前世女子高生の私は今、悪役令嬢を経て月の女神と呼ばれてますけどムカついたヤツはぶん殴る肉体派ですわ!

DAKUNちょめ

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第一章•帝国編

18話◆ラリアット。女神と魔王、戦いの終焉。

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「な、な、何だ!あの娘は!あり得ん!あり得ん!」


教皇は一人バルコニーから離れ、肥えた身体を揺らしながら王城の廊下を走っていた。


たかが人間の娘だと馬鹿にしていた少女が、魔を統べる者になりつつあるロージアと対等に戦っている。


「あんなもの人間ではない!人間ではないのか!おのれ…!
二百年も生きて来た私が、あんな娘に倒されはせん!
逃げ切ってやる!そして、力を蓄え……おお、そうか」


教皇がニィと笑う。


腹の中に、魔力を持つ少女を捕らえて居る事を思い出した。

このまま、消化して魔力を取り込んでしまえば良い!


「リリー、私の妻よ!今こそ貴女とひとつに!!
魔力を持つお前を食えば私はさらに力を………ごばっ!!」


教皇の口の中から、剣の刃が生えたかのようにスウッと飛び出す。



「……おい…淑女をいきなり腹の中に収めるなんざ…
ディアーナ的に言ったらラリアットもんだぞ!!ジジイ!!」



教皇の口が裂け、そこから飛び出した光の筋は剣を持つ金髪の少女に姿を変えた。


王城の廊下に躍り出たリリー…ではなく、オフィーリアは、構えた剣を横に倒して青白い高温の焔を纏わせ、教皇の首を目掛け剣を振る。


「腕のかわりに剣で、ジジイにラリアットいきまーす!」


「お、お前みたいな小娘に殺られるワケが無い!!
わ!私は…!二百年も生きて…!」


「あん?たかが二百年?ジジイじゃなくてガキじゃねーか。
俺はもう、1500年は生きてる。」



オフィーリアの剣は教皇の身体の胸から上をズバン!と斬り飛ばした。


「あ、首を狙ったのにズレたな。まいっか」



その場に残った胸から下の斬り口から、黒い霧と赤黒い舌のような触手が無数にわき出てイソギンチャクのようにうねり暴れ、やがてしぼむように小さくなった。


飛ばされた胸から上は胸像のような姿となり、廊下の絨毯の上でブツブツと呟いている。


「あり得ん!あり得ん!お前は何だ!人間ではない!」



オフィーリアは胸から上だけになった教皇に近付き、教皇の頭を踏みつけると剣を構える。



「俺はこの世界を創った創造主の息子で、ディアーナは娘だ。
そんじゃ、プチるんでさようなら~」



満面の笑みを浮かべたオフィーリアは、焔を纏わせた剣を教皇の脳天から床に縫い付ける勢いでザクッと刺す。



青白い焔は教皇の身体を焼いて早々と蒸発させてしまった。



「やれやれ…もう、リリーのふりはしなくていいだろ……
何か暴れ足りない気もするが……」



廊下にて頭を掻いているオフィーリアの前に、城に居る人間の姿を保ちきれていない雑兵達が現れてオフィーリアを取り囲んだ。



「きゃああ!助けて~!リリー、怖い!」



目を輝かせたオフィーリアは、広い場所を探して城内を走り回り始める。


人間の少女を食らおうと、オフィーリアの後を追う魔獣化した兵士達が一人、二人と数を増やして行く。


「森にいた時みたいに、もう一人一人背後をとってチマチマ殺らなくていいんだよな!トンスラに刈る必要も無し!
全員派手にプチっていいんだよな!やったー!わははは!」


ストレスを発散すべく、雑兵ホイホイと化したオフィーリアはたくさんの魔獣と化した兵士を引き連れて、王城の地下へと走って行った。



「まとめてプチりまぁーす!」



地下から鈴の音のような、可愛らしい声がした後、

多くの断末魔の叫びがあがった。










王城の前の広場は荒れ地と化していた。



ディアーナとロージアの人の身を越えた激しい戦闘によって建物も地面も抉れ、広場に居た多くの人々も、その場に多く倒れている。


ほぼ、人の姿を捨てた者達ばかりの屍で広場は埋め尽くされていた。


その広場の上空にて、この場を焦土と化した戦いが終わりを告げようとしていた。





「……コフっ……」



ロージアの口から、喉の奥から息を吐き出すように声が漏れ、口の端を赤黒い液体が流れ落ちる。



ディアーナの右腕は、ロージアの胸を刺し貫いていた。



「……ロージア……」



「…やっと理解したよ…ディアーナ……
僕は……誰にも愛されず…憎まれ、恨まれ、恐れられ、最後は倒される為に…生まれて来たんだ……」



胸を貫かれたロージアは、自身の胸を貫くディアーナの手をそっと撫でる。

こんな形でも愛しい人に触れている。

それが悲しい位に嬉しい。



「……ロージア……」



「だから僕も……誰もいらないと…思っていたのに…君に逢ってしまった…ディアーナを…好きになってしまった……」



ロージアの頬を涙が伝う。

自分の命を奪おうとしているディアーナに対する涙。

それは憎しみや怒りでは無かった。



「……ロージア……」



「分かってるよ……僕は…消えるべき者だ…
…僕の命を奪うのが…愛する君で…嬉しい……
愛してる……君を愛していた僕を…どうか…忘れないで……
ディアーナ……さよなら…愛して…る……」



「……ロージア……ねぇ、ロージア………」



ロージアは目を閉じた。愛するディアーナに何度も名を呼ばれながら。


僕は、このまま……逝くのだろう……幸せだよ……。







「ひたってる所悪いんだけど、ねぇロージア………

あなた、口の端から赤黒いヨダレ垂れてるわよ。」









「…………はぁぁあ!?ヨダレ!?
ヨダレなんか垂れてるワケ無いだろう!!失礼だな!!
ほんっっと、月の女神って馬鹿なんだね!!」



ディアーナの腕を胸に刺したまま、ロージアが大きな声をあげる。



「また馬鹿って言いやがったわね!この距離だと逃げらんないわね、ロージア。鼻の穴にブドウ詰めてやろうかしらね!!」



「そ、そんなのアリ!?な、何で僕っ生きて……!」



ディアーナはロージアの胸から腕を引き抜くと、ロージアの顔に自分の顔を寄せる。



ロージアの唇にディアーナの唇が触れる。



「!!!!」



ディアーナの唇が離れると、ロージアの唇には口移しで渡された一粒のブドウがくわえさせられていた。



「今日はこれで許してあげるわ!今度は本当に鼻の穴にいくわよ!
……とりあえず、今日は私の勝ちね!
また、喧嘩しましょ!」



ディアーナは、遥か昔にジャンセンに貰ったオリハルコンのナイフを出し、ジャンセンの高い魔力を放つそのナイフでロージアの胸を貫いた。



「ディアーナ……!」



ロージアの身体にナイフを中心に亀裂が入り、ガラスが砕けるようにパリンと割れ、ロージアの身体は粉々に砕け散った。



「姫さん、お疲れさん。」



バルコニーから花嫁衣装姿のジャンセンが声を掛ける。



「師匠ー!!ねー城も広場もボロボロなんだけどーいーの?」



「いーよ、このどす黒い感じのまま人の世界から隔離して、魔界にしちゃうから。
で…そうだね、ロージアが創ったらしい、あの要塞教会を魔王城にしちゃうかな。」



「師匠、その魔王城を守る門番に、これ使って?」



ディアーナは馬に乗ってゴツい鎧に身を包んだ聖女ディアナンネ像を瓦礫の中から持ち上げる。



「気に入ったから取っておいたのーカッコいい系のディアナンネ!つーか、ディアーナよね!動いて最初の台詞が『うぬは何奴だ!』で」


「アホっぽいなぁ…まぁ、姫さんらしいと言えば…姫さんらしいわ…ロージアが嫌がらないならイイんじゃない?」



「嫌がる?ふふふふ…そんな意見は却下だな!」



ジャンセンが黙々と空間を作り替えながら作業をしてゆく。

やがて、満足げな表情のツヤツヤなオフィーリアが合流した。



「さあ、ロージアが待ってるわ!帰りましょう!」



私達の世界へ。
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