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帝国編
第53話 イグニア邸を目指して
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ロイ一行は帝国の領土に無事に入ることができた。
一行は、開幕から帝都に行くだろうと思っていたのだが、ソフィアの話しにより"反貴族制度武装組織"の創設者であるエイデン=イグニア氏の領土に行くことになった。
勿論反対意見は出ない、ここまで来ることができたのもスタークのお陰でもあるからだ。
位置的には王国の国境をなぞるように東へ。
そして一行はとても深く広大な森に入っていった。先頭はスタークを率いるダートが、真ん中に影の一族が、最後にアンジュの元近衛兵で並んでいる。
粉雪がパラパラと降っている。これはロイ達が国境を越えてから降りだしている。帝国領土そのものが寒冷地であるのと同時に、今が"青の節"であることも起因して寒さに慣れてない人はくしゃみをしている。
スタークのメンバーとソフィアは帝国出身だから、軽快に進んでいくしそこまで寒そうではない。
ソフィア……そのスリットの入ったドレスで寒くないのだろうか?
ロイの疑問を余所にソフィアはキョロキョロと周囲を警戒している。と、その時、先頭のダートが後ろを向いて満面の笑みで語り始めた。
「王国民の人達、雪が珍しいだろ? その珍しさを噛み締めておきなさい。すぐに見たくなくなるはずだから……」
「……」
返事をする余裕がない、正直黙って案内して欲しいものだ。
「えー、コホンっ! くれぐれも道から逸れたりしないでくれ、スノーウルフが闊歩しているからな。奴等の牙はとても痛いぞ?」
長時間の旅に疲れたのか、影の一族の1人がダートに突っ掛かった。
「なぁダートさん、俺達王国騎士と互角以上にやりあったんだぞ? 狼程度に負けるわけないだろ」
ダートはムッとした表情を浮かべて言った。
「あまり舐めない方がいい、慣れない環境下での戦闘は想像以上に体力使うからね。それに、君は壁の上から矢を射っていただけだろう? 前線で体張って戦ってたのはロイ殿ではないか」
ダートも折角の忠告が無下にされて頭にきたようだ。言い返し始めた……これが続けば内乱が起きかねないな。
さて、どうするか……。
「うるさーーーーいッ! ダートだっけ? スノーウルフの注意だけですぐに前向けば良かったのよ、変な気は回さないでいいわ!」
キレたアンジュがダートを諌めた。そして今度は影の一族へ視線を向ける。
「それと、あんたはダートの気持ちを考えなさい! 王国に来てあんたらを保護し、そして命をかけて国境越えを手助けしたのよ?」
「……はい」「……わかった」
両者共にしょんぼりしている。そしてロイは隣にいたユキノが離れ始めてるのに気付いて"シャドーウィップ"で引き戻した。
「……離れるなって言ってたろ?」
「うぅ、寒くて、眠くて……ZZZ」
「お、おい! 歩きながら寝るなよ……しょうがないな」
ユキノの肩に腕を回し、自身の外套の中にユキノをスッポリと入れた。ユキノはビクッ!とした後、ロイの服を掴んで共に歩き始めた。
目は潤み、顔は少しだけ紅くなり、頭をロイの胸元に傾けている。
「そこっ! イチャイチャしない!」
「してねえよっ!」
アンジュの指摘に周囲から笑い声が上がり、全体の士気が向上した。
「ロイさん……私達、夫婦だって……」
「そんなこと誰も言ってないぞ?」
ロイは悪ノリするユキノの髪をワシワシとかき混ぜて報復した。
そして後方の騒ぎに気付いたソフィアはダル絡みを始めた。
「なんで脇の下に手を入れてるの?」
あ、いつの間にか入れてた、他意はない。それにこっちのが離れにくいし。
「いや、ユキノが離れないようにだな……」
「なんで少し手を前にしてるの? ユキノ、嫌だったらきちんと言わないといけないわよ?」
う……徐々に手が前に行ってた。気を付けないとな、浄化行為で慣れすぎてる。
「私? う~ん、慣れました……かな?」
「疑問符!!」
ソフィアもこう言ってるし、もう一緒に添い寝するのは止めた方がいいかもしれない。最初は目を瞑って喚いていたが、今は顔を赤くして目を合わせてくるだけだしな。
そうこうしている内に森が拓けてきた。急激な景色の変化に一同は驚く。
──ここがイグニア領。
雪対策に鋭角な屋根の家が建ち並び、広大な畑には赤いトマトがいっぱい生っている。
まだ昼というのに魔石を活用した街灯が灯っており、それが街全体を仄かに照らし、オレンジ色の幻想的な光景に昇華している。
「ロイ殿、あの大きな建物がエイデン様の屋敷です」
ダートの指差した先には、城のような大きな建物がある。
「……大きいな」
「領地持ちとは言え、下級貴族……狭い方ですよ」
ダートは何か思うところがあるのか、少し自嘲気味に答えた。
ロイはそれ以上突っ込んだ話しは聞かず、黙ってついて行くことにした。
☆☆☆
新章開幕! 恒例の現ステータス公開です!
(一応ロイは裏で細かくステータスをチェックしてます)
・マナブ、サリナは闇武器が完全に浄化されてしまったため、レベルが表記されません。(ある程度は元の武器の特性を保有)
・ユキノはロイの"聖剣グラム"に"魔杖テュルソス"が紐付けされてるので完全浄化は免れてます。
・Sランクの武器は聖、闇、それ以外にも存在しており、いずれも遺物武器と称されます。
『ステータス』
ロイ&ユキノ (影魔術師、治癒術師)
グラム+96
総合力9230
『聖剣特性強化』
テュルソス+96
総合力8990
『スキル向上』
サリナ ”槍術師”
隕石の槍(雷)
マナブ ”土魔術師”
隕石の魔道書(土)
ソフィア ”聖騎士”
聖槍ロンギヌス+140
総合力13800
『魔力増幅』
アンジュ "剣姫"
セレスティアルブレード
一行は、開幕から帝都に行くだろうと思っていたのだが、ソフィアの話しにより"反貴族制度武装組織"の創設者であるエイデン=イグニア氏の領土に行くことになった。
勿論反対意見は出ない、ここまで来ることができたのもスタークのお陰でもあるからだ。
位置的には王国の国境をなぞるように東へ。
そして一行はとても深く広大な森に入っていった。先頭はスタークを率いるダートが、真ん中に影の一族が、最後にアンジュの元近衛兵で並んでいる。
粉雪がパラパラと降っている。これはロイ達が国境を越えてから降りだしている。帝国領土そのものが寒冷地であるのと同時に、今が"青の節"であることも起因して寒さに慣れてない人はくしゃみをしている。
スタークのメンバーとソフィアは帝国出身だから、軽快に進んでいくしそこまで寒そうではない。
ソフィア……そのスリットの入ったドレスで寒くないのだろうか?
ロイの疑問を余所にソフィアはキョロキョロと周囲を警戒している。と、その時、先頭のダートが後ろを向いて満面の笑みで語り始めた。
「王国民の人達、雪が珍しいだろ? その珍しさを噛み締めておきなさい。すぐに見たくなくなるはずだから……」
「……」
返事をする余裕がない、正直黙って案内して欲しいものだ。
「えー、コホンっ! くれぐれも道から逸れたりしないでくれ、スノーウルフが闊歩しているからな。奴等の牙はとても痛いぞ?」
長時間の旅に疲れたのか、影の一族の1人がダートに突っ掛かった。
「なぁダートさん、俺達王国騎士と互角以上にやりあったんだぞ? 狼程度に負けるわけないだろ」
ダートはムッとした表情を浮かべて言った。
「あまり舐めない方がいい、慣れない環境下での戦闘は想像以上に体力使うからね。それに、君は壁の上から矢を射っていただけだろう? 前線で体張って戦ってたのはロイ殿ではないか」
ダートも折角の忠告が無下にされて頭にきたようだ。言い返し始めた……これが続けば内乱が起きかねないな。
さて、どうするか……。
「うるさーーーーいッ! ダートだっけ? スノーウルフの注意だけですぐに前向けば良かったのよ、変な気は回さないでいいわ!」
キレたアンジュがダートを諌めた。そして今度は影の一族へ視線を向ける。
「それと、あんたはダートの気持ちを考えなさい! 王国に来てあんたらを保護し、そして命をかけて国境越えを手助けしたのよ?」
「……はい」「……わかった」
両者共にしょんぼりしている。そしてロイは隣にいたユキノが離れ始めてるのに気付いて"シャドーウィップ"で引き戻した。
「……離れるなって言ってたろ?」
「うぅ、寒くて、眠くて……ZZZ」
「お、おい! 歩きながら寝るなよ……しょうがないな」
ユキノの肩に腕を回し、自身の外套の中にユキノをスッポリと入れた。ユキノはビクッ!とした後、ロイの服を掴んで共に歩き始めた。
目は潤み、顔は少しだけ紅くなり、頭をロイの胸元に傾けている。
「そこっ! イチャイチャしない!」
「してねえよっ!」
アンジュの指摘に周囲から笑い声が上がり、全体の士気が向上した。
「ロイさん……私達、夫婦だって……」
「そんなこと誰も言ってないぞ?」
ロイは悪ノリするユキノの髪をワシワシとかき混ぜて報復した。
そして後方の騒ぎに気付いたソフィアはダル絡みを始めた。
「なんで脇の下に手を入れてるの?」
あ、いつの間にか入れてた、他意はない。それにこっちのが離れにくいし。
「いや、ユキノが離れないようにだな……」
「なんで少し手を前にしてるの? ユキノ、嫌だったらきちんと言わないといけないわよ?」
う……徐々に手が前に行ってた。気を付けないとな、浄化行為で慣れすぎてる。
「私? う~ん、慣れました……かな?」
「疑問符!!」
ソフィアもこう言ってるし、もう一緒に添い寝するのは止めた方がいいかもしれない。最初は目を瞑って喚いていたが、今は顔を赤くして目を合わせてくるだけだしな。
そうこうしている内に森が拓けてきた。急激な景色の変化に一同は驚く。
──ここがイグニア領。
雪対策に鋭角な屋根の家が建ち並び、広大な畑には赤いトマトがいっぱい生っている。
まだ昼というのに魔石を活用した街灯が灯っており、それが街全体を仄かに照らし、オレンジ色の幻想的な光景に昇華している。
「ロイ殿、あの大きな建物がエイデン様の屋敷です」
ダートの指差した先には、城のような大きな建物がある。
「……大きいな」
「領地持ちとは言え、下級貴族……狭い方ですよ」
ダートは何か思うところがあるのか、少し自嘲気味に答えた。
ロイはそれ以上突っ込んだ話しは聞かず、黙ってついて行くことにした。
☆☆☆
新章開幕! 恒例の現ステータス公開です!
(一応ロイは裏で細かくステータスをチェックしてます)
・マナブ、サリナは闇武器が完全に浄化されてしまったため、レベルが表記されません。(ある程度は元の武器の特性を保有)
・ユキノはロイの"聖剣グラム"に"魔杖テュルソス"が紐付けされてるので完全浄化は免れてます。
・Sランクの武器は聖、闇、それ以外にも存在しており、いずれも遺物武器と称されます。
『ステータス』
ロイ&ユキノ (影魔術師、治癒術師)
グラム+96
総合力9230
『聖剣特性強化』
テュルソス+96
総合力8990
『スキル向上』
サリナ ”槍術師”
隕石の槍(雷)
マナブ ”土魔術師”
隕石の魔道書(土)
ソフィア ”聖騎士”
聖槍ロンギヌス+140
総合力13800
『魔力増幅』
アンジュ "剣姫"
セレスティアルブレード
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