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第一章•帝国編
19話◆謎の会議。神聖な場所にオーデーンあらわる。
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数日前━━━
辺鄙な村にあるジャンセンの教会にて
おかしな作戦会議が始まった。
『私が新しいオモチャをゲッする件について』
そう名付けられた会議の議長ジャンセンは、まずレオンハルト先代皇帝と、側近のヒューバートを部屋から追い出した。
「すみませんねぇ、この先は人の身で知ってはならないお話なんですよ…
あなた達の役割は、まだ先なんで…ふふふふ。」
二人を締め出したジャンセンは、少し浮かれ気味にテーブルにつく。
「ハイハイハイ!議長!」
挙手をしてオフィーリアがジャンセンの前に身を乗り出す。
「はい、オフィーリア君どうぞ。」
「俺のディアーナを狙う不届きな輩は、プチっと殺っちゃって良いですか?上下の脱毛は無しで!」
ジャンセンは笑い、首を緩く振る。
「ロージアは死にませんよ?殺せませんし…。
彼は…私に似た存在です。…何となく気付いていたでしょう?」
「あーやっぱり…まぁ…。」
ジャンセンとオフィーリアの会話のやり取りを、リリーは理解出来ていないようでキョトンとした顔をしている。
「あのねリリー、戦争ばかり仕掛ける国を憂いた皇太后が神に国の安寧を祈り、結果ロージアが産み出されたのは間違いではないのよ…
ただ、国を何とかしたい、の何とかが、彼女の想像を越えてしまったけれど。……国の滅亡という。」
ディアーナは少し言いにくそうに言うと、ジャンセンが話を続ける。
「この世界は、私が創った時より人も増えて瘴気も増えた。
レオンハルトだけでは対処しきれない程に……。
そんな私の苦労を知ってか、私より高位に在る存在が私の世界の為にロージアを生み出したのですよ。
皇太后の国を想う気持ちを命として差し出させ、そんな国を無くす存在を創り出した。
ロージアはただの魔物ではない。神に近い者です。」
「どういう…意味ですか…?
国を、我が子を、守りたいと神に祈った皇太后が犠牲になったのに!
その祈りが守るどころか、国を滅ぼす神を作り出すなんて!」
リリアーナ皇太后の、国と息子であるレオンハルト先代皇帝を想う心を知っているリリーは悲痛な声をあげる。
「そんな憂いを持たせる国ならば消してしまおう。
そう思ったのではないですかね……あなた、自分が飼育しているアリの巣で縄張り争いが起きていたら片方を助けてやろうとか、出来ます?少なくとも私には無理です。
どのアリも同じようにしか見えませんしね。…だったら全部無くしてしまいますよ。
……と、まあこれは私個人の見解でしかないので、実際は私でも分かりませんが……」
まずい茶を飲みつつジャンセンが言う言葉を、リリーは項垂れたまま肩を震わせて聞いている。
「今、分かっているのはロージアが親父よりも高位の存在によって生み出されたらしい事、よって不老不死。
俺の手に負えない範囲で瘴気が発生したら人の世に現れ、国や世界を滅ぼすリセットマシーンだな。
…そのうち人間に勇者が生まれるかもな。」
オフィーリアがチラリとジャンセンに目をやると、ジャンセンは面倒臭そうに溜め息をつく。
「ロージアは高位の神によって皇太后の命を糧に、私が創ったこの世界の為に生み出されましたが、その際に高位の神の力が影響したのでしょうね。
リリー、あなたは皇太后によって皇帝の為に生み出された存在ですよ。
あなた、自覚してます?」
リリーは項垂れた顔を上げ、キョトンとした顔をしている。
「はい…?」
「あなた、新しい国の王妃ですよ?夫はレオンハルト皇帝です。
バカップル誕生です。」
「ええええっ!!?」
顔を赤くして固まったリリーを無視してジャンセンが話を続ける。
「バクスガハーツ帝国は無くします、そのままあの国の土地は隔離して、神出鬼没の魔界に変えます。
今後、国まるごとだとか、世界を脅かす的な瘴気が発生すればロージアが現れて瘴気発生源の人間を一掃、でも、最終的にはロージアが倒される感じです。」
ジャンセンのザックリ過ぎる説明にディアーナは笑う。
「人間の勇者が生まれるまでは、毎回私がロージアを倒したいわね!…まぁ、初回は頂くけど!」
楽しげなディアーナに、赤い顔をしたまま固まったリリー。
そんなディアーナ達を見て薄ら笑いを浮かべるオフィーリア。
やがてジャンセンは立ちあがると手をパンパンと叩いた。
「さあ、私の可愛いオモチャを迎える準備をしましょう。
姫さんは、創造神界で待機な。腹筋とスクワットでもしといて。
リリーさんは、新しい国の基に案内します。
では一旦解散!」
そして、オモチャをゲット作戦が始まった。
▼
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「師匠!それは私のです!大事に育てていたのに!」
「早い者勝ちでしょう?そんなのは。」
「ディアーナ、それは俺が育てていたがんもどきだ。」
……ガンモドキって……ナニ?
ロージアは聞いた事の無い言葉を聞きながら目を覚ます。
自分の中の最期の記憶は、焦土と化したバクスガハーツ帝国の上空でディアーナに身体を貫かれ、身体が砕け散った瞬間。
白い白い世界。
白すぎて床と壁の境目すら分からない。
そもそも壁があるかも分からない。
そんな場所に居る自分…。
そんな厳かで神聖っぽい感じの白い世界で、ディアーナと黒い男、兄を騙った偽物のレオンハルト皇帝が低いテーブルに寄せ集まって何かをしている。
「だから師匠!!そのタコの足は私が狙っていたと!!」
立ち上がったディアーナと、ロージアの目が合った。
「………ディアーナ……何してんの……?ここ、どこ…?」
ロージアの声に、ジャンセンとレオンハルトもロージアを見る。
二人とも口からナニかはみ出している……キモチワルイ。
何……何なの…?
「ここは創造神界、神の世界よ!
ロージア、おはよう!気分どお?お腹空いてない?おでん食べる?」
おでん……?て……ナニ?
「僕……生きて…る?」
「生きてるとゆーか、死ねないからね!ロージアは。私達と一緒で。」
ディアーナはロージアの傍に行き、その手をとって土鍋の置かれたちゃぶ台に連れて来る。
「…あ、あの……僕……」
ニコニコと微笑む黒髪に黒目の男と、苛ついた顔で冷たい視線を投げ付けてくる金髪の男。
まるで針のむしろに座らされているかのようだとロージアは思った。
「ディアーナの事…!本当に好きで…っ…わ!」
「うんうん、可愛い妹分に愛してるとか言われて、おねぃさんも嬉しいわぁ!」
ディアーナは背後からロージアを抱き締めつつ、さりげにロージアの胸を触る。
糸こんにゃくをすすりながら、冷めた顔で見詰めるレオンハルトはぼそっと呟く。
「まさか僕っ娘とはな……
つか、たまたま女の形なだけで性別自体は無いのだっけ?」
「そうですね、私も性別はありませんしね。男性の形なだけで。
ロージアはリリーと同じく皇太后の形をとってますから女性型寄りですね。リリーより中性的ではありますが。」
おでんを肴に、日本酒らしきモノをチビチビやりながらジャンセンが言う。
「そんなのでディアーナを抱くとか、よく言えたな…
つか、何となくソレっぽい事をしようとしたみたいだが、よく分かってなかったんだろうな…
まぁ、あの様子じゃ…男型になった所で、もうディアーナをどうこうしようとは思わないかも知れないが。」
「……でしょうね………姫さん、ロージアが真っ赤になって震えてるから、やめたげなさい。変態。」
ディアーナに全身まさぐられたロージアは、ディアーナの腕の中でグッタリと脱力していた。
「な、な、何なの!これ!すごい恥ずかしいし!すごい疲れる!!やめて!!」
真っ赤になり涙目のロージアは、怯えるように自身の身体を抱き締め、ディアーナから距離を取ろうとする。
「ほう…羞恥心が芽生えたとな?
これは更に、おねぃさんがエエ事を……」
怪しい笑みを浮かべ手指をワキワキとイヤらしく動かすディアーナに、怯えたロージアが後ずさる。
「だから、やめろと言っている。この、セクハラ変態女神。」
ディアーナの脳天にジャンセンのチョップが炸裂した。
「ぐふっ!」
白い白い神の世界。
そんな神聖な場所に在るはずが無いのに、なぜかある、土鍋が置かれたちゃぶ台。
それを囲むジャンセンとレオンハルト、そしてロージア。
ディアーナはジャンセンの後ろで正座で反省中である。
「もう、自分が何者かも生まれた理由も分かったよね?」
ジャンセンが微笑みながらロージアに尋ねれば、ロージアはコクリと頷く。
「君に課せられた宿命は重いけど、君が君を全うするために、私達は君を愛するし大事にしていくよ?」
「……どういう…意味?」
ロージアはジャンセンにからかわれた記憶しかなく、警戒して口数を減らす。
ジャンセンの背後からディアーナが飛び出すように身を乗り出すと、ロージアに満面の笑顔を向ける。
「つまり、魔王やってない時はダラダラ好きな事をやっていていいし、私達家族があなたを愛して見守っていてあげるって事ね。
……可愛い妹だもの……ふふ…」
「俺はまだ、完全に許したってワケじゃないんだよな。
キスだってなぁ、なんでロージアは良くて、オフィーリアは駄目なんだか納得いかねぇし…
俺もオフィーリアの時に口移しでブドウ食わせて欲しい。」
ふて腐れたように言うレオンハルトに、冷めた口調でディアーナが言う。
「口移しでバナナ食わせてやるわよ。」
「唇、届かねーよ!届かせようとしたら、オエッてなるわ!」
アホな会話を神の世界で聞いているロージアは、何も無い白い空間をボンヤリ見ていた。
ディアーナはアホだ…。
そんなディアーナを含む、神の家族になるのか…僕が…………
「なんだか疲れそう………。」
ロージアの言葉に、ウンウンと頷くジャンセンとレオンハルトを見て、ロージアはヘラリと力なく笑った。
辺鄙な村にあるジャンセンの教会にて
おかしな作戦会議が始まった。
『私が新しいオモチャをゲッする件について』
そう名付けられた会議の議長ジャンセンは、まずレオンハルト先代皇帝と、側近のヒューバートを部屋から追い出した。
「すみませんねぇ、この先は人の身で知ってはならないお話なんですよ…
あなた達の役割は、まだ先なんで…ふふふふ。」
二人を締め出したジャンセンは、少し浮かれ気味にテーブルにつく。
「ハイハイハイ!議長!」
挙手をしてオフィーリアがジャンセンの前に身を乗り出す。
「はい、オフィーリア君どうぞ。」
「俺のディアーナを狙う不届きな輩は、プチっと殺っちゃって良いですか?上下の脱毛は無しで!」
ジャンセンは笑い、首を緩く振る。
「ロージアは死にませんよ?殺せませんし…。
彼は…私に似た存在です。…何となく気付いていたでしょう?」
「あーやっぱり…まぁ…。」
ジャンセンとオフィーリアの会話のやり取りを、リリーは理解出来ていないようでキョトンとした顔をしている。
「あのねリリー、戦争ばかり仕掛ける国を憂いた皇太后が神に国の安寧を祈り、結果ロージアが産み出されたのは間違いではないのよ…
ただ、国を何とかしたい、の何とかが、彼女の想像を越えてしまったけれど。……国の滅亡という。」
ディアーナは少し言いにくそうに言うと、ジャンセンが話を続ける。
「この世界は、私が創った時より人も増えて瘴気も増えた。
レオンハルトだけでは対処しきれない程に……。
そんな私の苦労を知ってか、私より高位に在る存在が私の世界の為にロージアを生み出したのですよ。
皇太后の国を想う気持ちを命として差し出させ、そんな国を無くす存在を創り出した。
ロージアはただの魔物ではない。神に近い者です。」
「どういう…意味ですか…?
国を、我が子を、守りたいと神に祈った皇太后が犠牲になったのに!
その祈りが守るどころか、国を滅ぼす神を作り出すなんて!」
リリアーナ皇太后の、国と息子であるレオンハルト先代皇帝を想う心を知っているリリーは悲痛な声をあげる。
「そんな憂いを持たせる国ならば消してしまおう。
そう思ったのではないですかね……あなた、自分が飼育しているアリの巣で縄張り争いが起きていたら片方を助けてやろうとか、出来ます?少なくとも私には無理です。
どのアリも同じようにしか見えませんしね。…だったら全部無くしてしまいますよ。
……と、まあこれは私個人の見解でしかないので、実際は私でも分かりませんが……」
まずい茶を飲みつつジャンセンが言う言葉を、リリーは項垂れたまま肩を震わせて聞いている。
「今、分かっているのはロージアが親父よりも高位の存在によって生み出されたらしい事、よって不老不死。
俺の手に負えない範囲で瘴気が発生したら人の世に現れ、国や世界を滅ぼすリセットマシーンだな。
…そのうち人間に勇者が生まれるかもな。」
オフィーリアがチラリとジャンセンに目をやると、ジャンセンは面倒臭そうに溜め息をつく。
「ロージアは高位の神によって皇太后の命を糧に、私が創ったこの世界の為に生み出されましたが、その際に高位の神の力が影響したのでしょうね。
リリー、あなたは皇太后によって皇帝の為に生み出された存在ですよ。
あなた、自覚してます?」
リリーは項垂れた顔を上げ、キョトンとした顔をしている。
「はい…?」
「あなた、新しい国の王妃ですよ?夫はレオンハルト皇帝です。
バカップル誕生です。」
「ええええっ!!?」
顔を赤くして固まったリリーを無視してジャンセンが話を続ける。
「バクスガハーツ帝国は無くします、そのままあの国の土地は隔離して、神出鬼没の魔界に変えます。
今後、国まるごとだとか、世界を脅かす的な瘴気が発生すればロージアが現れて瘴気発生源の人間を一掃、でも、最終的にはロージアが倒される感じです。」
ジャンセンのザックリ過ぎる説明にディアーナは笑う。
「人間の勇者が生まれるまでは、毎回私がロージアを倒したいわね!…まぁ、初回は頂くけど!」
楽しげなディアーナに、赤い顔をしたまま固まったリリー。
そんなディアーナ達を見て薄ら笑いを浮かべるオフィーリア。
やがてジャンセンは立ちあがると手をパンパンと叩いた。
「さあ、私の可愛いオモチャを迎える準備をしましょう。
姫さんは、創造神界で待機な。腹筋とスクワットでもしといて。
リリーさんは、新しい国の基に案内します。
では一旦解散!」
そして、オモチャをゲット作戦が始まった。
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「師匠!それは私のです!大事に育てていたのに!」
「早い者勝ちでしょう?そんなのは。」
「ディアーナ、それは俺が育てていたがんもどきだ。」
……ガンモドキって……ナニ?
ロージアは聞いた事の無い言葉を聞きながら目を覚ます。
自分の中の最期の記憶は、焦土と化したバクスガハーツ帝国の上空でディアーナに身体を貫かれ、身体が砕け散った瞬間。
白い白い世界。
白すぎて床と壁の境目すら分からない。
そもそも壁があるかも分からない。
そんな場所に居る自分…。
そんな厳かで神聖っぽい感じの白い世界で、ディアーナと黒い男、兄を騙った偽物のレオンハルト皇帝が低いテーブルに寄せ集まって何かをしている。
「だから師匠!!そのタコの足は私が狙っていたと!!」
立ち上がったディアーナと、ロージアの目が合った。
「………ディアーナ……何してんの……?ここ、どこ…?」
ロージアの声に、ジャンセンとレオンハルトもロージアを見る。
二人とも口からナニかはみ出している……キモチワルイ。
何……何なの…?
「ここは創造神界、神の世界よ!
ロージア、おはよう!気分どお?お腹空いてない?おでん食べる?」
おでん……?て……ナニ?
「僕……生きて…る?」
「生きてるとゆーか、死ねないからね!ロージアは。私達と一緒で。」
ディアーナはロージアの傍に行き、その手をとって土鍋の置かれたちゃぶ台に連れて来る。
「…あ、あの……僕……」
ニコニコと微笑む黒髪に黒目の男と、苛ついた顔で冷たい視線を投げ付けてくる金髪の男。
まるで針のむしろに座らされているかのようだとロージアは思った。
「ディアーナの事…!本当に好きで…っ…わ!」
「うんうん、可愛い妹分に愛してるとか言われて、おねぃさんも嬉しいわぁ!」
ディアーナは背後からロージアを抱き締めつつ、さりげにロージアの胸を触る。
糸こんにゃくをすすりながら、冷めた顔で見詰めるレオンハルトはぼそっと呟く。
「まさか僕っ娘とはな……
つか、たまたま女の形なだけで性別自体は無いのだっけ?」
「そうですね、私も性別はありませんしね。男性の形なだけで。
ロージアはリリーと同じく皇太后の形をとってますから女性型寄りですね。リリーより中性的ではありますが。」
おでんを肴に、日本酒らしきモノをチビチビやりながらジャンセンが言う。
「そんなのでディアーナを抱くとか、よく言えたな…
つか、何となくソレっぽい事をしようとしたみたいだが、よく分かってなかったんだろうな…
まぁ、あの様子じゃ…男型になった所で、もうディアーナをどうこうしようとは思わないかも知れないが。」
「……でしょうね………姫さん、ロージアが真っ赤になって震えてるから、やめたげなさい。変態。」
ディアーナに全身まさぐられたロージアは、ディアーナの腕の中でグッタリと脱力していた。
「な、な、何なの!これ!すごい恥ずかしいし!すごい疲れる!!やめて!!」
真っ赤になり涙目のロージアは、怯えるように自身の身体を抱き締め、ディアーナから距離を取ろうとする。
「ほう…羞恥心が芽生えたとな?
これは更に、おねぃさんがエエ事を……」
怪しい笑みを浮かべ手指をワキワキとイヤらしく動かすディアーナに、怯えたロージアが後ずさる。
「だから、やめろと言っている。この、セクハラ変態女神。」
ディアーナの脳天にジャンセンのチョップが炸裂した。
「ぐふっ!」
白い白い神の世界。
そんな神聖な場所に在るはずが無いのに、なぜかある、土鍋が置かれたちゃぶ台。
それを囲むジャンセンとレオンハルト、そしてロージア。
ディアーナはジャンセンの後ろで正座で反省中である。
「もう、自分が何者かも生まれた理由も分かったよね?」
ジャンセンが微笑みながらロージアに尋ねれば、ロージアはコクリと頷く。
「君に課せられた宿命は重いけど、君が君を全うするために、私達は君を愛するし大事にしていくよ?」
「……どういう…意味?」
ロージアはジャンセンにからかわれた記憶しかなく、警戒して口数を減らす。
ジャンセンの背後からディアーナが飛び出すように身を乗り出すと、ロージアに満面の笑顔を向ける。
「つまり、魔王やってない時はダラダラ好きな事をやっていていいし、私達家族があなたを愛して見守っていてあげるって事ね。
……可愛い妹だもの……ふふ…」
「俺はまだ、完全に許したってワケじゃないんだよな。
キスだってなぁ、なんでロージアは良くて、オフィーリアは駄目なんだか納得いかねぇし…
俺もオフィーリアの時に口移しでブドウ食わせて欲しい。」
ふて腐れたように言うレオンハルトに、冷めた口調でディアーナが言う。
「口移しでバナナ食わせてやるわよ。」
「唇、届かねーよ!届かせようとしたら、オエッてなるわ!」
アホな会話を神の世界で聞いているロージアは、何も無い白い空間をボンヤリ見ていた。
ディアーナはアホだ…。
そんなディアーナを含む、神の家族になるのか…僕が…………
「なんだか疲れそう………。」
ロージアの言葉に、ウンウンと頷くジャンセンとレオンハルトを見て、ロージアはヘラリと力なく笑った。
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