8 / 385
イベントもの
初めてのキャットナイト(ハロウィン)
しおりを挟む
その日、突然玄関の扉が開かれた。
訳が分からず思わず目を閉じそうになっていると、遠慮がちに肩をたたかれる。
恐る恐る目を開けてみると、そこには見知った顔があった。
「よう、お嬢ちゃん」
「アッキー…!」
いつの間にか私の後ろに立っていた夏彦が驚きの声をあげる。
「こんな早く来るなんて聞いてないよ。仕事はどうしたの?」
「なんでおまえはいつもそんなに…まあいい。今日は早く片づけてきたからな、お嬢ちゃんの手伝いをしようと思っただけだ」
「あ、ありがとうございます…」
秋久さんが相手だとやっぱり緊張してしまうけれど、夏彦の周りは優しい人ばかりで本当にいつも助けられてばかりだ。
つい最近になって、ハロウィンというものがあると知った。
全然どんなことをするのか分からないので、何か作れるものがあればと試しにやってみている。
「お嬢ちゃん、プリンは作れるか?」
「あ、はい…」
「それじゃあ頼む。夏彦は俺と力仕事だな」
「先にアッキーひとりでやっててもらっていい?俺、色々まだ終わってなくて…」
店員さんの分に、注文が入った分…それから、秋久さんたちの分も衣装を作ると言っていた。
夏彦はやっぱり忙しそうで、それなのにとても楽しそうで…本当にお仕事が大好きなんだと思う。
「かぼちゃを使ったプリン、できました」
「おう、ありがとな」
「こっちもできたよ!」
秋久さんと料理の話をしていると夏彦が駆け寄ってきて、1枚の袋を渡してくれた。
「月見ちゃんはそれ着てね」
「え…私の分もあるんですか?」
「当たり前でしょ?そういうのなら終わった後でも部屋着くらいにはできるから」
「ありがとうございます」
一旦その場を離れて袋を開けてみる。
中から出てきたのは、猫耳がついた黒いパーカーだった。
「で、できました…」
「うん、やっぱり可愛い」
「いいな、そういうの」
夏彦は狼さんの耳をつけていて、洋服には尻尾までついていた。
秋久さんの服はとてもシンプルなもので、赤い何かがマントとシャツについている。
「助かった。これならなんとかなりそうだ」
「それならいいけど、無理しない程度にね」
「怪我だらけのおまえこそ、ちゃんと休息をとれよ」
ひらひらと手をふって去っていく背中に心で感謝の気持ちを伝える。
「月見ちゃん、お菓子ある?」
「えっと、これなら作りました」
「かぼちゃプリンだ…!」
「夏彦、その…と、トリック・オア・トリート…?」
秋久さんに教えてもらった言葉を口にすると、にっこり笑ってチョコレートをくれた。
「ありがとうございます」
「ご飯、半分くらいは手伝えてよかった。ソルトが寝ている間に食べちゃおうか」
「は、はい…」
空が紺碧色に染まる頃、ふたり揃って食事を口にする。
こんなに楽しい行事があるんだと思うと、心が晴れていくような気がした。
訳が分からず思わず目を閉じそうになっていると、遠慮がちに肩をたたかれる。
恐る恐る目を開けてみると、そこには見知った顔があった。
「よう、お嬢ちゃん」
「アッキー…!」
いつの間にか私の後ろに立っていた夏彦が驚きの声をあげる。
「こんな早く来るなんて聞いてないよ。仕事はどうしたの?」
「なんでおまえはいつもそんなに…まあいい。今日は早く片づけてきたからな、お嬢ちゃんの手伝いをしようと思っただけだ」
「あ、ありがとうございます…」
秋久さんが相手だとやっぱり緊張してしまうけれど、夏彦の周りは優しい人ばかりで本当にいつも助けられてばかりだ。
つい最近になって、ハロウィンというものがあると知った。
全然どんなことをするのか分からないので、何か作れるものがあればと試しにやってみている。
「お嬢ちゃん、プリンは作れるか?」
「あ、はい…」
「それじゃあ頼む。夏彦は俺と力仕事だな」
「先にアッキーひとりでやっててもらっていい?俺、色々まだ終わってなくて…」
店員さんの分に、注文が入った分…それから、秋久さんたちの分も衣装を作ると言っていた。
夏彦はやっぱり忙しそうで、それなのにとても楽しそうで…本当にお仕事が大好きなんだと思う。
「かぼちゃを使ったプリン、できました」
「おう、ありがとな」
「こっちもできたよ!」
秋久さんと料理の話をしていると夏彦が駆け寄ってきて、1枚の袋を渡してくれた。
「月見ちゃんはそれ着てね」
「え…私の分もあるんですか?」
「当たり前でしょ?そういうのなら終わった後でも部屋着くらいにはできるから」
「ありがとうございます」
一旦その場を離れて袋を開けてみる。
中から出てきたのは、猫耳がついた黒いパーカーだった。
「で、できました…」
「うん、やっぱり可愛い」
「いいな、そういうの」
夏彦は狼さんの耳をつけていて、洋服には尻尾までついていた。
秋久さんの服はとてもシンプルなもので、赤い何かがマントとシャツについている。
「助かった。これならなんとかなりそうだ」
「それならいいけど、無理しない程度にね」
「怪我だらけのおまえこそ、ちゃんと休息をとれよ」
ひらひらと手をふって去っていく背中に心で感謝の気持ちを伝える。
「月見ちゃん、お菓子ある?」
「えっと、これなら作りました」
「かぼちゃプリンだ…!」
「夏彦、その…と、トリック・オア・トリート…?」
秋久さんに教えてもらった言葉を口にすると、にっこり笑ってチョコレートをくれた。
「ありがとうございます」
「ご飯、半分くらいは手伝えてよかった。ソルトが寝ている間に食べちゃおうか」
「は、はい…」
空が紺碧色に染まる頃、ふたり揃って食事を口にする。
こんなに楽しい行事があるんだと思うと、心が晴れていくような気がした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる