275 / 385
秋久ルート
第38話
しおりを挟む
「お嬢ちゃん、そっちの砂糖をとってもらえないか?」
「は、はい。これでしょうか?」
「ありがとな」
「い、いえ…」
秋久さんは相変わらず優しくしてくれる。
冬真さんがお休みで一緒にいるときは3人で料理をすることも多い。
「お嬢ちゃん」
「どうかしましたか?」
「ここ、ついてる」
「あ…ありがとうございます」
袖についていた生地をとってくれて、それがただありがたい。
「本当に仲がいいんだね」
「まあ、仲が悪いわけじゃないと俺は思ってる。お嬢ちゃんが嫌じゃなければの話だがな」
「嫌じゃ、ないです。誰かとお料理したことなんてなかったので、楽しくて…」
「そうか」
秋久さんも冬真さんも笑ってくれている。
そのことが何より嬉しい。
「甘栗、おまえ何してる?」
可愛らしい鳴き声をあげながらこちらを見つめるつぶらな瞳にやられてしまいそうになりながら、なんとか作業工程を終わらせた。
「…よし、完成だ」
「もう少し材料を買っておけばよかった」
3人で作ると早くできあがってしまう。
ずっとこんな時間が続いたほしいと思うくらい寂しい。
「お、パンケーキ?美味しそうだね」
「お邪魔します」
声がした方を見ると、春人さんと夏彦さんが微笑んでいた。
「調べもの、終わったのか?」
「一応ね。これで足りるか分からないけど、なんとかできると思う」
「僕も、頼まれていたものを作り終えました。それから、ついでに家の様子も見てきましたよ」
「直接確認するのは賭けになるだろうから、行ってもらえて助かった」
私が聞いたらいけない話があるのかもしれない。
一礼して部屋に戻ると、甘栗もとてとてと歩いてついてきた。
「ここで待っていましょうか」
なんだかご機嫌な様子で膝の上に座る甘栗をできるだけ優しく撫でる。
近くにあったブラシを使うと、気持ちよさそうに目を閉じていた。
……それからどのくらい時間が経っただろうか。
扉がノックされて恐る恐る開けてみる。
「月見、久しぶり!」
「花菜…?こんにちは」
いつの間にやってきたんだろう。
そんなことを考えていると、甘栗が警戒心むき出しの体勢で花菜を見ている。
「甘栗、大丈夫ですよ」
「そこまで拒絶しなくてもいいのに…。毒を盛られたって聞いてたけど、思ったより元気そうでよかった。
体調はもういいの?」
「はい。もう動けます」
「答えになってるような、なってないような…まあ、とにかく元気ならそれでいいんだ」
花菜は安心した様子で私に尋ねてきた。
「もし月見がよかったらなんだけど、直してほしいものがあるんだ」
「そんなこと、私にできるでしょうか」
「先輩の大事なもの、直したって聞いたよ。友だちのものなんだけど、ここのボタンをどうしてもつけられなくて…駄目?」
裁縫ならなんとかできるかもしれない。
大切なものが直らなくて困っているなら、できるところまでやってみよう。
「で、出来る限り頑張ります」
「は、はい。これでしょうか?」
「ありがとな」
「い、いえ…」
秋久さんは相変わらず優しくしてくれる。
冬真さんがお休みで一緒にいるときは3人で料理をすることも多い。
「お嬢ちゃん」
「どうかしましたか?」
「ここ、ついてる」
「あ…ありがとうございます」
袖についていた生地をとってくれて、それがただありがたい。
「本当に仲がいいんだね」
「まあ、仲が悪いわけじゃないと俺は思ってる。お嬢ちゃんが嫌じゃなければの話だがな」
「嫌じゃ、ないです。誰かとお料理したことなんてなかったので、楽しくて…」
「そうか」
秋久さんも冬真さんも笑ってくれている。
そのことが何より嬉しい。
「甘栗、おまえ何してる?」
可愛らしい鳴き声をあげながらこちらを見つめるつぶらな瞳にやられてしまいそうになりながら、なんとか作業工程を終わらせた。
「…よし、完成だ」
「もう少し材料を買っておけばよかった」
3人で作ると早くできあがってしまう。
ずっとこんな時間が続いたほしいと思うくらい寂しい。
「お、パンケーキ?美味しそうだね」
「お邪魔します」
声がした方を見ると、春人さんと夏彦さんが微笑んでいた。
「調べもの、終わったのか?」
「一応ね。これで足りるか分からないけど、なんとかできると思う」
「僕も、頼まれていたものを作り終えました。それから、ついでに家の様子も見てきましたよ」
「直接確認するのは賭けになるだろうから、行ってもらえて助かった」
私が聞いたらいけない話があるのかもしれない。
一礼して部屋に戻ると、甘栗もとてとてと歩いてついてきた。
「ここで待っていましょうか」
なんだかご機嫌な様子で膝の上に座る甘栗をできるだけ優しく撫でる。
近くにあったブラシを使うと、気持ちよさそうに目を閉じていた。
……それからどのくらい時間が経っただろうか。
扉がノックされて恐る恐る開けてみる。
「月見、久しぶり!」
「花菜…?こんにちは」
いつの間にやってきたんだろう。
そんなことを考えていると、甘栗が警戒心むき出しの体勢で花菜を見ている。
「甘栗、大丈夫ですよ」
「そこまで拒絶しなくてもいいのに…。毒を盛られたって聞いてたけど、思ったより元気そうでよかった。
体調はもういいの?」
「はい。もう動けます」
「答えになってるような、なってないような…まあ、とにかく元気ならそれでいいんだ」
花菜は安心した様子で私に尋ねてきた。
「もし月見がよかったらなんだけど、直してほしいものがあるんだ」
「そんなこと、私にできるでしょうか」
「先輩の大事なもの、直したって聞いたよ。友だちのものなんだけど、ここのボタンをどうしてもつけられなくて…駄目?」
裁縫ならなんとかできるかもしれない。
大切なものが直らなくて困っているなら、できるところまでやってみよう。
「で、出来る限り頑張ります」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる