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夏彦ルート
第52話
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「月見ちゃん、どうし…」
夏彦が驚いた表情でこちらを見つめている。
「お願い、今は…」
こんな私を見ないでほしい。
蕀さんたちが止まる様子はなく、そのまま一気に部屋を覆ってしまいそうになる。
折角ベランダに出たのに、このままでは意味がない。
止めたいと慌てれば慌てるほどどんどん勢いを増してしまう。
「──月見ちゃん」
「夏彦…?」
目を閉じているから声で判断するしかないけれど、蕀さんたちから伝わってくるのは不安だった。
「大丈夫だから、ゆっくり目を開けて」
「でも、私は、」
「俺がついてるからさ、きっと大丈夫だよ」
恐る恐る目を開けると、大量の蔦に囲まれていた。
夏彦を傷つけていないか心配になったけれど、怪我をさせてしまったわけではないみたいだ。
「手、痛そうだね。手当てするからこっちおいで」
「えっと、その…」
「気にしないで!そういうのってコントロールできなくなることがあるって、アニメや漫画ではよくあるでしょ?
だから、月見ちゃんみたいに出すつもりがないのに沢山力が出る人がいても全然不思議じゃないと思うんだ」
夏彦の言葉に多分嘘はない。
ただ、少し慌てているだけ。それから、哀しみのようなものが蕀さんたちから伝わってくる。
「はい、これで手当てはおしまい!」
「ありがとうございます」
きゅっと手を握られて驚いていると、夏彦は目を伏せながら呟いた。
「こんななか、ずっと独りで頑張ってきたんだね」
そんな言葉なんて、今までかけられたことがなかった。
あの人たちの前ではひたすら感情を殺して、真っ暗なあの部屋でだけ蕀さんたちを出すようにしていたから。
最近はあそこまで感情を抑えていなかったから、暴走してしまったのかもしれない。
あんまり表情に出さないようにしないと…なんて考えていると、ぽんと頭に手をおかれる。
「俺は、月見ちゃんの気持ちを知れるのがすごく嬉しいよ。はじめの頃は表情が死んでることもあったけど、今は思ってることとかちゃんと口に出してくれるから嬉しいんだ」
「やっぱり夏彦は、優しいんですね。でも…」
続きを話そうとすると、にゃあと不満げな声が聞こえる。
「ソルト…ごめんなさい、怪我しなかった?」
そう声をかけると、元気よくひと鳴きして夏彦の腕に飛び乗る。
「ちょ、ソルト、肩の上は流石に重いから降りてもらえると助かるんだけど…ソルトさん?」
この場所が気に入ったと言わんばかりに、ソルトは夏彦にくっついている。
なんとか蔦を集め終わったところで、そんな光景を遠目に見ていた。
……さっき感じた憎悪や殺意は誰に向けられたものなのか訊けないまま。
夏彦が驚いた表情でこちらを見つめている。
「お願い、今は…」
こんな私を見ないでほしい。
蕀さんたちが止まる様子はなく、そのまま一気に部屋を覆ってしまいそうになる。
折角ベランダに出たのに、このままでは意味がない。
止めたいと慌てれば慌てるほどどんどん勢いを増してしまう。
「──月見ちゃん」
「夏彦…?」
目を閉じているから声で判断するしかないけれど、蕀さんたちから伝わってくるのは不安だった。
「大丈夫だから、ゆっくり目を開けて」
「でも、私は、」
「俺がついてるからさ、きっと大丈夫だよ」
恐る恐る目を開けると、大量の蔦に囲まれていた。
夏彦を傷つけていないか心配になったけれど、怪我をさせてしまったわけではないみたいだ。
「手、痛そうだね。手当てするからこっちおいで」
「えっと、その…」
「気にしないで!そういうのってコントロールできなくなることがあるって、アニメや漫画ではよくあるでしょ?
だから、月見ちゃんみたいに出すつもりがないのに沢山力が出る人がいても全然不思議じゃないと思うんだ」
夏彦の言葉に多分嘘はない。
ただ、少し慌てているだけ。それから、哀しみのようなものが蕀さんたちから伝わってくる。
「はい、これで手当てはおしまい!」
「ありがとうございます」
きゅっと手を握られて驚いていると、夏彦は目を伏せながら呟いた。
「こんななか、ずっと独りで頑張ってきたんだね」
そんな言葉なんて、今までかけられたことがなかった。
あの人たちの前ではひたすら感情を殺して、真っ暗なあの部屋でだけ蕀さんたちを出すようにしていたから。
最近はあそこまで感情を抑えていなかったから、暴走してしまったのかもしれない。
あんまり表情に出さないようにしないと…なんて考えていると、ぽんと頭に手をおかれる。
「俺は、月見ちゃんの気持ちを知れるのがすごく嬉しいよ。はじめの頃は表情が死んでることもあったけど、今は思ってることとかちゃんと口に出してくれるから嬉しいんだ」
「やっぱり夏彦は、優しいんですね。でも…」
続きを話そうとすると、にゃあと不満げな声が聞こえる。
「ソルト…ごめんなさい、怪我しなかった?」
そう声をかけると、元気よくひと鳴きして夏彦の腕に飛び乗る。
「ちょ、ソルト、肩の上は流石に重いから降りてもらえると助かるんだけど…ソルトさん?」
この場所が気に入ったと言わんばかりに、ソルトは夏彦にくっついている。
なんとか蔦を集め終わったところで、そんな光景を遠目に見ていた。
……さっき感じた憎悪や殺意は誰に向けられたものなのか訊けないまま。
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