが離れていくんじゃないか、という不安に、心臓を握られたようだった。
リツはそんなおれの頭をそうっと撫でた。
「だから、記憶が戻ってお互いに元の生活に戻ったら、改めてまた会いに行くわ」
この譚を、無かったことにはしたくないから。と、リツは微笑む。
「だから、もしそうなったら待っててくれる?」
「……我慢する。でも、待てが長いのは嫌だ」
「あはは、犬みたい」
「笑いごとじゃねえや」
文句を言いつつも、おれはゆっくり愛おしげに撫でてくれる手に目を細める。温かくて心地いいこの感覚を、他の男になんか譲ってたまるか、と思った。
「覚悟、決めるよ。あんたが記憶を取り戻して、その後どんな譚を進むことになったとしても。おれはそれを受け止めようと思う」
それは望ましい展開かもしれないし、そうではないかもしれない。いずれにしても、おれはもうリツに受け止めてもらったのだ。ここいらで腹を括らなければ、腰抜けすぎてリツの隣に立てやしない。
「絶対に離さねえから。あんたのこと」
誓いを言葉にすると、リツはくすぐったそうに微笑んだ。
*****
「あーあ! 散々な休暇だったわね、ほんと」
ようやく晴れた朝の海を船が行く。甲板に出ると、前を歩いていたリツの黒髪が潮風に揺れた。
「悪い、リツを振り回しちまった」
「いいのよ、最終的にはちゃんと丸く収まったんだし」
煌めく海の向こう、小さくなっていく藍舘島の方を振り返る。
「ナナヱちゃん、いい子だったわね。あの子も幸せになれるといいな」
「うん」
最後にナナヱと顔を合わせられなかったことが心残りだった。時間ギリギリまでおれたちは宿にいたのだが、ナナヱはやって来なかったのだ。仲居さんにもナナヱのことを聞いてみたが、今日は来ていないと首を振られた。
せめて、晴れやかに笑えるようになった彼女をひと目見ておきたかったのだけど――
「ナナヱのことがなにか?」
「ほぁぁ!?」「きゃぁっ!?」
と、別れを惜しんでいたところへ、別れたはずのナナヱが後ろから声をかけてきた。心臓が飛び出るかと思ったし、さすがのリツもこれには仰天したようだ。
「ナナヱ、なんでここに!?」
「修行の旅に出るのです」
そう言うナナヱの姿を見れば、確かに彼女はしっかりと旅の装いをしていた。風呂敷ひと包の荷物に、笠を携え、弁当もこさえ、ご丁寧に脚絆まで身につけている。……彼女が背負っている、布にくるんだ棒状のものはまさか――槍、だろうか。まさか。
「あ、寅松もちゃんとここにいるのですよ」
「ぶにゃ~ん」
ナナヱが着物の衿を開けると、中から寅松の顔がぴょっこり出てきた。胸が大きいふりをして隠しているつもりなのだろうけれど、ナナヱの体格では不自然すぎる。いいのか、その隠し場所で。
「ご両親には伝えてきたの?」
「お家のために武者修行をしてくる、と置き手紙をしてきました。大丈夫、お金はしっかりと持ってるのです」
尋ねたリツは、その回答に頭を抱えていた。ちっとも大丈夫じゃない。手紙だけ置いて十二歳の少女が家出してくるなんて、今ごろ加峯家や藍舘島は大騒ぎなんじゃないか。もう豆粒ほどの大きさまで遠のいてしまった島を見やる。
「旅に出るって言っても、あてはあんのかよ? 親戚のところとか?」
「勿論ないのです! 旅はあてのないものですから」
むふん、と鼻息荒く仁王立ちで言うナナヱだが、それはそんなポーズで言う台詞ではない。心なしか寅松もしたり顔である。
「勢いだけで出てきたわね、貴方……」
「おいおい、どうするんだよ! おれたち、これから越午にいくんだぞ」
「とりあえず、世助様たちにくっついて行くのです。大丈夫、旅費はきちんと自分で持つのです」
「ぶにゃ~ん」
「そういう問題じゃねえ!」
「やっぱりめちゃくちゃな子だわ……」
雨降って地は固まったものの――波乱の休暇旅行は、最後までしっかり波を立てることになりそうだ。大騒ぎのおれたちを乗せた船は、越午までの長い長い帰路をゆったりと辿っていく。
六章『花、熱る・後編』・了
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