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メリバ系
おむかえ
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息が詰まる。
そもそも、私は今息をしているのだろうか。
何も聞こえない。何も見えない。
聞きたくないし、見たくもない。
「こんばんは」
「……誰?」
「誰でもいいではありませんか」
どこからともなく現れた紳士は勢いよく私の手を引く。
「どこまでも落ちていきましょう」
「……どうして」
「どうして、と仰られましても……あなたが望んでいるから、としか申し上げられません」
紳士の微笑みは天使のように穏やかなものだった。
「この苦しみから解放される?」
「お約束いたします」
「それならやってみようかな」
紳士が手の甲で拍手を鳴らした瞬間、紐のようなものがぶら下げられている鳥居の前に立っていた。
ただのマンションの部屋なはずなのに、何故こんな光景が広がっているのだろう。
「こちらはいかがですか?」
「どういう意味?」
「景色の話です。とても綺麗でしょう?」
「素敵だと思う」
古い鳥居をくぐるとぽっかり穴があいていて、その中からにぎやかな声が聞こえた。
「ここはトンネルになっておりまして、くぐればにぎやかな場所に、」
「静かな場所がいい。あなたとふたりきりで過ごしたい」
にぎやかな場所は苦手だ。
私だけがそこに至れないことを、厭というほど知っているから。
紳士はにこやかに応対してくれた。
「かしこまりました。でしたら前にお進みください」
体が一瞬軽くなった後、ずっしり重みがかかった。
「……ありがとう」
「いえ。あなた様の願いを叶えただけですから」
微笑む紳士と共に前へ進んでいく。
──その頃、マンションの一室から遺体が見つかったとラジオが流れていた。
かなりの高さから落ちたような、けれどそれほどの段差などないその場所で。
そもそも、私は今息をしているのだろうか。
何も聞こえない。何も見えない。
聞きたくないし、見たくもない。
「こんばんは」
「……誰?」
「誰でもいいではありませんか」
どこからともなく現れた紳士は勢いよく私の手を引く。
「どこまでも落ちていきましょう」
「……どうして」
「どうして、と仰られましても……あなたが望んでいるから、としか申し上げられません」
紳士の微笑みは天使のように穏やかなものだった。
「この苦しみから解放される?」
「お約束いたします」
「それならやってみようかな」
紳士が手の甲で拍手を鳴らした瞬間、紐のようなものがぶら下げられている鳥居の前に立っていた。
ただのマンションの部屋なはずなのに、何故こんな光景が広がっているのだろう。
「こちらはいかがですか?」
「どういう意味?」
「景色の話です。とても綺麗でしょう?」
「素敵だと思う」
古い鳥居をくぐるとぽっかり穴があいていて、その中からにぎやかな声が聞こえた。
「ここはトンネルになっておりまして、くぐればにぎやかな場所に、」
「静かな場所がいい。あなたとふたりきりで過ごしたい」
にぎやかな場所は苦手だ。
私だけがそこに至れないことを、厭というほど知っているから。
紳士はにこやかに応対してくれた。
「かしこまりました。でしたら前にお進みください」
体が一瞬軽くなった後、ずっしり重みがかかった。
「……ありがとう」
「いえ。あなた様の願いを叶えただけですから」
微笑む紳士と共に前へ進んでいく。
──その頃、マンションの一室から遺体が見つかったとラジオが流れていた。
かなりの高さから落ちたような、けれどそれほどの段差などないその場所で。
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