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妹と弟分と2人の兄を見守りたい兄貴。
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リヒャルト殿下の甘く誘う様な口付けに流されてしまいそうになる。
いや、駄目だって。
ここはテントで、周りにはたくさん人が居て……
俺、殺されかけていたからな!王太子殿下に!
テントの外でも、大騒ぎなんだから!
自分自身も大変、名残惜しくはあるのだが、身を切る思いで唇を重ねて来る殿下の身体を押して離した。
一旦、話を変えて気を逸らそう!
「あのっ!リヒャルト殿下が、なぜ此処に!?
俺が城を離れたのを知ったからって、こんな遠方まで早馬駆けてまでいらっしゃるとは…。」
「オズを守るように頼まれたんだ。
アシュリーのお兄さんに。」
「ほう、俺の兄貴にですか。」
さすがは妹思いの出来た兄貴だ。
ヒゲむくじゃらの、ムッさいオッサンだが。
……………え?オッサン俺の夢の中にしか現れんけど。
リヒャルト殿下、いつどこで頼まれて…?
「ブリュンヒルデがアシュリーのお兄さんだったよ。」
「はぁ!?末姫様が毛むくじゃら…!!」
疑問を表情に出した俺に、殿下が笑顔でサラリと答えた。
あの可愛らしいブリュンヒルデ王女殿下が、ムサヒゲ兄貴の生まれ変わりだなんて。
かなり驚いたが、アシュリーを守れとリヒャルト殿下をここに寄越した事にも驚いた。予言者か。
アシュリーが今日、危ない目に合うと知っていたのか。
そういや末姫様、鍵を掛けとけとか言っていたな。
「詳しい事は城に帰ってから話すとブリュンヒルデが言っていたけど…。
ブリュンヒルデがどこまでアシュリーの兄上の記憶を持っているかは分からないよね。」
確かに。俺はアシュリーの生まれ変わりだが、アシュリーとしての記憶は殆ど無い。
一方でエルンスト殿下は、前世の青年の人格に乗っ取られて青年の記憶しか無いような状態だ。
記憶の持ち方や現れ方には個人差があるようだ。
「ハッ、そう言えばエルンスト殿下どうなったんです?
リヒャルト殿下に頭を殴打されて気を失っていたみたいですが。」
「逃走も自死も出来ない様にして拘束するように兵士に言ってあるよ。
………本当はね、オズに跨って短剣を振りかざした兄上を見た時、斬り倒したいと思った。
でもオズ達の記憶に、兄上が死に行く姿を。
そんな光景を刻みたく無かったんだ。」
オズ達…とリヒャルト殿下がおっしゃった。
俺とアシュリーの事を指しているのだろう。
リヒャルト殿下は俺がさっき夢で見た、アシュリーが青年に殺された事を知らない。
だが聡い殿下ならば、「アシュリーを守って」と言われた事と先程の光景から、アシュリーの今わの際を悟った事だろう。
その上で感情的にならずに刃を納めたのは、殿下が俺を良く知ってくれているからだ。
目の前でリヒャルト殿下がエルンスト殿下を殺す光景なんか見たら俺は……
二人を護るべき騎士でもある俺は、原因となった自分を憎んで、この世から消えたくなってしまっていただろうな。
俺の中のアシュリーだってきっと、青年を殺して欲しいなんて思わないだろう。
リヒャルト殿下は本当に俺を、よく知っている…。
俺はリヒャルト殿下と共に、国王陛下のテントに向かった。
国王陛下のテントには気を失ったまま拘束されて横たわるエルンスト殿下と、その傍らで頭をかかえる国王陛下がいらっしゃった。
俺を殺そうとしていたとの報告は兵士によって既に受けたらしい。
国王陛下にしてみれば、王太子が俺を殺害しようとした理由が分からず、困惑している様だ。
「父上……じき、夜が明けます。少しお休み下さい。
全ては、城に戻ってから考えましょう。」
リヒャルト殿下が項垂れた陛下に休む様にと声を掛けた。
バタバタしている内に、夜が明けたようだ。
空が白み始め、夜空に散りばめられていた星も見えなくなった。
赤々と輝いていたアンタレスも白い空に溶けて消えた。
テントに射し込む細い日の光が、横たわるエルンスト殿下の顔に当たる。
エルンスト殿下の閉じた瞳から、涙が一筋零れ落ちた。
▼
▼
▼
休まず馬を走らせ俺を追って来たリヒャルト殿下と、その護衛として共に来た兵士達に数時間仮眠を取ってもらい、昼には狩り場を発ち城に向けて出発した。
エルンスト殿下は拘束された状態で野営道具を乗せた馬車の荷台に乗せられた。
抵抗もせず大人しく従ったエルンスト殿下だったが、ふと見せた表情が、俺達が良く知る以前のエルンスト殿下に戻っていた。
王太子殿下が起こした事件は公にはしないようで、今回の狩り場の下調べに同行した者達に箝口令が敷かれ、口外する事を禁じられた。
城に戻って休む間もなく、俺は国王陛下の私室に呼ばれた。
今回の事件の経緯を説明をしろとの事だろうが……
俺も何と説明したら良いか分からない。
国王陛下にしてみれば、おかしくなった殿下が暴走して凶行に及んだのか、殿下が俺を殺したくなるほど恨むような何かがあったのではないかと考えてらっしゃるのだろうが。
鉛の様に重い足取りで入った国王陛下の私室には、国王陛下だけでは無く、リヒャルト殿下とブリュンヒルデ王女殿下もいらっしゃった。
王女殿下が説明をするにあたり、俺が来る前に国王陛下に、俺の前世と自分の前世が兄妹だったと話したらしい。
簡単には信じられないだろうし、納得出来ないのであろう国王陛下が苦虫を噛み潰したような表情をなさっている。
そりゃ、王女が兄貴で俺が妹とか言われてもな。
ブリュンヒルデ王女殿下は我々の前に立ち、小さな背をピンと伸ばして話し始めた。
「まずはリヒャルト兄様、オジュワルトを守ってくれてありがとうございます。
今から、わたくしが記憶している事を話しますわ。
わたくしの前世、アシュリーの兄のレイノルドの記憶を。
と、言いましてもわたくしが自分をレイノルドだと思い出したのはつい、半年ほど前なのですけれど。」
俺が自分をアシュリーだと知ったよりも後のようだ。
可憐なブリュンヒルデ王女殿下の前世がヒゲもじゃんのオッサン。
末姫様、前世の自分を知ってショックじゃなかっただろうか。
それにしてもオッサン、レイノルドなんてツラじゃないなぁ…。
ゴロンゾとかバゥリーとか何かムサい感じの名前の方がなぁ。
そんな緊迫感の無いズレた考えが俺の頭をよぎる。
「ブリュンヒルデ、いやレイノルド殿にお聞きしたい。
貴方がたの国、生きた時代はいつなのですか?
城にある歴史書や世界史では、それらしい記述を見つけられなかったのですが。」
城の図書室にこもって延々とアシュリーの背景を調べてくれていたリヒャルト殿下が訊ねた。
緊迫感の欠けた俺とは違い、真実を知りたいと真剣だ。
「レイノルド達の生きた時代は今より約千年以上前。
建国以前のこの土地に生きた小さな部落の民ですの。
幼子は死にやすく、大人も病気や怪我が死に直結するような短命の時代。
そんな時代を生きた昔の者達が自分達や幼くして死に行く子達を慰めるために生んだ神様が転生神様でした。
生まれ変わった次の生では幸せになれるように導いて下さいとの祈りを捧げるために。」
「千年!?建国より、かなり古い時代だ……
それにしても末姫様は、俺より随分記憶が鮮明なんだな。」
「レイノルド殿。
貴方は妹君のアシュリー嬢が生まれ変わるのを千年も待って、同じ時代、同じ場所に生まれ変わったのですか?」
グイグイとブリュンヒルデ王女に詰め寄るリヒャルト殿下。
今まで知りたくても知る術の無かった真実を知る機会とあって、追及が止まらない。
絵面的には、幼い妹を責めている兄の様に見える。
だが、ブリュンヒルデ王女もヒゲ兄貴の記憶を持っているせいか、こう…どっしりと構えた大人の余裕感がある気がする。
「いえ。わたくしは記憶にあるだけでもレイノルドの後に3回以上の転生を繰り返しているわ。
記憶の無いものもあるでしょうし5回以上違う人生を歩んでいるわね。
恐らくアシュリーも、エルンスト兄様の前世…ジャイルも数回の転生を経ているのではないかと。
ジャイルは、転生しながらずっとアシュリーを追いかけていたのかも知れないけど会えてなかったみたいね。
千年以上を経て、初めて同じ場、同じ時代にわたくし達は偶然揃ったの。
それが、それぞれの記憶を呼び醒ますきっかけになったみたい。」
ゆっくりとブリュンヒルデ王女殿下が語り出した。
ブリュンヒルデ王女殿下にはヒゲ兄貴レイノルドの記憶があるが、他の人生を送った記憶も僅かにあるという。
ブリュンヒルデとして生きて来た記憶の中に、レイノルドや、別の人物が主人公となった人生録を読んだ感じで記憶があるらしい。
よって、読破した物語の主人公に人格を奪われるような事は無いとの事。
アシュリー達の居た部落で生まれた転生神の信仰は、若者たちによって在り方が変わってしまったらしい。
娯楽の少ない場所では、若者たちが持て余した熱を発散する為にか信仰が祭りの様に熱狂化し、祈りは呪いに近いものとなった。
「村の年寄りが作った神様に、元々願いを叶える程の力なんて無いわ。
転生神様を依り代として盲信した若者達が勝手に誇張して神格を上げていったの。
そして、より神性を演出する為に作り出した儀式が『次の世で結ばれたければアンタレスの夜に二人で命を断つ』だったの。
心中がドラマチックでかっこいいとでも思ったのかしらね。
儀式とは名ばかりで実行した者など居なかったのだけれど、アシュリーの死期が近付きジャイルは焦ったのね。
そんな確証も無い儀式を真実だと思い込み始め、実行に移した。」
千年以上前のアンタレスの夜に、アシュリーは村の若者ジャイルによって殺害された。
……病んでいたよなぁ。
アシュリー目線で見たジャイル、イッちゃっていたもんな。
そしてジャイルがアシュリーの後を追うより先に、偶然現場に駆け付けたレイノルドが激昂し、妹を殺害したジャイルを思わずその場で殺してしまったと。
「彼はアシュリーを本当に好きで、自分も愛されると信じていたわ。
執念にも似た一途な思いで。
ジャイルはアシュリーと結ばれる為に同じ時代に生を受けたいと、思い込みの強さで呪いにも近い願いを自分に課した。
同様に、レイノルドも自分が死ぬ時に誓いを立てたの。
ジャイルがアシュリーの前に現れ幸せを阻むならば、今度こそ守れるようにと。
そして、怒りに身を任せて殺したジャイルの魂を救えるようにと。」
「その機会が、千年経ってやっと巡って来たと?
なぜ末姫様…兄さん…いやアナタは、あんな酷たらしくアシュリーを殺した奴を救いたいなんて思ったんだ…ですか?」
妹が死んだ凄惨な現場に激昂してジャイルの命を奪った位なんだから、その時の激しい怒りは想像に難くない。
このヒゲ兄貴が見た目に反し優しい男だったとしても、
可愛い妹を殺した男を憐れむなど不思議でならない。
つか、話しにくぅ……!
「アンタレスの夜にアシュリーと共に死ななきゃならないなんて思い込みに千年もの間縛られてきたジャイル。
彼をもう呪縛から解き放ってあげたかった。
レイノルドにとってはジャイルも弟みたいなモンだったから。
遮られた呪いは効力を失うわ。
ジャイルの自我は力を使い果たし、少なくとも今世ではもう表に出て来ないでしょう。
エルンスト兄様の中に記憶としては残るかもだけど。
まぁ、思い出したくない黒歴史的な感じでね。」
黒歴史として記憶に残るのか。それは何かヤダな。
自分で自分が恥ずかしい…。
それにしても
目の前でレイノルドとしての記憶を語る、可憐な幼い姫君が醸し出す頼り甲斐のある兄貴感がハンパない。
アシュリーの兄であっただけではなく、ジャイルの兄貴分でもあったと言うのだから何だか包容力と貫禄もある。
見た目とのギャップが凄い…。
よく理解出来ないまま、黙って話を聞いていた国王陛下も目を丸くし、いつもはフワフワした幼い王女殿下の初めて見る一面に見入っている。
そんな国王陛下を俺とリヒャルト殿下はジッと見ていてしまったのだが。
「今までの話が事実だったとしても、未遂とはいえ凶行に及んだエルンストを王太子にはしておけん。
ジャイルとやらに操られていたエルンストに非は無いと言え、そんな理由を公表も出来ん。
エルンストからは、王位継承権を剥奪する。」
俺とリヒャルト殿下の視線に気付き、陛下が咳払いをして「今後」どうするかを話し始めた。
「エルンストには爵位を与え、城から離れた地方で領主として働いて貰うとして。
新しい王太子には、リヒャルトを推すつもりだ。」
そうか……
以前の殿下に戻った所で、もうエルンスト殿下を王太子ではいさせられないのか。
だからリヒャルト殿下が王太子となり、次期国王となるのは必至なんだ。
王太子妃殿下となる姫君も、近日中には候補があがるだろう。
俺はもうリヒャルト殿下とは…恋人ではいられないのか。
そう考えたら俺は、無意識に表情を凍り付かせて俯いてしまった。
こんな悲壮感漂う顔を上げていられない。
「あらお父様、それは困りますわ。
あと5年待って下さいまし。
次の国王には、わたくしがなりますから。」
ブリュンヒルデ王女殿下が、挙手して名乗りを上げた。
「はぁ?」と驚愕の顔を見せる国王陛下と俺。
リヒャルト殿下は微笑み、ただ静かに一回頷いた。
「まだ幼いお前が何を言う!
しかも男子でもないお前が……!
兄から王太子の座を奪うというのか!」
「五代前の我が国の国王は女王でしたわよね。
この国を興したのも建国の母と呼ばれた女王でしたわ。
女が国を治めてもおかしくありませんわ。
エルンスト兄様には、わたくしの補佐をして頂きます。
それにリヒャルト兄様は国王になりたいとは思ってませんわよ。」
「何だと!?勝手な事は許さん!
我が国は今、大変な次期なのだ!
財政難で国が立ち行かなくなりつつある!
国庫が赤字の我が国が弱まるのを見計らい、隣国が攻め入ろうとしている!
金策の支援を申し出てくれる国の姫君を娶り、国を立て直さないといかんのだ!」
「でしたら尚の事、国を立て直す為にもわたくしが女王となります。
支援を目的として姫君を迎えるなど、他国に借りを作る様な真似は許しません。
五代前に、わたくしが隠した財宝を出します。
ご先祖様の言う事は、お聞きなさい。」
茫然とする国王陛下と俺の前で、リヒャルト殿下が俺にそっと耳打ちした。
「ブリュンヒルデには、僕が王位継承権を捨てて地方の領地を治めたいと情報を集めていた事がバレてたんだ。
まさか、レイノルドだけではなく、前世で御先祖様もやっていたとは知らなかったけど。」
アシュリーとしての記憶すら、ほとんど無い俺とは違い
ブリュンヒルデ王女殿下には、レイノルドをはじめ、他の前世の記憶もあるらしい。
その中に、賢王と呼ばれた女王がいたとは。
「えっと…殿下は、国ではなく田舎の領地を治めたいんで…?」
末姫様が王族の御先祖様の生まれ変わりって話より、俺は殿下が地方の領主になりたいって話のが気になる。
そう言えば以前、末姫様が俺に地方の領地の話をしていたな。
急に言われたから、左遷されるのかと思っていたが。
あれは…。
「父上、隣国との国境となる砦を有する領主不在の広大な領地には、隣国の侵攻を阻む気概を持つ新しい領主が必要です。
わたくし、この地をリヒャルト兄様とオジュワルトに任せようと思いますの。
二人ならば国境に立派な防衛線を築いてくれますわ。」
ブリュンヒルデ王女殿下が、俺を見て微笑んだ。
夢の中でヒゲモジャの兄貴がアシュリーに言っていた、来世の希望。
『王様になりたい』
『家族の幸せを見届けてやりたい』
笑い話のように話していたが、アンタは本気だったんだな。
レイノルドとしてアシュリーを
ブリュンヒルデとしてリヒャルトを
家族の幸せを願い、行動に移すアンタは最高の兄貴だ!
ヒゲモジャん!!
いや、駄目だって。
ここはテントで、周りにはたくさん人が居て……
俺、殺されかけていたからな!王太子殿下に!
テントの外でも、大騒ぎなんだから!
自分自身も大変、名残惜しくはあるのだが、身を切る思いで唇を重ねて来る殿下の身体を押して離した。
一旦、話を変えて気を逸らそう!
「あのっ!リヒャルト殿下が、なぜ此処に!?
俺が城を離れたのを知ったからって、こんな遠方まで早馬駆けてまでいらっしゃるとは…。」
「オズを守るように頼まれたんだ。
アシュリーのお兄さんに。」
「ほう、俺の兄貴にですか。」
さすがは妹思いの出来た兄貴だ。
ヒゲむくじゃらの、ムッさいオッサンだが。
……………え?オッサン俺の夢の中にしか現れんけど。
リヒャルト殿下、いつどこで頼まれて…?
「ブリュンヒルデがアシュリーのお兄さんだったよ。」
「はぁ!?末姫様が毛むくじゃら…!!」
疑問を表情に出した俺に、殿下が笑顔でサラリと答えた。
あの可愛らしいブリュンヒルデ王女殿下が、ムサヒゲ兄貴の生まれ変わりだなんて。
かなり驚いたが、アシュリーを守れとリヒャルト殿下をここに寄越した事にも驚いた。予言者か。
アシュリーが今日、危ない目に合うと知っていたのか。
そういや末姫様、鍵を掛けとけとか言っていたな。
「詳しい事は城に帰ってから話すとブリュンヒルデが言っていたけど…。
ブリュンヒルデがどこまでアシュリーの兄上の記憶を持っているかは分からないよね。」
確かに。俺はアシュリーの生まれ変わりだが、アシュリーとしての記憶は殆ど無い。
一方でエルンスト殿下は、前世の青年の人格に乗っ取られて青年の記憶しか無いような状態だ。
記憶の持ち方や現れ方には個人差があるようだ。
「ハッ、そう言えばエルンスト殿下どうなったんです?
リヒャルト殿下に頭を殴打されて気を失っていたみたいですが。」
「逃走も自死も出来ない様にして拘束するように兵士に言ってあるよ。
………本当はね、オズに跨って短剣を振りかざした兄上を見た時、斬り倒したいと思った。
でもオズ達の記憶に、兄上が死に行く姿を。
そんな光景を刻みたく無かったんだ。」
オズ達…とリヒャルト殿下がおっしゃった。
俺とアシュリーの事を指しているのだろう。
リヒャルト殿下は俺がさっき夢で見た、アシュリーが青年に殺された事を知らない。
だが聡い殿下ならば、「アシュリーを守って」と言われた事と先程の光景から、アシュリーの今わの際を悟った事だろう。
その上で感情的にならずに刃を納めたのは、殿下が俺を良く知ってくれているからだ。
目の前でリヒャルト殿下がエルンスト殿下を殺す光景なんか見たら俺は……
二人を護るべき騎士でもある俺は、原因となった自分を憎んで、この世から消えたくなってしまっていただろうな。
俺の中のアシュリーだってきっと、青年を殺して欲しいなんて思わないだろう。
リヒャルト殿下は本当に俺を、よく知っている…。
俺はリヒャルト殿下と共に、国王陛下のテントに向かった。
国王陛下のテントには気を失ったまま拘束されて横たわるエルンスト殿下と、その傍らで頭をかかえる国王陛下がいらっしゃった。
俺を殺そうとしていたとの報告は兵士によって既に受けたらしい。
国王陛下にしてみれば、王太子が俺を殺害しようとした理由が分からず、困惑している様だ。
「父上……じき、夜が明けます。少しお休み下さい。
全ては、城に戻ってから考えましょう。」
リヒャルト殿下が項垂れた陛下に休む様にと声を掛けた。
バタバタしている内に、夜が明けたようだ。
空が白み始め、夜空に散りばめられていた星も見えなくなった。
赤々と輝いていたアンタレスも白い空に溶けて消えた。
テントに射し込む細い日の光が、横たわるエルンスト殿下の顔に当たる。
エルンスト殿下の閉じた瞳から、涙が一筋零れ落ちた。
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休まず馬を走らせ俺を追って来たリヒャルト殿下と、その護衛として共に来た兵士達に数時間仮眠を取ってもらい、昼には狩り場を発ち城に向けて出発した。
エルンスト殿下は拘束された状態で野営道具を乗せた馬車の荷台に乗せられた。
抵抗もせず大人しく従ったエルンスト殿下だったが、ふと見せた表情が、俺達が良く知る以前のエルンスト殿下に戻っていた。
王太子殿下が起こした事件は公にはしないようで、今回の狩り場の下調べに同行した者達に箝口令が敷かれ、口外する事を禁じられた。
城に戻って休む間もなく、俺は国王陛下の私室に呼ばれた。
今回の事件の経緯を説明をしろとの事だろうが……
俺も何と説明したら良いか分からない。
国王陛下にしてみれば、おかしくなった殿下が暴走して凶行に及んだのか、殿下が俺を殺したくなるほど恨むような何かがあったのではないかと考えてらっしゃるのだろうが。
鉛の様に重い足取りで入った国王陛下の私室には、国王陛下だけでは無く、リヒャルト殿下とブリュンヒルデ王女殿下もいらっしゃった。
王女殿下が説明をするにあたり、俺が来る前に国王陛下に、俺の前世と自分の前世が兄妹だったと話したらしい。
簡単には信じられないだろうし、納得出来ないのであろう国王陛下が苦虫を噛み潰したような表情をなさっている。
そりゃ、王女が兄貴で俺が妹とか言われてもな。
ブリュンヒルデ王女殿下は我々の前に立ち、小さな背をピンと伸ばして話し始めた。
「まずはリヒャルト兄様、オジュワルトを守ってくれてありがとうございます。
今から、わたくしが記憶している事を話しますわ。
わたくしの前世、アシュリーの兄のレイノルドの記憶を。
と、言いましてもわたくしが自分をレイノルドだと思い出したのはつい、半年ほど前なのですけれど。」
俺が自分をアシュリーだと知ったよりも後のようだ。
可憐なブリュンヒルデ王女殿下の前世がヒゲもじゃんのオッサン。
末姫様、前世の自分を知ってショックじゃなかっただろうか。
それにしてもオッサン、レイノルドなんてツラじゃないなぁ…。
ゴロンゾとかバゥリーとか何かムサい感じの名前の方がなぁ。
そんな緊迫感の無いズレた考えが俺の頭をよぎる。
「ブリュンヒルデ、いやレイノルド殿にお聞きしたい。
貴方がたの国、生きた時代はいつなのですか?
城にある歴史書や世界史では、それらしい記述を見つけられなかったのですが。」
城の図書室にこもって延々とアシュリーの背景を調べてくれていたリヒャルト殿下が訊ねた。
緊迫感の欠けた俺とは違い、真実を知りたいと真剣だ。
「レイノルド達の生きた時代は今より約千年以上前。
建国以前のこの土地に生きた小さな部落の民ですの。
幼子は死にやすく、大人も病気や怪我が死に直結するような短命の時代。
そんな時代を生きた昔の者達が自分達や幼くして死に行く子達を慰めるために生んだ神様が転生神様でした。
生まれ変わった次の生では幸せになれるように導いて下さいとの祈りを捧げるために。」
「千年!?建国より、かなり古い時代だ……
それにしても末姫様は、俺より随分記憶が鮮明なんだな。」
「レイノルド殿。
貴方は妹君のアシュリー嬢が生まれ変わるのを千年も待って、同じ時代、同じ場所に生まれ変わったのですか?」
グイグイとブリュンヒルデ王女に詰め寄るリヒャルト殿下。
今まで知りたくても知る術の無かった真実を知る機会とあって、追及が止まらない。
絵面的には、幼い妹を責めている兄の様に見える。
だが、ブリュンヒルデ王女もヒゲ兄貴の記憶を持っているせいか、こう…どっしりと構えた大人の余裕感がある気がする。
「いえ。わたくしは記憶にあるだけでもレイノルドの後に3回以上の転生を繰り返しているわ。
記憶の無いものもあるでしょうし5回以上違う人生を歩んでいるわね。
恐らくアシュリーも、エルンスト兄様の前世…ジャイルも数回の転生を経ているのではないかと。
ジャイルは、転生しながらずっとアシュリーを追いかけていたのかも知れないけど会えてなかったみたいね。
千年以上を経て、初めて同じ場、同じ時代にわたくし達は偶然揃ったの。
それが、それぞれの記憶を呼び醒ますきっかけになったみたい。」
ゆっくりとブリュンヒルデ王女殿下が語り出した。
ブリュンヒルデ王女殿下にはヒゲ兄貴レイノルドの記憶があるが、他の人生を送った記憶も僅かにあるという。
ブリュンヒルデとして生きて来た記憶の中に、レイノルドや、別の人物が主人公となった人生録を読んだ感じで記憶があるらしい。
よって、読破した物語の主人公に人格を奪われるような事は無いとの事。
アシュリー達の居た部落で生まれた転生神の信仰は、若者たちによって在り方が変わってしまったらしい。
娯楽の少ない場所では、若者たちが持て余した熱を発散する為にか信仰が祭りの様に熱狂化し、祈りは呪いに近いものとなった。
「村の年寄りが作った神様に、元々願いを叶える程の力なんて無いわ。
転生神様を依り代として盲信した若者達が勝手に誇張して神格を上げていったの。
そして、より神性を演出する為に作り出した儀式が『次の世で結ばれたければアンタレスの夜に二人で命を断つ』だったの。
心中がドラマチックでかっこいいとでも思ったのかしらね。
儀式とは名ばかりで実行した者など居なかったのだけれど、アシュリーの死期が近付きジャイルは焦ったのね。
そんな確証も無い儀式を真実だと思い込み始め、実行に移した。」
千年以上前のアンタレスの夜に、アシュリーは村の若者ジャイルによって殺害された。
……病んでいたよなぁ。
アシュリー目線で見たジャイル、イッちゃっていたもんな。
そしてジャイルがアシュリーの後を追うより先に、偶然現場に駆け付けたレイノルドが激昂し、妹を殺害したジャイルを思わずその場で殺してしまったと。
「彼はアシュリーを本当に好きで、自分も愛されると信じていたわ。
執念にも似た一途な思いで。
ジャイルはアシュリーと結ばれる為に同じ時代に生を受けたいと、思い込みの強さで呪いにも近い願いを自分に課した。
同様に、レイノルドも自分が死ぬ時に誓いを立てたの。
ジャイルがアシュリーの前に現れ幸せを阻むならば、今度こそ守れるようにと。
そして、怒りに身を任せて殺したジャイルの魂を救えるようにと。」
「その機会が、千年経ってやっと巡って来たと?
なぜ末姫様…兄さん…いやアナタは、あんな酷たらしくアシュリーを殺した奴を救いたいなんて思ったんだ…ですか?」
妹が死んだ凄惨な現場に激昂してジャイルの命を奪った位なんだから、その時の激しい怒りは想像に難くない。
このヒゲ兄貴が見た目に反し優しい男だったとしても、
可愛い妹を殺した男を憐れむなど不思議でならない。
つか、話しにくぅ……!
「アンタレスの夜にアシュリーと共に死ななきゃならないなんて思い込みに千年もの間縛られてきたジャイル。
彼をもう呪縛から解き放ってあげたかった。
レイノルドにとってはジャイルも弟みたいなモンだったから。
遮られた呪いは効力を失うわ。
ジャイルの自我は力を使い果たし、少なくとも今世ではもう表に出て来ないでしょう。
エルンスト兄様の中に記憶としては残るかもだけど。
まぁ、思い出したくない黒歴史的な感じでね。」
黒歴史として記憶に残るのか。それは何かヤダな。
自分で自分が恥ずかしい…。
それにしても
目の前でレイノルドとしての記憶を語る、可憐な幼い姫君が醸し出す頼り甲斐のある兄貴感がハンパない。
アシュリーの兄であっただけではなく、ジャイルの兄貴分でもあったと言うのだから何だか包容力と貫禄もある。
見た目とのギャップが凄い…。
よく理解出来ないまま、黙って話を聞いていた国王陛下も目を丸くし、いつもはフワフワした幼い王女殿下の初めて見る一面に見入っている。
そんな国王陛下を俺とリヒャルト殿下はジッと見ていてしまったのだが。
「今までの話が事実だったとしても、未遂とはいえ凶行に及んだエルンストを王太子にはしておけん。
ジャイルとやらに操られていたエルンストに非は無いと言え、そんな理由を公表も出来ん。
エルンストからは、王位継承権を剥奪する。」
俺とリヒャルト殿下の視線に気付き、陛下が咳払いをして「今後」どうするかを話し始めた。
「エルンストには爵位を与え、城から離れた地方で領主として働いて貰うとして。
新しい王太子には、リヒャルトを推すつもりだ。」
そうか……
以前の殿下に戻った所で、もうエルンスト殿下を王太子ではいさせられないのか。
だからリヒャルト殿下が王太子となり、次期国王となるのは必至なんだ。
王太子妃殿下となる姫君も、近日中には候補があがるだろう。
俺はもうリヒャルト殿下とは…恋人ではいられないのか。
そう考えたら俺は、無意識に表情を凍り付かせて俯いてしまった。
こんな悲壮感漂う顔を上げていられない。
「あらお父様、それは困りますわ。
あと5年待って下さいまし。
次の国王には、わたくしがなりますから。」
ブリュンヒルデ王女殿下が、挙手して名乗りを上げた。
「はぁ?」と驚愕の顔を見せる国王陛下と俺。
リヒャルト殿下は微笑み、ただ静かに一回頷いた。
「まだ幼いお前が何を言う!
しかも男子でもないお前が……!
兄から王太子の座を奪うというのか!」
「五代前の我が国の国王は女王でしたわよね。
この国を興したのも建国の母と呼ばれた女王でしたわ。
女が国を治めてもおかしくありませんわ。
エルンスト兄様には、わたくしの補佐をして頂きます。
それにリヒャルト兄様は国王になりたいとは思ってませんわよ。」
「何だと!?勝手な事は許さん!
我が国は今、大変な次期なのだ!
財政難で国が立ち行かなくなりつつある!
国庫が赤字の我が国が弱まるのを見計らい、隣国が攻め入ろうとしている!
金策の支援を申し出てくれる国の姫君を娶り、国を立て直さないといかんのだ!」
「でしたら尚の事、国を立て直す為にもわたくしが女王となります。
支援を目的として姫君を迎えるなど、他国に借りを作る様な真似は許しません。
五代前に、わたくしが隠した財宝を出します。
ご先祖様の言う事は、お聞きなさい。」
茫然とする国王陛下と俺の前で、リヒャルト殿下が俺にそっと耳打ちした。
「ブリュンヒルデには、僕が王位継承権を捨てて地方の領地を治めたいと情報を集めていた事がバレてたんだ。
まさか、レイノルドだけではなく、前世で御先祖様もやっていたとは知らなかったけど。」
アシュリーとしての記憶すら、ほとんど無い俺とは違い
ブリュンヒルデ王女殿下には、レイノルドをはじめ、他の前世の記憶もあるらしい。
その中に、賢王と呼ばれた女王がいたとは。
「えっと…殿下は、国ではなく田舎の領地を治めたいんで…?」
末姫様が王族の御先祖様の生まれ変わりって話より、俺は殿下が地方の領主になりたいって話のが気になる。
そう言えば以前、末姫様が俺に地方の領地の話をしていたな。
急に言われたから、左遷されるのかと思っていたが。
あれは…。
「父上、隣国との国境となる砦を有する領主不在の広大な領地には、隣国の侵攻を阻む気概を持つ新しい領主が必要です。
わたくし、この地をリヒャルト兄様とオジュワルトに任せようと思いますの。
二人ならば国境に立派な防衛線を築いてくれますわ。」
ブリュンヒルデ王女殿下が、俺を見て微笑んだ。
夢の中でヒゲモジャの兄貴がアシュリーに言っていた、来世の希望。
『王様になりたい』
『家族の幸せを見届けてやりたい』
笑い話のように話していたが、アンタは本気だったんだな。
レイノルドとしてアシュリーを
ブリュンヒルデとしてリヒャルトを
家族の幸せを願い、行動に移すアンタは最高の兄貴だ!
ヒゲモジャん!!
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