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冬真ルート
第53話
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「もう少しじっとしててね」
「言われなくてもしてる」
「お姫様を見習って、もうちょっと素直になればいいのに」
「一応これでもそうしてるつもりなんだけど…」
痛いところを押さえていたらしく、冬真の手を冬香さんが優しくよける。
それから消毒液をたっぷり塗りはじめた。
「うう!」
「本当にごめん。僕が受けるはずだったのに…」
「…次言ったら怒る」
あんなに痛そうにしていたのに、冬真はそんな一言を冬香さんにぶつける。
やっぱりふたりはすごく仲がいい。
「はい、終わり。結構時間かかっちゃった」
「今回は礼を言っておく」
「素直じゃないなあ…。ほら、傷が酷くならないうちに帰った方がいいよ」
そう話した冬香さんに向き直り、冬真が小さく呟いた。
「…あんたも怪我してるでしょ。今度は僕の番」
「この程度ならすぐ治るよ」
「いいから黙って。…ごめん、その箱から白い布が入ってる小さい箱を出してくれる?」
「は、はい」
冬真に言われたとおりに動きながら、じっとふたりの様子を見守る。
「動かれたら消毒できないから、そのまま大人しくしてて」
「分かったよ…」
よく見ると冬香さんの洋服には血が滲んでいて、お腹を怪我しているのは分かった。
ただ、どうしてか冬真は私の方を見て困っているように見える。
「あの…私なら大丈夫です」
「結構酷いから、冬真は蕀姫に見せたくないんだよ。本当にグロテスクなんだ」
「本当に平気です。だから、私にもお手伝いさせてください」
「……ガーゼを、こっちの鋏で半分に切り分けて」
「分かりました」
冬真は少し戸惑った様子で私にお仕事をくれた。
もし失敗したら大変なことになる…そう思うと、いつもより緊張してしまう。
「できました」
「ありがとう。本当に平気なんだね…」
たしかに血だらけで、見ているだけでも苦しい。
それでも、1番辛いのは冬真と冬香さんだ。
私がへなへなになって迷惑をかけるわけにはいかない。
「座って」
「え?」
「君の手も包帯を巻き直した方がいい」
そういえば、さっき蕀さんに力を借りたことをすっかり忘れていた。
ぽたぽたと血が流れ落ちるのを見ると不安になる。
「あの、冬香さんの、」
「ガーゼに血はついてなかったし、ちゃんと綺麗に切れてたから大丈夫だよ」
「それならよかったです」
滲みるからと言いながら、冬真は私の手を少しずつ消毒していく。
やっぱりずきずきするけれど、彼に優しく手を支えてもらえたおかげでなんとか耐えられた。
「…どう?痛む?」
「さっきよりよくなりました。ありがとうございます」
「それならよかった」
冬真は漆黒の髪をくしゅりと触りながら、私に優しい眼差しを向けてくれる。
そんな私たちの様子を見て、冬香さんは楽しそうに笑った。
「言われなくてもしてる」
「お姫様を見習って、もうちょっと素直になればいいのに」
「一応これでもそうしてるつもりなんだけど…」
痛いところを押さえていたらしく、冬真の手を冬香さんが優しくよける。
それから消毒液をたっぷり塗りはじめた。
「うう!」
「本当にごめん。僕が受けるはずだったのに…」
「…次言ったら怒る」
あんなに痛そうにしていたのに、冬真はそんな一言を冬香さんにぶつける。
やっぱりふたりはすごく仲がいい。
「はい、終わり。結構時間かかっちゃった」
「今回は礼を言っておく」
「素直じゃないなあ…。ほら、傷が酷くならないうちに帰った方がいいよ」
そう話した冬香さんに向き直り、冬真が小さく呟いた。
「…あんたも怪我してるでしょ。今度は僕の番」
「この程度ならすぐ治るよ」
「いいから黙って。…ごめん、その箱から白い布が入ってる小さい箱を出してくれる?」
「は、はい」
冬真に言われたとおりに動きながら、じっとふたりの様子を見守る。
「動かれたら消毒できないから、そのまま大人しくしてて」
「分かったよ…」
よく見ると冬香さんの洋服には血が滲んでいて、お腹を怪我しているのは分かった。
ただ、どうしてか冬真は私の方を見て困っているように見える。
「あの…私なら大丈夫です」
「結構酷いから、冬真は蕀姫に見せたくないんだよ。本当にグロテスクなんだ」
「本当に平気です。だから、私にもお手伝いさせてください」
「……ガーゼを、こっちの鋏で半分に切り分けて」
「分かりました」
冬真は少し戸惑った様子で私にお仕事をくれた。
もし失敗したら大変なことになる…そう思うと、いつもより緊張してしまう。
「できました」
「ありがとう。本当に平気なんだね…」
たしかに血だらけで、見ているだけでも苦しい。
それでも、1番辛いのは冬真と冬香さんだ。
私がへなへなになって迷惑をかけるわけにはいかない。
「座って」
「え?」
「君の手も包帯を巻き直した方がいい」
そういえば、さっき蕀さんに力を借りたことをすっかり忘れていた。
ぽたぽたと血が流れ落ちるのを見ると不安になる。
「あの、冬香さんの、」
「ガーゼに血はついてなかったし、ちゃんと綺麗に切れてたから大丈夫だよ」
「それならよかったです」
滲みるからと言いながら、冬真は私の手を少しずつ消毒していく。
やっぱりずきずきするけれど、彼に優しく手を支えてもらえたおかげでなんとか耐えられた。
「…どう?痛む?」
「さっきよりよくなりました。ありがとうございます」
「それならよかった」
冬真は漆黒の髪をくしゅりと触りながら、私に優しい眼差しを向けてくれる。
そんな私たちの様子を見て、冬香さんは楽しそうに笑った。
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