裏世界の蕀姫

黒蝶

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春人ルート

第34話

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「…君は少し部屋にいて」
「わ、分かりました…」
もしかするとお仕事の話をするのかもしれない。
それなら、私がここにいては邪魔だろう。
ラビとチェリーを連れて部屋に戻ることにする。
少し寂しさを感じながら、ふたりがいるから大丈夫だと自分に言い聞かせた。
「ふたりとも、一緒にいて…」
少し埃をかぶっていたところをはらいながら、ゆっくり頭を撫でる。
なんだかいつもよりもふもふしているような気がして、強く抱きしめなおした。
「……もっと知りたいって思うのに、人との関係は難しいね」
そんな話をしながら目を閉じて顔を伏せる。
ベッドの上はふかふかなのに、気分は沈んだままだった。
「君を困らせたかった訳じゃなかったのに…」
「…?」
誰かの声がしてぼやぼやしながら体をおこすと、春人が頭を撫でてくれていた。
「ごめん。起こすつもりはなかったんだけど…」
「いいんです。雪乃は、大丈夫なんですか?」
「うん。警備の話を聞いて、そのまま店に戻るって言ってた。
何回ドアをたたいても返事がないから、もしかすると倒れているのかと思って様子を見に来ただけだったんだ。…本当にごめん」
「だ、大丈夫です。そろそろご飯を作らないといけませんし…」
「その前にちょっとだけ時間ちょうだい」
その言葉にただ頷く。
春人は私の手を掴んで、ゆっくり包帯をほどいていった。
「そろそろ換えておいた方がいいだろうと思ったんだ」
「ありがとう、ございます」
やっぱり彼はいい人で、いつも周りをよく見ている。
人の為に自分から動ける人というのはすごいことだと思う。
私にはできなかったことで、これから先やっていきたいことで…。
そのはずなのに、今の私はお礼を言うのでせいいっぱいだ。
もっとできることを増やしたいのに、何をすればいいのか分からない。
「…できた。もう動かして大丈夫だよ」
「ごめんなさ…ありがとうございます」
「その子たち、水で洗った方がよさそうだね」
春人が指さしたのはラビとチェリーだった。
「この子たちって洗えるんですか?」
「手洗いならふわふわな毛並みが痛んだりしないし、全身綺麗になるよ」
「知りませんでした…」
汚れてしまえばもう落とせないのだと思っていた。
お風呂のような感じで洗える、ということだろうか。
「ぬるま湯がいいかな…準備してくるから、君は好きに過ごしてて」
「分かりました」
夕飯の支度をしながら、浴室へ向かった春人のことが気になって仕方がない。
誰かの一挙一動が気になってしまうなんて、私は一体どうしてしまったのだろうか。
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