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夏彦ルート
第66話
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「月見ちゃん」
「ど、どうかしましたか?」
「もしよかったらなんだけど、ちょっとつきあってほしい場所があるんだ。…夜の方がいいかな」
「分かりました」
夏彦の目が寂しいと言っているような気がして、それ以上深く訊くことはできなかった。
ただ、どこか思い入れがある場所なんだろう。
それから夜になるまではあっという間で、彼に手をひかれながら向かった先にあったのは花畑だった。
「あの花は夜にしか咲かないんだ」
「すごく綺麗です」
「喜んでもらえてよかった…。ここは俺にとっても大切な場所なんだ」
夏彦はどこかに想いを馳せるように目を細める。
「…お兄さんとの、思い出の場所ですか?」
「そんなところかな。…ここ、兄のお墓候補だったんだ」
「え…?」
「絶対にあの家の墓に入れたくなくて、俺が持っているお金で小さなものを建てたんだ。
思い入れがある場所にした方がいいかもしれないと思ったんだけど、独りは寂しいだろうなって…。今の場所に建てられて本当によかった」
たしかにこの場所は綺麗ではあるけれど、花たちだけでは寂しいかもしれない。
「夏彦は努力家なんですね」
「そんなことないよ。俺はいつも、目の前しか見えてないから…」
「一生懸命できるって、簡単なことじゃないと思います。少なくても、誰かに思い出してもらえるのは嬉しいんじゃないかなって思うんです」
「…やっぱり月見ちゃんは優しい人だね」
「この場所には、どんな思い出があるんですか?」
彼は空をぼんやりと見上げながら、ゆっくりと話しはじめる。
「兄とよくふたりで来てたんだ。ふたりだけの秘密の場所だってここでよく待ち合わせてた。
ここに咲く花を毎回ふたりで見て楽しんだんだけど、早朝までここにいてしぼむ瞬間を見たいって話したこともあったな…」
お兄さんのことを話す夏彦はやっぱり楽しそうで、どれだけ大切に想っていたのか見ているだけで分かる。
「…もうひとつだけ質問してもいいですか?」
「俺に答えられるものなら」
「夏彦はあの人たちを捕まえたら、どうするんですか?」
彼から感じる憎しみは、恐らく彼自身と相手に向けられている。
捕まえるだけで気がすまなくて、憎しみが爆発してしまったら…ついそんなことを考えてしまう。
「どうして殺したのか、改めて訊くつもり。その答えがないと、捕まえてもらうことさえ難しいだろうから。
本当は憎いしそれだけじゃ気がすまないって思うこともある。でも、俺はあいつらとは違う。…それを証明したいのかもしれない」
その言葉はどんなものよりも重く、まるで自分に言い聞かせているようだった。
…そんな彼に私ができることなんて、こんなことくらいしか思いつかない。
「それならひとつ、約束してください」
「ど、どうかしましたか?」
「もしよかったらなんだけど、ちょっとつきあってほしい場所があるんだ。…夜の方がいいかな」
「分かりました」
夏彦の目が寂しいと言っているような気がして、それ以上深く訊くことはできなかった。
ただ、どこか思い入れがある場所なんだろう。
それから夜になるまではあっという間で、彼に手をひかれながら向かった先にあったのは花畑だった。
「あの花は夜にしか咲かないんだ」
「すごく綺麗です」
「喜んでもらえてよかった…。ここは俺にとっても大切な場所なんだ」
夏彦はどこかに想いを馳せるように目を細める。
「…お兄さんとの、思い出の場所ですか?」
「そんなところかな。…ここ、兄のお墓候補だったんだ」
「え…?」
「絶対にあの家の墓に入れたくなくて、俺が持っているお金で小さなものを建てたんだ。
思い入れがある場所にした方がいいかもしれないと思ったんだけど、独りは寂しいだろうなって…。今の場所に建てられて本当によかった」
たしかにこの場所は綺麗ではあるけれど、花たちだけでは寂しいかもしれない。
「夏彦は努力家なんですね」
「そんなことないよ。俺はいつも、目の前しか見えてないから…」
「一生懸命できるって、簡単なことじゃないと思います。少なくても、誰かに思い出してもらえるのは嬉しいんじゃないかなって思うんです」
「…やっぱり月見ちゃんは優しい人だね」
「この場所には、どんな思い出があるんですか?」
彼は空をぼんやりと見上げながら、ゆっくりと話しはじめる。
「兄とよくふたりで来てたんだ。ふたりだけの秘密の場所だってここでよく待ち合わせてた。
ここに咲く花を毎回ふたりで見て楽しんだんだけど、早朝までここにいてしぼむ瞬間を見たいって話したこともあったな…」
お兄さんのことを話す夏彦はやっぱり楽しそうで、どれだけ大切に想っていたのか見ているだけで分かる。
「…もうひとつだけ質問してもいいですか?」
「俺に答えられるものなら」
「夏彦はあの人たちを捕まえたら、どうするんですか?」
彼から感じる憎しみは、恐らく彼自身と相手に向けられている。
捕まえるだけで気がすまなくて、憎しみが爆発してしまったら…ついそんなことを考えてしまう。
「どうして殺したのか、改めて訊くつもり。その答えがないと、捕まえてもらうことさえ難しいだろうから。
本当は憎いしそれだけじゃ気がすまないって思うこともある。でも、俺はあいつらとは違う。…それを証明したいのかもしれない」
その言葉はどんなものよりも重く、まるで自分に言い聞かせているようだった。
…そんな彼に私ができることなんて、こんなことくらいしか思いつかない。
「それならひとつ、約束してください」
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