三人の竜は、囚われ乙女の胸に沈む ― Dragon Heart ―

入鹿なつ

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第4章 騎士の忠義

10 忠臣②

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 アレクスが来るまでにどれだけのことをされたのか。エフィミアは消耗しきっていて、少し深く舌を交差させるだけで息切れ起こした。重なる唇に隙間ができるたび、喉から音をたてて口呼吸を繰り返す。

 苦しげな彼女のようすに気づき、アレクスは口を覆うのをやめて、息を邪魔しないよう下唇だけをんだ。

「アレクス……こんなのだめ」

 エフィミアが荒い息づかいの合間に言ってアレクスの胸を押した。押された場所から、ないはずの痛みが胸の深部まで走るようだった。アレクスは体を離さず、許しを請うような心情で、弱々しくあらがう腕ごと彼女をきつく抱き締めた。

 エフィミアの頭を肩にもたれさせて腕を解き、アレクスはシャツを脱いだ。ベルトを抜いてズボンの前をくつろげれば、とうに硬くなり充血していた雄茎が待ちかねたように反り立つ。

 堅物な騎竜隊長といえど、淫猥に乱れる彼女の姿を見せられて、意識外の体の反応まで抑え込めるほど無欲ではありえなかった。

 アレクスがエフィミアと裸を見せ合うのは、今日だけでもう二度目だ。
 ひとりの女性と二度以上、性的な行為におよぶのは彼にとって初めてだった。

 今朝のエフィミアとの一度目の情交は、後ろめくあったとしても後悔はない。二度目を予感させる情の繋がりを感じた。

 けれど、こんな形の二度目は望んでいなかったし、きっと正しくない――そう思っても、追い詰められて冷静さを欠いたアレクスに、よりましな選択肢はまるで浮かばなかった。この部屋を訪れてからずっと煽られ続けた劣情れつじょうが、いよいよ理性までをも引き剥がしにかかる。

「エフィ、手を」

 上体を支えやすいよう、エフィミアの両手をアレクスの首の後ろへ回させた。それだけで支えるには腕の力が心許なく、顎を肩に乗せさせて全身をアレクスへ預けられるように姿勢を作ってやる。

 体力が尽きたのか、諦めたのか、エフィミアはもうアレクスを押しのけようとはしなかった――連夜の暴力で傷ついた心身がもう限界なのだ。あまり長引かせられない、とアレクスはぼやけた思考の隅で感じた。

 脚を開けるように、姿勢を保ったままエフィミアの腰を抱き上げた。手をかけた内腿が彼女自身からしたたった愛液と、注がれてこぼれた白濁とでひどくぬるついている。手を滑らせないよう慎重に指先に力を込め、アレクスの下肢を跨がせる。

 そのとき、体を持ち上げたことでエフィミアの乳房がアレクスの口元に触れた。つんと突き出た乳嘴が上唇をかすめる。誘惑に抗えず、アレクスはかぶりつくように薔薇色のいただきを口に含んだ。

「ふぁあっ」

 エフィミアは甘い息を吐き出してアレクスの頭にしがみついた。力は強くないので柔肉に顔が埋まっても息苦しいほどではなく、微睡まどろみへ導かれそうな温もりに包まれた。
 乳輪までぷくりと膨れた中心を舌で包むようにねぶれば、彼女の肌に残る傷薬のかすかな匂いと苦味がアレクスの口腔と喉を痺れさせる。

「はあぁん、んぁっ」

 すでにたっぷり嬲られたあとで感じやすくなっているらしく、片胸を刺激されただけでエフィミアは頬を上気させて、しとどな脚の間からさらにあふれたものがアレクスの下腹へ垂れ落ちた。その感触が、より温度を増した血液を彼の官能の中心へ巡らせる。

「アレクス、早く……早く。あたし、もう……」

 か細い涙声でエフィミアが請う。応えて、アレクスは名残惜しく乳房から口を離し、彼女の腰をゆっくりと沈めさせた。

 ルーファンスに押し広げられたばかりの蜜壷はとろけきっていて、わずかの抵抗もなくアレクスのものを奥まで咥え込んだ。中に残っていた白濁が蜜口のふちから細く押し出される。そのぬめりさえも潤滑油として、アレクスは抽挿を始めた。

 後ろへ倒れぬよう左腕を寝具について、腰を上下に揺する。彼の突き上げに、ぴったりと寄りかかっているエフィミアの体も大きく揺れた。胸と胸が擦れ合い、互いの湿った吐息が頬にかかる。

 アレクスは右手を伸ばしてエフィミアの尻をつかんだ。山間を駆け回って育った彼女の尻は、しなやかで強い筋肉の張りが感じられる柔らかさをしている。そうして下から腰を支え上げ、アレクスは彼女自身の体重も利用してさらに強く突き込む。

「ひやぁ、あ、ああっ」

 エフィミアの声が高くなり、咥えたものをさらに奥へ呑み込もうとするように内膜が吸いついて狭まった。下腹や腰のあたりを這うえも言われぬ浮遊感に震えそうになりながら、アレクスも急速に快楽へと上り詰めていく。

 どちらからともなく舌を伸ばして互いに唇を求めた。アレクスの喉が灼けつき、こぼれた唾液が顎から垂れて喉を汚す。うねる内膜が熱い芯を締めつけ、二人が同時に達する――直前、エフィミアの背後から伸びてきた両腕が、寄り添う二人の体を引き剥がした。

 秘部が繋がったままでエフィミアの上半身が浮き、アレクスの腰にかかる重みが突然に増す。交合に没頭していた二人は、一体なにが起きたかすぐに分からず共に混乱に陥る。

 羽交い締められて仰け反ったエフィミアの肩口にルーファンスの金髪が見え、瞬時にアレクスの背筋は冷えた。これがルーファンスに見せるための行為であると、いつの間にか意識から抜けいた。

「わたしもしたい」

 そう低く言って、ルーファンスは羽交い締めていた両手をエフィミアの乳房へとを滑らせ、密着させた腰にさらに体重をかけた。アレクスと繋がっている細腰が、加えられた重みで一段深く沈み込む。

 まだ状況を飲み込めていないエフィミアが、喉を反らせて甘く鳴いた。

「やあぁんっ、んや、あぁ」

 繋がりがより深いところまで押し込まれたのを感じたのもつかの間、膣とはまったく違った熱の感触がアレクスの竿の根元に強く押しつけられた。思わぬ方向からの刺激に彼は驚いたものの、その硬い芯のある熱がルーファンスのたかぶりであるとすぐに気づいた。

 吐精から時間を置いて再び芯を持ったルーファンスの雄茎が、エフィミアの脚の間に差し込まれていた。はいれる場所を探すかのように、硬く張り詰めたそれが二人の繋がり部分に繰り返し擦りつけられる。少しずつ角度を変えて往復する熱い先端がぬめりを纏って、ときおりアレクスの根元や陰嚢まで撫でていく。

 産毛の逆立つざわりとした感触が、アレクスの後頭部に走った。

「陛下――」

 制止の声をあげかけたところで、淫らな結合部をくすぐっていた熱がするりと離れていった。アレクスがわずかに安堵した矢先、いきなりエフィミアが金切り声をあげて暴れ出した。

「いやああ! やだっ、いやだぁあっ!」

 エフィミアが髪を振り乱して腰を大きくよじったものだから、アレクスは彼女の奥まで食い込んだ部位に痛みを感じてきつく奥歯を噛んだ。

 表情を険しくした彼へ助けを求めるように、エフィミアの両手が伸びてくる。もがいて宙を泳いだ手がアレクスの肩に届いても、上半身をルーファンスに後ろから抱え込まれているせいで、縋りつくにはいたらない。

 なにが起きているのか、余裕のない中でアレクスは懸命に理解しようとして、エフィミアの尻に添えている右手で違和感に気づいた。

 ルーファンスが彼女の肛門への挿入をしようとしているのだと察した瞬間、アレクスは咄嗟にその手を伸ばして遮った。

「陛下! どうか、やめてください……彼女には無理です」

 涙を流して嫌がるエフィミアの代わりに、アレクスは懇願した。

 ルーファンスはひどく不愉快そうに美貌をしかめた。エフィミアの肩越しに攻撃的な眼差しを寄越し、邪魔だと言いたげに昂ぶる剛直をアレクスの手の指や甲に押しつけてくる。

 じっと堪えて動かないアレクスの無骨な指関節の峰に数度もすりつける動作をしたあと、怒りの灯っていたルーファンスの碧眼がふと怪しげに細まった。

「分かったよ。それじゃあ――アレクスがして」

 そう言いながら、ルーファンスはエフィミアの体から片腕を解いてアレクスの右手をつかんだ。向きを変えられた掌の中に、熱く屹立したものが滑り込んでくる。アレクスが息をのむ間に指を折ってしっかりと根元を握らされ、手の中のものが震えるように脈打つのを感じた。

「ちゃんと握っていて」

 アレクスの手がゆるまぬよう軽く押さえてから、ルーファンスは自分の手をエフィミアの胸へと戻した。息を乱す彼女に腰を押しつけ、アレクスの握る雄茎を彼女の尻と自身の下腹とで強く挟み込む。

 強烈な当惑に襲われて、アレクスは呆然として身動きできなかった。

 自分のものでない男性器を握った経験など過去にあるわけがない。そうした性的指向があるのは知っていても、アレクスはその例にあたらない。かといって、ルーファンスが相手では振り払うわけにもいかない。

 頭皮がざわざわとする悪寒に似たものを感じても、それが嫌悪感によるものなのか、混乱するアレクスには判然としなかった。

 具合を確かめるかのように、剣と手綱とで固く荒れた騎士の手の中を熱の塊が二往復した。アレクスの掌とルーファンスの陰茎の両方に残っていた女の愛液が混ざり合って、動きをうながすぬめりが行き渡る。

 恍惚とした息を吐いてルーファンスが笑った。

「続きをしよう。アレクスも彼女も、イク前に止められたままで苦しいだろう? 最後までしてみせて。手を放さないで」

 アレクスに見せるように、ルーファンスがエフィミアの両乳房を持ち上げて乳首を指で挟んだ。膨らんだ乳輪から固い中心に向けて搾るようにひねられ、もう口を閉じるのもままならないエフィミアの喉からとろけて声になりきらぬ音が出る。

 彼女を刺激して淫靡に煽りながらも、ルーファンスの目はアレクスを見ていた。

「早く動いてアレクス。彼女がこんなに苦しそうだ」

 ルーファンスが耳に噛みつき、エフィミアがまた舌足らずで鳴いた。涙で腫れた胡桃色の瞳がアレクスをとらえ、伸ばした両手で一生懸命に肩にしがみついてくる。

 アレクスはもはや機能していない思考を放棄した。彼の怒張を包む膣内の窄まりを感じ、同じだけの力を昂ぶりを握る指に加える。
 かすかな甘い鼻息をルーファンスが漏らすのを聞きながら、アレクスは腰を突き上げた。

「ふゃぁん」

 猫が甘えるときような声をたてて、突き上げられたエフィミアの体が浮き上がる。その勢いで、アレクスの手からルーファンスの昂ぶりが先端近くまで抜けかける。しかしエフィミアの体が沈めば、昂ぶりはまたすぐに根元まで手中に押し込まれた。

 アレクスがエフィミアを突き上げて上下する動きに合わせて、ルーファンスも自ら腰を揺すった。張りのある尻と薄い下腹に挟まれたこぶしの中を、ぬめる雄茎がせわしく往復する。

 厚い剣ダコのある箇所にときおり先端を擦りつけては、ルーファンスは吐息を震わせて青白い頬に淡い血色をのぼらせた。

「ああ、もっと……もっと強く握って」

 陶然とした声音で呟いて、ルーファンスは握りつぶさんばかりの強さでエフィミアの乳房に指を埋めた。儚い柔らかさの丸みが崩れ、溶けるように指の間からあふれる。胸の傷から滲んだ血が一滴だけ肌を伝い、まるで赤い乳のように膨らみの先端から垂れた。

 アレクスは朦朧とするほど官能的な光景に当てられ、ルーファンスのものを握る力を強めて、野性的な衝動のままにエフィミアに自身のものを突き込み続ける。

 暗がりの中で女ひとりを男ふたりで犯す背徳と、臣下の手で王の陽物ようぶつをしごき上げる倒錯の前では、人間的な理性など用をなすはずもない。五感から入ってくる官能すべてがあまりにも濃密で、誰の肌に触れて誰と繋がっているのかさえ次第に分からなくなってくる。

 ルーファンスはすでに一度吐精し、アレクスとエフィミアは絶頂を強制的に中断されている。汗みずくになって快楽ばかりを追いかけ始めれば、上り詰めるのにそれほど時間はかからなかった。

 アレクスの手の中で熱芯が一瞬膨らみ強く脈打った。わずかに遅れて、彼の官能の中心を咥えている蜜壁が急激に狭まる。アレクスはふっと息を吐くように全身の強張りが解けるのを感じ、白く濁った欲を残らず吐き出した。
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