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夏彦ルート
第87話
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「ソルト、ご飯を作るので少しだけ待ってくださいね」
気がつくと朝になっていて、あんまり寝ていない。
それでも眠気は特に感じないので、取り敢えずソルトにあげるものを用意する。
こういったことをするのはなんだか久しぶりで、いつもの皿に入れた。
「最近もこれで食べていたのかな…」
いつも他の人に任せっきりになっていたので、詳しいことはよく知らない。
ただ、ソルトの毛なみはかなり整えられていて、他の人たちが可愛がってくれたことは想像できた。
「──で、…なんだ」
「それじゃあ、……だっていうの?」
部屋の扉がきちんと閉まっていなかったのか、夏彦の部屋から声が漏れている。
杖の音をできるだけ鳴らさないようにしながら扉に近づくと、中にいる人たちはみんな深刻そうな顔をしていた。
「つまり、阻止できなかった場合…周りにどれだけ被害が出るか分からないってこと」
「そんなにまずい奴が牢屋にいれたなかに交ざっていたとはな。…本気で急がないと危険だ」
窓辺にあるはずの蕀さんに集中して、他の人たちの感情を探ってみる。
焦り、不安、心配…そして、強い怒り。
1番最後に感じたのは、きっと夏彦のものだろう。
他の人たちも考えすぎて煮詰まっているような気がする。
「あ、あの…少し、休憩されてはいかがですか?」
何も知らないふりをして焼きあがったばかりのクッキーを持っていくと、冬真さんが顔をしかめる。
もしかすると、余計なことをしてしまったのかもしれない…そう不安に思っていると、夏彦が声をかけてくれた。
「ありがとう!難しい話をしてたから、これでちょっとは息抜きできそうだよ」
「それなら、えっと、」
「まー君は月見ちゃんが無理したんじゃないか心配なんだよ」
「あんたは本当に…」
冬真さんの方を見ると、大きなため息を吐いた。
「ご、ごめんなさい。キッチンのものを勝手に使って…」
「…別に。まだ杖で安定してないんだし、そもそも無理したばっかりなんだからベッドにいればいいのにって思っただけ」
本当に心配してくれていただけらしいと気づいたとき、とても安心した。
グローブをしたままの手が気になるのか、手元をじっと見つめられる。
「あの…」
「傷を見られたくないのは分からなくもないけど、ひとりのときは外しておいた方がいい。傷の治りが遅くなるから」
「わ、分かりました」
そんなやりとりを見ていて面白かったのか、秋久さんが吹き出した。
それにつられて春人さんや夏彦も笑い出す。
「悪い。やりとりがあまりにちぐはぐで、つい」
「僕も同じことを考えていました」
「ふたりとも、もう少しがちがちにならずに話せるといいね」
「春人さんはともかく、秋久さんに笑われるとは…」
「ちょ、俺は?」
「あんたは笑うと思ってた」
場の雰囲気が少しだけいい方向に変わったのを確認して、一旦部屋を出る。
ソルトの相手をしながら、和やかなムードを離れた場所でも感じた。
気がつくと朝になっていて、あんまり寝ていない。
それでも眠気は特に感じないので、取り敢えずソルトにあげるものを用意する。
こういったことをするのはなんだか久しぶりで、いつもの皿に入れた。
「最近もこれで食べていたのかな…」
いつも他の人に任せっきりになっていたので、詳しいことはよく知らない。
ただ、ソルトの毛なみはかなり整えられていて、他の人たちが可愛がってくれたことは想像できた。
「──で、…なんだ」
「それじゃあ、……だっていうの?」
部屋の扉がきちんと閉まっていなかったのか、夏彦の部屋から声が漏れている。
杖の音をできるだけ鳴らさないようにしながら扉に近づくと、中にいる人たちはみんな深刻そうな顔をしていた。
「つまり、阻止できなかった場合…周りにどれだけ被害が出るか分からないってこと」
「そんなにまずい奴が牢屋にいれたなかに交ざっていたとはな。…本気で急がないと危険だ」
窓辺にあるはずの蕀さんに集中して、他の人たちの感情を探ってみる。
焦り、不安、心配…そして、強い怒り。
1番最後に感じたのは、きっと夏彦のものだろう。
他の人たちも考えすぎて煮詰まっているような気がする。
「あ、あの…少し、休憩されてはいかがですか?」
何も知らないふりをして焼きあがったばかりのクッキーを持っていくと、冬真さんが顔をしかめる。
もしかすると、余計なことをしてしまったのかもしれない…そう不安に思っていると、夏彦が声をかけてくれた。
「ありがとう!難しい話をしてたから、これでちょっとは息抜きできそうだよ」
「それなら、えっと、」
「まー君は月見ちゃんが無理したんじゃないか心配なんだよ」
「あんたは本当に…」
冬真さんの方を見ると、大きなため息を吐いた。
「ご、ごめんなさい。キッチンのものを勝手に使って…」
「…別に。まだ杖で安定してないんだし、そもそも無理したばっかりなんだからベッドにいればいいのにって思っただけ」
本当に心配してくれていただけらしいと気づいたとき、とても安心した。
グローブをしたままの手が気になるのか、手元をじっと見つめられる。
「あの…」
「傷を見られたくないのは分からなくもないけど、ひとりのときは外しておいた方がいい。傷の治りが遅くなるから」
「わ、分かりました」
そんなやりとりを見ていて面白かったのか、秋久さんが吹き出した。
それにつられて春人さんや夏彦も笑い出す。
「悪い。やりとりがあまりにちぐはぐで、つい」
「僕も同じことを考えていました」
「ふたりとも、もう少しがちがちにならずに話せるといいね」
「春人さんはともかく、秋久さんに笑われるとは…」
「ちょ、俺は?」
「あんたは笑うと思ってた」
場の雰囲気が少しだけいい方向に変わったのを確認して、一旦部屋を出る。
ソルトの相手をしながら、和やかなムードを離れた場所でも感じた。
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