転移した世界がクソだったんで魔王を作る事にした。

DAKUNちょめ

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第一章

11ーラスボスは女神。

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女装したエロいオヤジ……もとい。
フェンリルが金髪碧眼のイケメンを食った坑道がある町を数日前に離れた俺達は、北東に進みながら街を目指している。

道中、魔獣や魔物、盗賊団らしき奴らにも数回襲われたが、俺が手を下す前にスコルとハティに早々と駆除されていた。

襲撃の意思を感じたら町の外でならば殺してもいいと俺が言ったせいで、町から離れて殺戮の衝動の箍が外れた二人は容赦が無かった。
敵と見なした者は躊躇なく素早く命を刈り取っていった。


「また出たのか……自称、泣く子も黙る極悪非道な盗賊団。
同じような謳い文句を掲げた、いくつめの団体だかな。」


「これで8つ目だよ、ニイチャン。」


俺達は町を出て一日経たずに盗賊団に襲われた。

ヒョロく若い男が見目の良い美少女二人とガキを連れ、護衛らしい者も連れずにたった4人で歩いているのだから、さぞ旨味のある獲物に見えた事だろう。

逆に言えば、そんな脆弱そうな見てくれなのに魔物や魔獣が跋扈する森の中をたった4人で歩いているって所で、その力量に気付いて良さげなんだがな。

そんな勘を鈍らせるほど、美しい双子の姉妹であるスコルとハティは魅力的な獲物なのだろう。


━━言っておくが、そいつら美少女じゃねぇぞ。
熊よりデカい、オスの狼だからな。
食う前にお前らが食われるから。━━


声を大にして、そう言ってやりたい。


「……ニイチャンさぁ、ヤラシイ事をする奴隷として狙われてんのがスコルとハティだけだと思ってるようだけど……
ニイチャンと俺も買われる相手によっては、そうなる可能性が大だからね?
ニイチャン、この大陸では珍しい黒髪だし顔もいいしさ。
そーいう珍しいのが好きな金持ちのオッサンも居る。」


ゲフッ!金持ちのババァではなく、まさかの男も居るのかよ!!


俺はあからさまに不愉快そうな顔をして、この世界に対する不満を抗議して訴えるように、この世界のヤツ代表として、思い切りダイを睨んでしまった。


「いや、俺が睨まれてもさぁ。情報伝えただけだし…
第一、捕まったら危険なのは俺も同じなんだから。」


「分かってはいるが、そういった対象に見られるかも知れない事に何だか異様にムカついてな……ん…?
俺は南の大陸出身の人間て事にしているし、お前だってこの世界の人間だろ?
魔族と呼ばれる亜人ではないのに奴隷にされるのか?」


「されるよ。
奴隷は魔族だけが対象ってワケじゃない。
普通に人間だって奴隷に落ちる事はある。」


改めて考えれば地球でも奴隷が居た歴史はあるし、俺がいた日本だって少し昔に遡れば普通に人買いが居たりしたのだから、地球の現代よりも文化が進んでない此方の世界でならば、あってもおかしくは無い話なのだろう。


「そういや、昔の旅は命がけだった的な話しを聞いた事があったな。
奪われるのは金目のものだけとは限らないか。」


命を奪われる事もあれば、命は助かってもその身が金銭の対価として奪われる事もある。
だったら奪われる側から、奪う側になるだけだな。


「テイト、全部死んだ。楽しかった。」


返り血を浴びて銀髪が赤髪になったハティが満足げに報告に来た。
血に塗れて楽しそうに語るハティの姿を見たダイが、目眩を起こして倒れそうになる。
俺はダイの腕を掴んで、立った姿勢を保つ様に促した。


「お前なぁ、いい加減に慣れろ。
この先も、ずっとこんなんだぞ?」


「分かってる…分かってるんだけど……人が死んでいくのに慣れるって…
そんな簡単な事じゃないよ…それが悪党だったとしても…。」


顔面蒼白状態のダイが呟いた言葉に、ふと考える。

俺が自分以外の人の死を簡単に受け入れられる様になってから、どれだけの月日が流れたのだろう……。


以前ダイに話した、俺が高校生として生きていた元居た世界。
命の危険に脅かされる事がほぼ無く、平和な日常を退屈だとのたまう事が許される世界。
俺が生まれ育ち、『普通の平凡な高校生』をしていた世界。

今の俺は既に、その世界では異質の存在でしかないのだと、突き付けられた気がした。












「陛下に報告致します。

異世界から召喚しました勇者ミチル様。
あの方は、素晴らしい戦果をあげております。
陛下によって、この世界に喚ばれた時から強力な魔法の使い手ではありましたが、多くの魔物、魔獣を屠り更に魔法力があがったようです。

一方ミチル様と共に喚ばれた例の三人ですが、目ぼしい戦果は上げておらず、使用魔法も我が国の新米魔導士にすら敵いません。
魔法力も上がってはおらず、今だに児戯の様な種火を飛ばす程度にとどまっております。」



京弥、田上、末町の世話係と教育係を任されている従者の報告をまとめ、東の大陸王バーロンに伝える王宮筆頭魔導師が、報告書を読み上げながら呆れた様な大きな溜め息を吐いた。


「異世界からの勇者は、秘めた魔力の差が激しいとは聞いておりましたが……あの三人に関しては、あんまりですな。
ミチル様との差が余りにひど過ぎる。

喚び出して保護した手前、しばらく世話はしなきゃならんでしょうが…才能が開花するとも思えませんし、タダメシ食らいも良い所かと。」


玉座に腰を下ろしたバーロン王は、側近の意見に顎に生えた髭に触れながら思案する様に「うぅむ…」と低く唸る様な声を出した。


「……ふむ……そうなると、ますますあの時に放逐したマカミテイトなる少年…惜しい事をしたものだ。

今思えば、いきなり見知らぬ場所に来たにしては冷静で堂々としており、中々な胆力のある少年であったな。

あの時は魔法が使えぬフリをしておったのか、我々の知らぬ未知なる力を所有しているのか…。
今なお、逞しく生き延びておると聞く。」


玉座の間にて、バーロン東大陸王と側近達が情報を出し、意見を出して行く。


「何処で見付けたのか知らぬが、幼くも強く美しい少女二人を従えておるようですな。
マカミテイトに、そのような者を従える器があるとは…。」


「その少女らは、人間離れした強さを持つらしい。
獣人や魔人など、魔族の者である可能性が高い。
だが、人を凌駕する力を持つ魔族の者を道具も使わずに従わせる事など出来るものなのか?」


「謎の多い男だが、それだけの力があるのだろう。
どのような力か分からぬが、惜しい事をした…
いや今からでも遅くは無い、あやつを我が国の戦力としたい。
アオイよ、お前はどう思う。」


バーロン王がアオイに問掛ける。
玉座に座る王と側近達の視線がアオイに注がれた。


「あの男は…得体が知れず危険です。
敵に回すのも恐ろしいですが、手懐けようとするのは絶対にやめた方が良いでしょう…。」


赤く染まった布を左目に当てたアオイは片膝と右手を床につき答えると、頭を垂れた。


「その得体の知れない男を手懐ける為の手段を探るのがお前の役割ではないか。
探るどころか女にうつつを抜かして逃してしまうとは。
片目を無くすだけで貴様の失態をお赦し下さった陛下の温情を有り難く思え。」


側近の言葉に、更に深く頭を垂れたアオイは返事をしなかった。
出来なかった。


以前まで、何の疑問を感じる事も無く受け入れていた叱責が、しこりの様に胸につかえる。

アオイは、見た物、聞いた事、全てを正直に話した。
坑道のある町に現れた謎の女がマカミテイトの知人であるようだとの事も、その女が「魔王」について不穏な言葉を残した事も。

巨大な野獣を従えた異様な強さを持つ美しい女は、どのような企みがあってか、アオイの身体の自由だけを奪い情を交わした。
恐れる物も無く享楽的な雰囲気を醸す女は、マカミテイトの事を私の王ではなく、我らが王と呼んだ。

あの女の様にマカミテイトを支持する者が他にも居るのだと、匂わせた言い方をした。

そんな者達が傅き王と呼ぶ様な男を手懐けるなど危険極まりない。


アオイの意見は、バーロン王と東大陸の為を思えばこその発言だったが聞く耳を持ってはもらえず、それどころかマカミテイトに逃げられたのだと責を問われ、左眼を抉られた。

アオイは血の滲む布を当てた左目に手を当てた。


━━責を問うて…は俺の左眼を奪った理由を正当化しようと後から奴らがこじつけただけだ。

奴らは俺が痛がり、泣き叫ぶ様が見たかったのだ。
拷問という名の遊戯の為に、俺は不当に奴らに目を奪われた……━━

『うめき声一つ上げぬとは、つまらぬな』

そう呟いたバーロンは片眼を抉って玩具に飽きたかのように遊戯をやめた。



アオイが、自身の思考に驚き、ハッと顔を上げた。

アオイは物心ついてからこの歳になり初めて………
バーロン王を含む、この国での地位が揺るぎ無い者たちを、思考の中とは言え、「奴ら」と呼んだ。


自身の思考の変化に驚き戸惑うも、頭の中はクリアで自身の考えを遮る物を感じない。
今までは、何かを深く考えようとするとモヤが掛かった様に思考を停滞させる何かがあった。


「フェンリル…あの女が俺に何かをしたのか……。」


独り言ちながら立ち上がったアオイに対し、部屋から下がれと王の側近が手で追い払う様な仕草をする。
頭を下げ、玉座の間から出ようとしたアオイの耳に、王と側近の会話が届いた。


「マカミテイトが連れている二人の少女もですが、此度坑道に現れた青銀の髪の女、これまた人ならざる者としか思えぬ程に美しい女だったそうで。」


━━青銀の髪の女?
フェンリルの姿についてまで報告はしなかったのに、なぜ容姿を把握している?

…なぜ?なぜなんて考えるまでも無いじゃないか。
俺も奴隷と同じだ。
配下の者として見られていない、人としても見られていない。
いつ、命を落としても切り捨てても平気な物のひとつだ。

その俺が生きている、あるいは死んだ…そんな風に道具の状態を報告する見張りがいた。それだけだ。━━












大輔が死んだ。

だが大輔が死んだという実感が涌かない。

この世界はバーチャルゲームか何かの中で、大輔はスタート地点に死に戻っただけなんじゃないかとさえ思える。

俺も死んだらスタート地点に戻り、そこに居る大輔に会える気がする。

だが大輔は死ぬなと言った。
俺はコンティニュー無しで、このゲームの様な現実世界をクリアーしなければならない。

やることはゲームと同じだ。

敵を倒して倒してレベルを上げ、自分は倒されずに進むのみ。

毎日、同じ景色と同じ行動の繰り返し過ぎて、時の経過も分からなくなった。
感情も凪いでしまって、未知の強敵を前にした恐怖も、美味い食料や強い武器を手に入れた喜びも感じなくなった。

時間の経過による変化を一切感じる事の無い、頭のおかしなこの世界を、最初の内は気が触れそうだと思っていたが
今は、それすらどうでも良いと思っていた。

俺が進み続ける理由は至ってシンプルだ。

大輔の約束通り、葵に逢うために生きる事を諦めない事。




明かりの漏れた教室。
そこらは、この世界で唯一食料を手に入れる事の出来る部屋。

今までの経験で、その部屋が罠であった事は一度たりとも無かった。
だから俺は明かりの漏れる教室を見付けた瞬間、躊躇なく扉を開き、中に入った。


俺は久しぶりに自分の声を聞いた。



「葵!!」



見慣れた制服姿に見慣れたミディアムショートのヘアスタイル。
教壇の前に立つ葵は、教室で別れた時と全く変わらぬ同じ姿のままだった。

時の経過を忘れるほど、長く死んだ様に眠っていた感情が昂ぶる。
波紋一つない水面の様に凪いでいた心が大きく波打つほど、激しく風が吹く。

ずっと逢いたかった愛しい人の姿を見れた事に、まだ喜べる自分が居るのだと気付いた。

駆け寄ろうと足を一歩踏み出すが、それ以上進む事が出来ない。
喜びの余り?緊張から?


「帝斗、久しぶりね。……8年ぶりだわ。」


8年?あれから、8年も経っていたのか……
大輔が死んでから、4年も?

8年、死線をくぐり抜けて来た俺の全神経が警告する。


葵に近付けば殺されると━━


「まさか……葵もアレか?
寺島と同じで、同級生を全員殺したら元の世界に戻れるとか考えてんのか?」


俺は不意の攻撃に備え、葵から一定の距離を保つ。
葵は武器を所持してはおらず、制服を着て教室に立っている様は、ただの普通の女子高生だ。


「帝斗は、元の世界に戻りたいの?
元の世界に戻るって、どういう事か…分かってる?
今、私と帝斗が会って話している、この時間は消えないよ?
過去には戻れないの。」


「……だろうな。
毎朝、葵と一緒に登校して…ダイが合流してフザけた名前の魔法を俺達に向かって掛けたり。
くだらないけれど、平和だった日常。
あの日に帰るのは無理なんだろうな。」


葵は微笑み、小さく頷いた。


「それが理解出来ているなら上等だわ。
その上で知って、さらに絶望してちょうだい帝斗。」


微笑んだ葵の身体から金色の光が漏れる。
やがて光は姿を作り始め、狭い教室だった場所はモザイクが消えていく様に剥がれて消えていき、やがて校舎そのものが消えて無くなった。


緑色のヘドロが渦巻く沼の様な空模様の中。
俺達は共に宙に浮いていた。
いや、浮いているように見えるが目には見えないが地面がある様に、足の裏に力を入れて踏ん張る事が出来る。


「ああ、葵。
お前との喧嘩だけは、俺は絶対に手を抜かない。
ガキの頃からそう決めている。

まぁ、まだ勝った事も無いけどな。」


俺は腰に下げた日本刀を抜くと、葵に向けて構えた。


「分かってくれたのね。やっぱり帝斗は話が分かる男だわ。
お前と戦いたくないだとか、お前はそんな奴じゃないとか言い出さなくて良かった。
言われていたら、瞬殺していたわよ。

さぁ帝斗、私がこの世界のラスボスよ。」



━━言われなくとも、お前がラスボスだって分かっているさ。
その姿を見りゃぁな━━



目の前の葵は、女子高生の姿のままで身体を巨大な五体の五色の龍に護られる様に囲まれており、矛を構えて立っていた。

俺には葵が畏怖すべき女神の様に見えた。













「何だか、前より飯の質が落ちてねぇか?
質素になったって言うかよ…。」


京弥達の部屋のテーブルに置かれた三人分の夕食は、一人一切れのパンとスープ、身の少ない骨付き肉と野菜の煮込みのみ。
先々週まではメインの肉料理がもう一品と、果物が付いた。

末町の呟きに、食事を用意した三人の世話係が冷めた口調で答えを返す。


「文句があるのなら、城を出て行って貰って結構です。
奴隷を売って装備を整えたのでしょう?
でしたら、もう少し戦果を上げて欲しいもんですがね。
魔力を上げるのが無理でしたら、剣でも槍でも使って城周辺の魔物の一匹でも倒して下さいよ。」


「お、俺達は武器の扱いなんて知らない世界から来たんだ!
そんなすぐ上達するワケ無いだろ!」


突き放した言い方をした世話係に対し、苛立ちをあらわにした田上がテーブルを叩いて立ち上がった。
だが、世話係に手を出す事が出来ない。

無抵抗だったミチルや帝斗にならば簡単に手を出せた彼等は、今のこの世界では自分達が底辺の弱者だと思い知らされていた。

目の前にいるヒョロっと頼りなげな世話係の男でさえ、田上や末町より遥かに強い。


「……ザコ魔物すら一人で倒せないのに、能書きだけは一人前ですか。ヤレヤレですね。
陛下がマカミテイトを惜しむのが良く理解出来ますよ。」


「……真神帝斗?なんで転校生の名前がここで出るんだよ。
アイツは追放されて、野垂れ死にしたんじゃないのかよ。」


世話係の呟きに反応した京弥が椅子から立ち上がった。

召喚された恭弥達が神殿を出てから既にひと月近く。
恭弥達が馬車に乗せられ城に招かれたあの時、転校生は追い払われる様に一人きりで神殿を離れた。


戦う術を持たない者は一人で野を歩く事が出来ない。
自らが戦えないのであれば、護衛を雇うなりするしかない。

実際、恭弥達を乗せた馬車を含めたバーロン王の一行は城にたどり着く迄に数回魔物の襲撃に遭った。
ただ歩いているだけでバケモノが襲ってくる。
この世界はそういう世界なのだと、神殿を離れてすぐ知った。

だから戦う術もなく護衛を雇う事も出来ずに神殿から追い出された真神は、その日の内に死んでいてもおかしくはない。
京弥はそう思っていた。


「マカミテイトは、生きていますよ。
12、13歳位の美しい少女を二人連れて歩いてるみたいです。
奴隷なのか分かりませんが、この少女達がとてつもなく強いと聞いております。
守ってもらってるのですかね。」


「何だと!?なんで、アイツが生きている上に、そんな強い護衛を雇えているんだよ!金だって無いはずだ!
意味分かんねーぞ!!」


激高する恭弥に対し、末町が色めき立つ。


「あのネクラ転校生、その美少女ちゃん達の弱みを何か握ったのかな!?
で、言う事聞かせてんだよ、きっと!」


「あ、じゃアイツから美少女ちゃん達を助けたら俺達の仲間になってくれんの?」


末町の意見が正しいかも分からないのに、連想する様に都合の良い妄想をする田上。

恭弥は二人の理想論的な話には乗らずに、思考を巡らせる。
そもそもが、弱みを握った所でそんな強い少女二人を従えられるハズが無い。

自分自身が強くなければ。


「それは、いい考えですね!
田上サマが、マカミテイトを倒して少女二人の主になれば戦果も上がるでしょう!
いつも言っていたじゃないですか、自分はマカミテイトをボロボロになるまで叩きのめしたと。」


世話係がほくそ笑む様にして言った。
本音から言っているのではなく、嘲笑を含んで「出来るモンならな」と煽られているのだ。


だがそれを知った所で恭弥も冷静さを取り戻した末町も、田上に伝える気も無い。


騙された奴が悪い。自分の身は自分で守るしかない。
生き延びる為の僅かな道を、間違えずに選んで行くしかない。
恭弥は一旦立ち上がった椅子に再び腰掛け、黙々と夕食を食べ始めた。


「田上サマがマカミテイトの所に行くのでしたら、私が陛下にお話しますよ。
陛下もきっと喜んで送り出して下さるでしょう。」


「そっかぁ!!」


恭弥は眉間に深くシワを刻み、テーブル下の自分の膝を見るように頭を俯かせた。


━━田上のアホが…!まんまと厄介払いの提案に乗りやがって!
真神を倒す?出来るワケねぇだろ!
アイツはきっと強い。
俺達に、そんな姿を見せなかっただけで絶対に強い!
抵抗しなかっただけだ。叩きのめしたワケじゃねぇ!
そんなヤツに勝負を挑むなんて……

それ以前に、何の力も無いお前が一人で城を出るなんて自殺行為だと何で気付かないんだよ!!━━


「なぁ、恭弥と末町も一緒に行こうぜ!」


「俺は行かない。行くならお前一人で行けよ。」


恭弥は席を離れ、自分のベッドに行くと田上に背を向けゴロッと寝そべった。


「俺も、いいや……美少女は気になるけどさ。」


末町もボソボソとバツが悪そうに田上の誘いを断り、食事を始める。


「ああ?俺一人で行けってのかよ!
アイツが今どこに居るかも知らないのに!」


「安心して下さい、田上サマ。
ちゃんと案内人を同行させますよ。」


世話係が口角を上げてニィっと笑った。
恭弥には、その笑顔が獲物の姿を捉えた爬虫類のようで気味が悪く感じた。


「アオイという名の片目の男です。
いざという時には、囮にしても構いませんよ。」



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