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小鳥の郵便屋さん

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ミラとリオの交際が始まってから
しばらく経ったある日の朝

コンコンッコンッコンコンッという何かを叩く音で、いつもより早めに目が覚めた
私達の部屋は2階だ窓から音がするが
外はまだ薄暗いというのに誰かが石でも投げつけているのだろうか

いや、女子寮で石投げる人はいないよな…
ミラはまだ眠っている

カーテンを開ければどこか見覚えのある白い小鳥がくちばしでツンツンと窓を叩いている
開けてくれない?と言わんばかりに首を傾げてはまた窓をノックしていた
「え?…あっごめんね!」

慌てて窓を開けばすぐに入ってきて、パタパタと私の周りを旋回している

「チチチッ」
鳴きながら旋回する鳥を見上げていれば
頭上からヒラリと手紙が1通

その体のどこに隠し持っていたのだ

「お父様と…お母様からの手紙?」
珍しい…
あの二人は手紙をほとんど書かないのだ
何かあったら送るというくらいで
こちらからは時々現状報告のような手紙を月に一度の頻度で出しているが
基本的に一方通行である

そんな両親からの手紙
ということは“何かあった”んだな

⋯悪い内容じゃありませんようにとドキドキしながら開くと


『愛しい我が子達。ニーナ、ミラ、二人とも元気そうで安心しているよ
父様と母様も元気だから心配しないでくれ
あぁ、コロも元気だよ

本当はもっと前に連絡するつもりだったんだがね…。
父様が魔法で作った小鳥は無事にこの手紙を届けられているか心配だ

父様、ちょっと変わった子をテイムしてしまってね…。
1回目の手紙は初仕事に張りきりすぎて手紙を持たずに向かっていってしまってね
一度出ていくと迷子になるのかなかなか戻って来ないんだ』

「⋯ポンコツじゃないの」
「チ?」
いつの間にか窓辺にちょこんと止まっている小鳥は私の言葉に首を傾げている
そういえば…ラルフからハンカチを貰った日に中庭にいた鳥とそっくりだ
あの日に届けるつもりだったのに手紙無しで来てしまって、到着してから気がついて慌てて戻っていったのか
今日はこの前とは違い鳥のサイズにあったカバンがつけられていた
飛びにくそうだがいいのか?と思ったが支障は無さそうだ


そういえば父はテイムの魔法が使える人だった。父が幼い頃から遊んでいた子犬が魔物だったと笑っていたが、私の目から見ても大型犬にしか見えなかったので疑っていたわけじゃないが実感もなかったのだ
ちなみに飼っていた犬の名前はコロだ
ゴールデンレトリバーみたいな子だったけど

別に生活に必要な場面など殆どなかったし
使役しているところを一度もみたことがなかったのですっかりわすれていた

あれは使役というよりも飼育だった


『まぁ余談はこの辺にしておこう。嬉しい知らせだよ。まだ性別はわからないが新しい家族が出来るんだ。
きっと君たちが在学中に産まれるだろうから
そのときはまた連絡するよ』


ギョッとして目を剥くと
ちょうど寝起きのミラが目をこすりながら起きてきた

「ミラ!妊娠したって!!」

「ねっ姉様!?妊娠したの!?」
私の言葉の足りなさにより、とんでもない勘違いをしている

「ちがっ!違うから!!」

すぐ手紙を読ませて誤解は解けたものの
弟か妹ができるのか

「はぁー、びっくりした。返事書かなきゃだね」

「チチッ」
ミラの言葉に返事するように鳴いている

「かわいい!この子⋯何?返事持っていってくれるの?」

コクコクと頷く小鳥
賢いのにポンコツ

机に向かい二人で返事を書いたあとは手紙を預けた

小さなくちばしで手紙を咥えた後は
フッと消えて行った

「「すごい」」

まさかの運び方に驚きを隠せない
すぐ届きそうな雰囲気だったが少し不安である
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