王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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赤城 玲音 続篇

第5話

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その夜、黒羽は玲音に話をふった。
「玲音、今日どうしていつもと違ったのか聞いてもいい?」
◆「んー?」
玲音は惚けたように首を傾げた。
「何か気になってるのかなって...。違う?」
黒羽はじっと見つめた。
◆「...」
玲音は暫く考えたような仕草をみせたあと、ゆっくり話しはじめた。
◆「...黒羽も、思ったりするのかなって」
「?」
◆「黒羽も、海に戻りたいって思ったりするのか気になったんだよ」
玲音の率直な疑問に、黒羽はただただ驚いた。
◆「故郷に帰りたいって思わないわけないから...そしたら、黒羽がいなくなる気がしてさ。勝手に思ってるんだけどな」
玲音は寂しさを隠すような笑みを浮かべていた。
「玲音、私はたしかに海が好きだよ。でも...私は玲音が好きだから、帰りたいとは思わない。ずっと玲音の側で笑っていたい」
◆「でも、俺は...俺は、最近黒羽の側にいる時間が少ないだろ?だから、寂しい思いをさせてるんじゃない?」
「寂しくないって言ったら嘘になるけど、でも、玲音がなかなか帰ってこられないのはそれだけお仕事が忙しいってことでしょ?それなら、私は気にしないよ」
ふわり。
◆「...強いな、黒羽は」
玲音は消えそうな声で呟いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◇「...で、惨敗?」
美音がふう...とため息をついた。
数時間後、玲音は帰ってきた美音と話していた。
◆「上手くいかなかった...。黒羽は多分寝ちゃったし、これ以上何か言うのもと思ってさ」
◇「玲音は心配しすぎ。もっと黒羽を信じてもいいと思う」
美音がグラスを片手に、玲音の方を見る。
◆「どうしても重ねて見ちゃうんだよ。...母さんと」
◇「それは分からなくもない。でも、黒羽は黒羽だよ」
◆「でも、母さんも我慢してただろ?そんなことさせたくない...」
ゴト、と鈍い音がした。
二人がその方向を見ると、黒羽が落とした本を拾っていた。
「ごめんなさい、聞くつもりはなかったんだけど...」
◇「黒羽」
◆「寝たのかと思ってた」
「玲音がそんなふうに思ってくれていたなんて、全然知らなかった。私は無理なんてしてないよ。一人の時間があると、寂しいなとは思うけど、みんなが一生懸命お仕事しているのに、私だけ落ちこんではいられないから」
ふわり。
◆「黒羽...ありがとう」
「私はみんなみたいに色々なことはできないけど、それでも...みんなが優しくしてくれるから。ありがとう」
月が綺麗に輝くその夜、錬が帰ってくるまで三人で暫く談笑した。
♪「ただいま...ってみんなで仲良く話してたのか!僕も混ぜて!」
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