【R18】生贄の姫は皇子に喰われたい

あまやどんぐり

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1.生贄一族の姫

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 少女が生まれた国は、人口が少なくとても小さいところだった。
 少女は、その国の4番目の王女だった。

 小さい国ではあったが、遥か昔から存在していて、歴史書にも記載されている。

 磨けば輝く石をたくさん採れる鉱山に囲まれた辺鄙で閉鎖的な場所ではあるが、侵入するには不便で、安全性に優れている国。

 小さい国で、鉱山以外は特に魅力的な土地でもないし、山に囲まれて辿り着くのも困難なことから移住民も来なかった。

 歴史から続く血族だけで暮らす国。
 年々、人口が減り一族の血が絶える一途を辿っていることに、この国の王は頭を悩ませていた。

 外の人間には秘密にしているが、この国の人間には"竜の血"が流れていた。
 竜と人が交わったことが始まりで、そこから人間との交わりを経て薄くなってきているが、竜の血は先祖から代々伝わる貴重な国の宝であった。

 いつかは絶えるものであっても、どうにか後世に残したい。国はなくなっても、この血だけは……。
 考えた国王は、自国と外国の男女の縁を結ぶことで、この崇高な血を残すことにした。

 そして、その縁談は王族も例外ではなかった。

 王族は特に竜の血の影響を受けた体を持っていた。
 竜の血は、飲めばどんな怪我も病気も治す。肉は、喰らえば強靭な肉体を与え、その身を若く保つ。
 但し、竜の血が流れる者の体が熟し始める時期でないとその効力は発揮しない。

 それは外部には漏らしてはいけない、絶対の掟。

 これを知った欲深き人間によって一族の大半は喰われ、人口が減っていたためだ。

 逃亡を余儀なくされ、わざと外部の者が近寄れない辺鄙な土地に住まうことにした。そんな歴史があって、一族の者は皆【生贄の一族】と自ら揶揄した。



 姉弟たちが父王が結んだ縁で、順番に国を出て行った。
 各々に与えた鉱山と一緒に売り渡す形で、父王は子供たちを手放した。
 母は泣いた。子供達は家族と別れることに寂しさを覚えたけれど、外に向けた好奇心もあって笑顔で国を去っていった。

 秘密を守るために、その後は身内とも接触を避けることにしていた。この国にも二度と戻ってきてはいけないと釘を刺されていた。
 だから最後の言葉は皆一様に「さようなら」だった。

 少女の嫁ぎ先は、山を登って下りてから遠くの港まで馬車を乗り継いで行き、船に乗って海を渡る…道程はとても長く、遠いところだった。祖国に戻りたくても、戻り方がわからないほどに。

 目的の国に足を踏み入れると、見たこともない豪華な馬車が少女の前に用意されていた。
 案内人のエスコートを受けて乗ると、中はとても広くて、触り心地が良さそうに見えた座席は、思った通り触るとふわりと優しい手触りの布に包まれていて、座ってみると心地良かった。

 揺れる馬車の中から外の景色に見入っていると、遠くの山や空、木々や花々が視界に広がって、その鮮やかな色合いに少女の目に映る景色全てが輝いて見えた。
 そして街を通り過ぎるときに、店がたくさん並んでいて、人の姿も何十人と見た。明らかに祖国とは比較にならないくらい大きい土地。
 賑やかな街並みに到着地点までの間、胸がどきどきして落ち着かない足は、少女の身長が足りず床につかないので宙をぷらぷらと蹴っていた。
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