前世女子高生の私は今、悪役令嬢を経て月の女神と呼ばれてますけどムカついたヤツはぶん殴る肉体派ですわ!

DAKUNちょめ

文字の大きさ
42 / 52
第二章•魔王編

41話◆魔王、創造神からお説教。

しおりを挟む
ジャンセンに促され酒場の上に取った部屋に入った三人は、仲良くベッドの上に正座をして並ぶ。

ベッドの前で仁王立ちするジャンセンは三人の顔を一瞥すると目を閉じて腕を組む。

空気が重い…。



「……さっき、創造神界から送り出したばかりだよな?
ロージア、いきなり使うなと言った魔王の力使おうとするとか…
お前、俺の言った事を理解してねぇのか?」



ジャンセンの説教が始まった。

すこぶる機嫌が悪い。

父である創造神の口調ではなく、完全に影だった師匠モード。

口が悪く、ガラも悪い。

実はディアーナの好物でもある。


「だって…だって…ディアーナが…絡まれて…」


「だってじゃねぇ!
あんな事でイチイチ人を殺してたら、お前のせいで瘴気が溜まるわ!
馬鹿が!」


頭ごなしに叱られた経験の少ないロージアは、ショックが大きいらしく、うるうるな涙目になって海の底に沈んだかのように暗く沈んでしまった。



「そんで馬鹿息子。
テメェの頭ん中がディアーナ菌で腐ってんのは知ってるが、テメェもイチイチあんな事で人を斬ろうとすんじゃねぇ!
何百年一緒に居やがる!少しは落ち着け!」


「い、今まで斬り殺した事は…ない…よ?…まだ?」


レオンハルトは少しあざとく、幼いっぽい口調をして上目遣いでジャンセンを見る。


「千年以上生きてるジジィが可愛いフリすんじゃねぇ!
今回みたいな時は、年長者のテメェが止めなきゃならねーだろうが!
特に女房をな!」


ジャンセンがビシッとディアーナを指差す。


ディアーナは正座をしたまま、フグみたいに頬を膨らませて引き攣り笑いを浮かべている。

テンション上がりすぎて、凄い楽しいけど吐きそう!
みたいな不思議な顔をしたディアーナは、目線をジャンセンと合わせない。



「姫さんよぉ…俺は見てたぞ?
お前、楽しそうにあのクソの小指捻ったよな?「えいっ」て楽しそうに呟いたよな!
そこはせめて!女らしくビンタ位で良かっただろうがよ!
あんなクソをわざわざ回復させるの、めんどくさいだろうが!!」



「だって師匠ビンタだったら…「このクソアマ!」なんて言われて喧嘩を売られちゃうじゃない?
売られたら絶対に買うでしょ?
「上等じゃ!クソが!」って言っちゃうじゃない?
そしたら……宿屋が崩壊する…と思って…。」



ディアーナの語る、未来予想図(仮)にすごく納得したレオンハルトとロージアがコクコク頷く。


ジャンセンはディアーナの未来予想図(仮)を頭に描き、眉間に指を当て何度も頷きながら、あー…と低い声で唸る。



「……お前ら、数百年もよく今まで普通に旅をしてきたな…
今回みたいな事だって、今まで無かったわけじゃないだろ?」



ジャンセンの問いに、ディアーナとレオンハルトが顔を見合せ、ヘラリと笑う。



「こーゆーの、実はよくあるのよね…
で、レオンか私がキレて暴れ倒して…最後はゴロツキどもに土下座されているパターン……
むしろ、師匠が乱入したせいで、暴れずに丸く治まったのが初パターンで…。」



大人しく、普通の人間らしく、人に紛れて目立たずに…は、

最初っから無理だったのか!!この馬鹿息子と馬鹿娘は!



「親父…言っちゃ何だが、親父も同じタイプだからな?
今日みたいに、何で大人しくしてられなかったんだって言う親父のが、俺には違和感あるわ。
理不尽の塊のあんたが。」


「ロージアの模範って意味なんでしょ?無理よー!
ちなみに言っちゃうけど、殿下だったらもっとエグいわよ。あの人、ウィリアの事となると人が変わるから。」



遥か昔一緒に旅をしていた頃に、今回のディアーナのようにウィリアがゴロツキに絡まれた事があった。


笑顔の殿下は「不敬罪。」と一言言うなり、転移魔法でゴロツキどもを殿下の国、ラジェアベリアの牢に転移させた。

その牢は重罪人が処刑を待つ為の牢で、格子窓の外には絞首台が見える。

いつ命が絶たれるか分からない恐怖にゴロツキ達が生きた屍みたいになるまで、その場に放置した。

最終的には解放したらしいが。

ゴロツキどもが解放されるまで、国王を始め国の重鎮達もヒヤヒヤしていたらしい。



「あの冷静沈着なスティーヴンでさえ、それですか…
人の嫉妬は恐ろしいですね…なら、分かりましたよ好きに旅をして下さい。
ただしロージア、君はむやみに魔王の力を使わない!
そして、使ったとしても人を殺さない!それだけは守りなさい。
つか、守らせろ年長者!」



ジャンセンがレオンハルトに「オラぁ!」と言わんばかりにガンを飛ばす。



「えーめんどくさい」と顔に書いてある状態のレオンハルトが渋々と承諾し、やれやれと疲れた顔のジャンセンは手の平をヒラヒラさせ「頼みますよ?」と一言告げ姿を消した。



「瀧川廉をやっていた時は、もっとスマートな青年だったのに…どこで、あんな風になったのでしょうね…やはりディアーナ菌ですか…。」



創造神界に戻った創造主が椅子に腰掛け、呟いた。






ベッドで正座をしたまま取り残された三人は、しばらくそのまま正座を続けていたが、ジャンセンが戻って来ないのに気付くと、それぞれがダラッと姿勢を崩す。



「いやー珍しく真面目な説教だったな、いつもは理不尽な事しか言わないのに。」


ベッドに仰向けに寝転がるレオンハルトが言うと、ベッドに突伏するようにしていたロージアが顔を上げる。



「あれで真面目な説教なの?ただの口の悪い人だよ、あんなの…」



「ロージアは、元々苦手だもんね師匠の事。ろくな思い出無いもんね。」



レオンハルトの胸の上に上体を乗せレオンハルトにくっつくディアーナが楽しそうに言うと、ロージアは苦虫を潰したような顔になった。



「思い出させないでよ……僕だけでないよ、兄上もリリーも、ジャンセンの事だけは色んな意味で恐れているよ。」



ロージアにとってはディアーナに化けていたとはいえ、ファーストキスの相手でもある。

もう、思い出すのもイヤだ。



「ロージアはさぁ、人を殴ったり蹴ったり出来る?」



唐突なディアーナの質問に、ベッドでうつ伏せになっていたロージアが身体を起こす。



「出来ないよ!そんなの!」



「じゃあ、剣を扱ったり槍を扱ったりは?」



レオンハルトがこれまた唐突に質問をしてくる。



「出来ないよ!僕は病弱で温室に閉じこもっていたから城で武術に関する事は一切習ってないんだから!」



「なら魔法使いだよな。」



「ロージアの場合は、鞭使いも似合いそうなんだけど…美少年の鞭使い…ふふふ…」



いや、実は美少女じゃん?とレオンハルトが脳内突っ込みをする。



「ロージア、いつも出す黒いイバラみたいなアレ、トゲ無しで出せる?
殺傷力を下げる感じで。」



ディアーナとレオンハルトの唐突な質問と提案にロージアは訝しげな顔をしている。



「出せるけど…何で……」



部屋の扉が乱暴に開けられた。

扉の向こう側の廊下に、酒場で絡んだゴロツキどもが四人立っている。



「楽しいお客様が来たからよ!!」


目を輝かせたディアーナがロージアに向け、バチーンとウインクする。



「女!さっきはよくも、俺をコケにしやがったな!」

「大人しくさせてから可愛がってやるぜ!」



「キャー!子悪党的な安定の素敵なセリフ!!
ロージア!お客様を宿屋の外にお連れして!!」



大はしゃぎのディアーナはベッドの上で拳を握ってピョンピョン跳ねている。

レオンハルトはそんなディアーナを見て微笑むと剣を携える。



「もお!分かったよ!!全員で宿屋の前の広場に行くよ!!」



ロージアは足元から黒いツルを出し、扉の向こうに居る男達の身体を巻き取るように拘束すると、四人の男達を連れて宿屋の窓から飛び出した。



「ディアーナ行きまーす!暴れるわよぉ!」



続けてディアーナ、レオンハルトが窓から飛び出す。



「ライアンのクソ馬鹿が一年でいきなり強くなっていた理由が分かったよ…」



ロージアの脳裏にウィリアの言葉が蘇る。





『 あのご夫婦は楽しむ為には加減と言うものを知りません。……まぁ、変態馬鹿夫婦ですからね。』





「いいよ!染まってやるさ!!ディアーナ達の馬鹿っぷりに!」



宿屋の前の広場に降りたロージアは男達の拘束を解くと、ディアーナ達と共に遊ぶ準備に入る。



「暴れるわよ!殺さないでね!ロージア!」



「はいはい…」





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...