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白鳥 雪 続篇
第7話
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ーーーーーーーーーーーーーーー【回想】ーーーーーーーーーーーーーーー
雪はひっそりと中庭で昼食をとっていた。
▼「...」
○「なん、だよ」
上からの視線に気づいた雪は、屋上に目を向けた。
▼「こっちこいよ」
その様子を見ていた渚は雪を大声で呼んだ。
○「屋上は立ち入り禁止だろ」
▼「俺は許可をもらってるから」
雪には意味が分からなかったが、一人で食べるよりはと思い、弁当をまとめ密かにその場所へ向かった。
○「...」
▼「テスト、どうだった?」
○「まあまあ」
▼「物理は?」
○「嫌がらせか?」
渚はふっと笑みを溢した。
雪は物理が勉強のなかでは一番苦手だった。
▼「ノート貸してやる」
渚は国語のノートを差し出した。
○「いいのか?」
▼「国語なんか理解できないからな。勉強せずに受ける」
○「ありがとう」
▼「またな」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「そんなことが...」
▼「俺は理系だからな。雪は文系で、成績はいつも一位だった」
○「渚のノートのお陰ですけど...」
黒羽は二人の話をとても楽しく聞いていた。
雪が意外とおっちょこちょいだったこと。
渚はとても天然だったこと。
二人とも体育はずっと見学していたこと...。
話を聞けば聞くほど、二人の仲のよさがよく分かる。
(私の知らない雪の話がいっぱいあるんだな...)
「二人は喧嘩したことはなさそうだね」
▼「いや?一度あったな」
○「そうだな」
「え、仲良しな話ばかりなのに?」
○「私が秘書になりたいと話した時、渚に反対されたんです。『人前に出るのが苦手なおまえがやるのは難しいんじゃないか』と...」
▼「俺は遥について、あまり知らなかった。だから、そんな奴についていって大丈夫なのかと聞いた」
「そうだったんだ...」
▼「思い出したくないことだけどな」
○「今となっては、もう過ぎたことです」
二人とも笑って言っているのを見て、黒羽は羨ましそうにしていた。
「二人とも本当に仲良しでいいな...」
▼「お前にはそういう話はないのか?」
「あ、うん。特にはないかな」
人魚であったなど言えるはずもなく、黒羽は黙ってしまった。
○「渚、あまり彼女を困らせるな」
▼「...お熱いことだな」
渚は苦笑しながら二人を送りだした。
しばらく考えこんだあと、ある場所に連絡を取りはじめた。
▼「特に調子が悪いわけではなさそうだったが...取り敢えず様子は見ておく。お前の目的は知らないが、二人を傷つけるつもりなら容赦しない」
渚は乱暴に電話を切り、思いつめた様子で白玉を撫でた。
その日の月は、憎らしいほど美しく輝いていた。
雪はひっそりと中庭で昼食をとっていた。
▼「...」
○「なん、だよ」
上からの視線に気づいた雪は、屋上に目を向けた。
▼「こっちこいよ」
その様子を見ていた渚は雪を大声で呼んだ。
○「屋上は立ち入り禁止だろ」
▼「俺は許可をもらってるから」
雪には意味が分からなかったが、一人で食べるよりはと思い、弁当をまとめ密かにその場所へ向かった。
○「...」
▼「テスト、どうだった?」
○「まあまあ」
▼「物理は?」
○「嫌がらせか?」
渚はふっと笑みを溢した。
雪は物理が勉強のなかでは一番苦手だった。
▼「ノート貸してやる」
渚は国語のノートを差し出した。
○「いいのか?」
▼「国語なんか理解できないからな。勉強せずに受ける」
○「ありがとう」
▼「またな」
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「そんなことが...」
▼「俺は理系だからな。雪は文系で、成績はいつも一位だった」
○「渚のノートのお陰ですけど...」
黒羽は二人の話をとても楽しく聞いていた。
雪が意外とおっちょこちょいだったこと。
渚はとても天然だったこと。
二人とも体育はずっと見学していたこと...。
話を聞けば聞くほど、二人の仲のよさがよく分かる。
(私の知らない雪の話がいっぱいあるんだな...)
「二人は喧嘩したことはなさそうだね」
▼「いや?一度あったな」
○「そうだな」
「え、仲良しな話ばかりなのに?」
○「私が秘書になりたいと話した時、渚に反対されたんです。『人前に出るのが苦手なおまえがやるのは難しいんじゃないか』と...」
▼「俺は遥について、あまり知らなかった。だから、そんな奴についていって大丈夫なのかと聞いた」
「そうだったんだ...」
▼「思い出したくないことだけどな」
○「今となっては、もう過ぎたことです」
二人とも笑って言っているのを見て、黒羽は羨ましそうにしていた。
「二人とも本当に仲良しでいいな...」
▼「お前にはそういう話はないのか?」
「あ、うん。特にはないかな」
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しばらく考えこんだあと、ある場所に連絡を取りはじめた。
▼「特に調子が悪いわけではなさそうだったが...取り敢えず様子は見ておく。お前の目的は知らないが、二人を傷つけるつもりなら容赦しない」
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その日の月は、憎らしいほど美しく輝いていた。
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