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第27章『散り桜』
第156話
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いつかそんな日がくることは分かっていた。
検査が増えて、大好きだったお菓子を食べる量が減って、弱々しく微笑むことが多くなって…ある程度覚悟はできている。
……そう思っていた。今この瞬間までは。
「おばさん、また明日来るね」
「ええ。またね」
おばさんからもらったお守り袋を握りしめて歩く。
いつもより遠回りした帰り道、桜の花びらが儚く舞っていた。
「…卵焼き」
「ごめんなさい。変だった?」
「いや、そういうわけじゃなくて…バリエーションが多いね」
「今日はしそチーズにしてみたけど、嫌な味じゃない?」
「俺は好み、かもしれない」
氷雨君はいつも綺麗に食べきってくれる。
今日は春休みだけど、部活動の生徒に紛れて忘れ物を取りに来た。
不意に連絡してみると、氷雨君も屋上にいると返信がきたので待ってもらっていたのだ。
「だいぶ暖かくなってきたね」
「うん。これなら屋上で1日過ごせそう…」
話していると、見慣れない番号から電話がかかってきた。
はじめは無視しようかと思ったけど、出ないといけないような気がする。
「…も、もしもし」
『成川茜さんのご家族の方ですか?』
「そうですが…」
『成川さんが危篤状態です。今すぐ病院に来られますか?』
「え…」
その場で手に持っていた電話を落とす。
おばさんが、危篤?
『ここ数ヶ月、成川さんはあまり体調がよくなかったんです。検査の数値も徐々に悪化していて、心臓が──』
何も聞こえない。聞きたくないと脳が拒否しているのだろうか。
「…ら、氷空!」
「あ、え、」
「大丈夫。これから向かいますって返事しておいたから行って。大切な人なんでしょ?仕事のことは考えなくていいから」
「…うん。あり、がと」
震える手を握られて、少しずつ周りの景色が見えはじめる。
氷雨君はバス停までついてきてくれて、そのまま来たバスに乗って急いで向かった。
「こちらです」
「おばさん…」
おばさんの体にはチューブが繋がれていて、沢山の機械音が聞こえる。
「手を、握ってもいいですか?」
「勿論です」
「おばさん…ごめんなさい」
どうして何も知らなかったんだろう。
どうしていつも笑っていたんだろう。
…どうしていつも私から大切なものばかり奪われてしまうの?
徐々に警告音が大きくなって、数値が下がっていく。
「すみません、少し離れてください」
しばらく外で待つように言われて、頭が真っ白になる。
次に扉が開いたとき、担当医から淡々と告げられた。
「…ご臨終です」
今度は一瞬で目の前が真っ暗になる。
信じたくない。だって、昨日まで元気で話していたのに、そんなこと…。
検査が増えて、大好きだったお菓子を食べる量が減って、弱々しく微笑むことが多くなって…ある程度覚悟はできている。
……そう思っていた。今この瞬間までは。
「おばさん、また明日来るね」
「ええ。またね」
おばさんからもらったお守り袋を握りしめて歩く。
いつもより遠回りした帰り道、桜の花びらが儚く舞っていた。
「…卵焼き」
「ごめんなさい。変だった?」
「いや、そういうわけじゃなくて…バリエーションが多いね」
「今日はしそチーズにしてみたけど、嫌な味じゃない?」
「俺は好み、かもしれない」
氷雨君はいつも綺麗に食べきってくれる。
今日は春休みだけど、部活動の生徒に紛れて忘れ物を取りに来た。
不意に連絡してみると、氷雨君も屋上にいると返信がきたので待ってもらっていたのだ。
「だいぶ暖かくなってきたね」
「うん。これなら屋上で1日過ごせそう…」
話していると、見慣れない番号から電話がかかってきた。
はじめは無視しようかと思ったけど、出ないといけないような気がする。
「…も、もしもし」
『成川茜さんのご家族の方ですか?』
「そうですが…」
『成川さんが危篤状態です。今すぐ病院に来られますか?』
「え…」
その場で手に持っていた電話を落とす。
おばさんが、危篤?
『ここ数ヶ月、成川さんはあまり体調がよくなかったんです。検査の数値も徐々に悪化していて、心臓が──』
何も聞こえない。聞きたくないと脳が拒否しているのだろうか。
「…ら、氷空!」
「あ、え、」
「大丈夫。これから向かいますって返事しておいたから行って。大切な人なんでしょ?仕事のことは考えなくていいから」
「…うん。あり、がと」
震える手を握られて、少しずつ周りの景色が見えはじめる。
氷雨君はバス停までついてきてくれて、そのまま来たバスに乗って急いで向かった。
「こちらです」
「おばさん…」
おばさんの体にはチューブが繋がれていて、沢山の機械音が聞こえる。
「手を、握ってもいいですか?」
「勿論です」
「おばさん…ごめんなさい」
どうして何も知らなかったんだろう。
どうしていつも笑っていたんだろう。
…どうしていつも私から大切なものばかり奪われてしまうの?
徐々に警告音が大きくなって、数値が下がっていく。
「すみません、少し離れてください」
しばらく外で待つように言われて、頭が真っ白になる。
次に扉が開いたとき、担当医から淡々と告げられた。
「…ご臨終です」
今度は一瞬で目の前が真っ暗になる。
信じたくない。だって、昨日まで元気で話していたのに、そんなこと…。
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