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秋久ルート
第31話
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「もう1ヶ所寄ってもいいか?」
「は、はい。お供します」
「ああ。頼んだ」
秋久さんが楽しそうに笑っていることに安心しながら、少し後ろからついて行こうとする。
すると、何かを察知されたのか彼はとても自然に手を繋いでくれた。
「はぐれると危険だからな。嫌じゃなければこうさせてくれ」
「嫌じゃないです。ありがとうございます」
そのまま歩いていくと、気づいたときには秋久さんのお仕事場所まで来ていた。
「あ、先輩!全然顔を出さないからどうしたのかと思ったら、デートしてたんですね!」
「…花菜、次おかしな発言をしたらもう報告書の誤字脱字を直すのやめるからな」
「すみませんでした!先輩が女性と一緒にいるところなんて見たことがなかったので、つい」
「つい、じゃないだろ。まったく…。渋柿コンビはどうした?」
「ああ、あのふたりならもうすぐ帰ってくると思います」
…なんだか邪魔になっているような気がして、つい後ろに後退ってしまった。
「お嬢ちゃん。気にすることはないから堂々としててくれ。あいつら、まともに食べてないんじゃないかと思ったが…食事に行ったんだろ?」
「流石ですね、先輩」
「まあ、部下のことくらいは把握しておかないとな」
秋久さんは少し照れているみたいで、その反応はとても珍しいもののように感じる。
わざわざ体調を確認する為に様子を見に行くなんて、本当に優しい人だと思う。
「おまえもちゃんと食べるように」
「分かりました。先輩も休暇を楽しんでくださいね」
「ああ」
「えっと…」
「月見、また今度お話しようね!」
「は、はい」
まさかそんなふうに声をかけてもらえるなんて思っていなかったから、やっぱり嬉しい。
帰り道でも秋久さんは手を離さないでいてくれた。
「秋久さんは、とても優しいんですね」
「普通だと思うけどな。俺個人としては、特別なことをしてるつもりはない」
「…私から見れば、やっぱり優しいです」
秋久さんにとって普通のことでも、私にとってはすごくありがたいことだ。
嬉しいことも楽しいことも沢山あって、それは彼のおかげで経験できた。
いつも周りを気にかけて、多分私が知らないところでも頑張っていて…それが心配になる。
「秋久さん、無理をしていませんか?」
「俺はそんなつもりはないが、そういうふうに見えるか?」
「…はい」
「お嬢ちゃんが心配する必要はない。けど、ありがとう。その気持ちは受け取っておく」
頭を撫でられて、それ以上何も言えなくなる。
彼は一体何を隠しているんだろう。
やっぱり疲れているんじゃないだろうか…そんなことを考えながら、甘栗のことを思い浮かべた。
「は、はい。お供します」
「ああ。頼んだ」
秋久さんが楽しそうに笑っていることに安心しながら、少し後ろからついて行こうとする。
すると、何かを察知されたのか彼はとても自然に手を繋いでくれた。
「はぐれると危険だからな。嫌じゃなければこうさせてくれ」
「嫌じゃないです。ありがとうございます」
そのまま歩いていくと、気づいたときには秋久さんのお仕事場所まで来ていた。
「あ、先輩!全然顔を出さないからどうしたのかと思ったら、デートしてたんですね!」
「…花菜、次おかしな発言をしたらもう報告書の誤字脱字を直すのやめるからな」
「すみませんでした!先輩が女性と一緒にいるところなんて見たことがなかったので、つい」
「つい、じゃないだろ。まったく…。渋柿コンビはどうした?」
「ああ、あのふたりならもうすぐ帰ってくると思います」
…なんだか邪魔になっているような気がして、つい後ろに後退ってしまった。
「お嬢ちゃん。気にすることはないから堂々としててくれ。あいつら、まともに食べてないんじゃないかと思ったが…食事に行ったんだろ?」
「流石ですね、先輩」
「まあ、部下のことくらいは把握しておかないとな」
秋久さんは少し照れているみたいで、その反応はとても珍しいもののように感じる。
わざわざ体調を確認する為に様子を見に行くなんて、本当に優しい人だと思う。
「おまえもちゃんと食べるように」
「分かりました。先輩も休暇を楽しんでくださいね」
「ああ」
「えっと…」
「月見、また今度お話しようね!」
「は、はい」
まさかそんなふうに声をかけてもらえるなんて思っていなかったから、やっぱり嬉しい。
帰り道でも秋久さんは手を離さないでいてくれた。
「秋久さんは、とても優しいんですね」
「普通だと思うけどな。俺個人としては、特別なことをしてるつもりはない」
「…私から見れば、やっぱり優しいです」
秋久さんにとって普通のことでも、私にとってはすごくありがたいことだ。
嬉しいことも楽しいことも沢山あって、それは彼のおかげで経験できた。
いつも周りを気にかけて、多分私が知らないところでも頑張っていて…それが心配になる。
「秋久さん、無理をしていませんか?」
「俺はそんなつもりはないが、そういうふうに見えるか?」
「…はい」
「お嬢ちゃんが心配する必要はない。けど、ありがとう。その気持ちは受け取っておく」
頭を撫でられて、それ以上何も言えなくなる。
彼は一体何を隠しているんだろう。
やっぱり疲れているんじゃないだろうか…そんなことを考えながら、甘栗のことを思い浮かべた。
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