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誓い sideフィア
しおりを挟む眠ってしまったマナを私はベッドに運ぶ。
「ずっと怖かったのでしょうね」
「そうだろうな」
ナハトとアランも傍に来て、マナを見つめる。
「もしかしたらマナも私達と同じかもしれない」
「タイムスリップしたということか?」
「ああ」
もしここに来たばかりなら沢山の反応をすると思う。マナは最初の頃、キラキラと目を輝かせていたのを覚えている。
しかし今のマナの表情はとても暗い。
「それなら尚のこと、辛い記憶ばかりがあるのでは?」
「そうだな。だから怖がっているのだろう」
「じゃあ沢山愛してやらないとな。心の傷は沢山の愛情で良くなるというから」
「アランって脳筋かと思ってたけど、そういうとこは詳しいんですね」
「な、なんだよ。悪いかよ」
「いいえ。尊敬しました」
「そ、そうかよ…」
ナハトの言葉にアランが赤くなる。この二人、さっさと付き合えば良いのに十年後の世界でも付き合ってなかった。
「んぅ…」
「マナ、起きたかい?」
「フィア様…ごめんなさい。僕寝ちゃって…」
「疲れていたのだろう?ゆっくり寝たらいい」
「いいの?こんなふかふかのベッド…使って…」
「ああ。ここは今日からマナの部屋でもある。それとも私と眠るのは嫌か?」
「嫌じゃないです。嬉しい」
その言葉に胸が熱くなった。とても可愛らしい。愛しい。
「マナ。キミに後でチョーカーを渡す。キミの項を守るものだ」
「けど、チョーカーは高価なもので…」
確かにオメガのチョーカーは高価だ。貴族ぐらいしか付けていない。
「お金は気にしなくていい。だから貰ってくれるか?」
「いいの?」
「もちろんだ。デザインは一緒に決めよう」
「はい」
私はマナの手にキスを落とす。そして小さく呪文を唱えた。
これは守りの魔法。これでマナに悪意があるものが近寄れば弾く。
マナ。これからは私が守る。そして幸せする。
そう心に誓い、私はマナの頬を撫でたのだった。
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