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20 声 (草餅)
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保健室に入るとはかせがいつものようにパソコンをカチカチしていた。
「おかえり。どうしたの手なんかつないで?」
わっと手を離す。
「山田さんはいませんでした。それにそもそも山田花子なんて生徒はこの学校に在籍してないって聞きました」
「え、それ本当?じゃあ誰かのいたずらか」
「私も最初はそう思ったんですけど、保健室に変えるときに妙な声を聴いて」
「声?」
「はい。保健保健委員の代表者一人が今日の夜21時に2-Bの教室に来い。来なければ保健委員全員を呪いにかけるって聞こえてきて」
はかせはしばらく顎に手を当てて考える。信じてくれているだろうか。
「うんわかった。俺が21時に2-Bまで行ってみるから二人はかえって休みなさい。立花さんもだいぶ精神やられてそうだし」
先輩はまだ若干震えていた。
「一人で大丈夫ですか?」
「うん、どうせ誰かのいたずらだよ」
「わかりました。一応気を付けてくださいね」
「おう」
保健室を後にし、昇降口へ向かう。自分の下駄箱に靴を取りに行こうとしたが、何も言わずに先輩もこっちについてくる。それから私は靴を手に取り、先輩の下駄箱のほうへついていく。
外に出ると真っ暗な空に月が少し赤みがかっていて不気味さをより一層感じた。まるでさっきの声の主が月に呪いをかけたかのように不吉な色をしていた。
「先輩は自転車ですか?」
「ううん、歩き」
「私自転車なんでこれで」
「まって。一緒に帰ろ」
「、、、わかりました。それじゃ自転車取ってくるのでここで待っててください」
私は急いで自転車を取りに行く。
駐輪場に行くとそこで怪しい人影を見た。校舎の壁で何やらがガサゴソしている。
こんな時間にこんなところで何をしているんだ?
顔は暗くて見えないが雰囲気から学生だと思う。先ほどの不気味な声のこともあり怖くなってすぐにその場を離れようとする。
がしゃり、と自転車のカギを外す。
すると私の動きに気づいたのか怪しい影は逃げるように駆け出してその場を離れていった。
なんだったんだろ。
しばらくその影を見送って先輩の待つ方へ戻った。
「おそいよ」
「すいません」
さっきのことは先輩には言わないほうがいいよな。怖がらせちゃいそうだし。
私は先輩の歩くペースに合わせて自転車を押す。
「なんか話して」
唐突に先輩が話題を求めてきた。何か話していないと不安なのだろうか?
「それじゃ、怪談話とかどうですか?」
「ばか」
「すいません。それじゃあ、この学校のこと教えてくださいよ。私まだ入学して2月くらいしかたってないので、まだあんまりよくわかってなんです」
「いいよ。もっちーってなんか部活とか入ってるの?」
「いえ、入ってません。中学のときも何もやってなくて」
「へーなんかやればいいのに。ちなみに私はバスケ部」
「意外です。部活は行ってないと思ってました」
「それ、初めてしゃべった人みんなに言われる。帰宅部じゃないんだって。あはは」
ほんとに意外だ。この見た目でそんなストイックな部活に入っていたとは。普通の見た目で何もやっていない自分が情けなく感じる。
「部活もやって委員長もやって大変じゃないですか?」
「大変だけど全然平気。私以外にもそんな人いるし」
先輩は少し頬を染めてにやけている。好きな人でもいるのだろうか?この会話からのこの表情は明らかに誰かのことを考えているときのそれだ。
「なんか素敵ですね」
「何がだ。別に私はそいつのこと何とも思ってないぞ」
「はいはい。分かってます」
「にやけながら言うな」
なんか授業が終わってから5時間くらい先輩と一緒にいるが、思っていたよりも芯があってかわいらしい人だな。
そんな先輩を見て私は良い出会いをしたと感じた。
「はかせ大丈夫ですかね」
「はかせなら大丈夫だろ。あの人怖いもんとかなさそうだし」
「先輩ははかせといつからあんな感じなんですか」
「あんな感じってどんな感じだし。でも一年の時から私が保健室に行くとしゃべってたかも」
「へー、仲いいんですね」
「まあそうだな」
こっちは否定しないのか。好きというより信頼してるみたいな感じかな。まあ教師と生徒でそんなことはそもそも許されないのだが。
それから先輩と話しながら歩いているとあっという間に先輩の家についてしまった。意外と大きな一軒家で両親もきっと真面目な人なのだろう。見た目はわからないが、、。それにしてもからり学校からから近い。徒歩10分もかかっていない気がする。
「なんかごめんな。送ってもらちゃって。一人で帰れるか?」
「はい大丈夫です。私幽霊とか平気なんで」
「よく言うよ腰抜かしてたくせに」
「先輩ほどじゃないです」
冗談を言って笑うと先輩もそれを見て笑った。
「それじゃまた明日。気を付けて帰れよ」
「はい。また明日」
先輩と分かれて自転車にまたがり先輩に手を振りながらペダルを漕ぐ。
しばらく先輩が後ろで手を振っていたが角を曲がるとそれも見えなくなる。そして急に心細くなり、気温ではない何か肌寒いものを感じた。それを振り払うようにペダルを強く漕ぐ。夜の住宅街ということもあり人はほとんどいない。今は人でもいいから酔っ払いのサラリーマンがいてほしい思った。
かなりのスピードが出ていたがそれすら遅く感じる。まるでなにかに後ろから追いかけられているようだ。
ようやく大通りに出て人通りも多く車も通っているので少し安心する。
家に着くと、さっきまで勢いよくペダルを漕いでいたからか、額に汗がにじんでいた。
「ただいま」
「お帰り、遅かったね」
「うん。ちょっと委員会が長引いた」
「そう。先にお風呂入る?」
「うん。そうする」
母との会話でようやく緊張が解けた。我が家は良いものだ。
「おかえり。どうしたの手なんかつないで?」
わっと手を離す。
「山田さんはいませんでした。それにそもそも山田花子なんて生徒はこの学校に在籍してないって聞きました」
「え、それ本当?じゃあ誰かのいたずらか」
「私も最初はそう思ったんですけど、保健室に変えるときに妙な声を聴いて」
「声?」
「はい。保健保健委員の代表者一人が今日の夜21時に2-Bの教室に来い。来なければ保健委員全員を呪いにかけるって聞こえてきて」
はかせはしばらく顎に手を当てて考える。信じてくれているだろうか。
「うんわかった。俺が21時に2-Bまで行ってみるから二人はかえって休みなさい。立花さんもだいぶ精神やられてそうだし」
先輩はまだ若干震えていた。
「一人で大丈夫ですか?」
「うん、どうせ誰かのいたずらだよ」
「わかりました。一応気を付けてくださいね」
「おう」
保健室を後にし、昇降口へ向かう。自分の下駄箱に靴を取りに行こうとしたが、何も言わずに先輩もこっちについてくる。それから私は靴を手に取り、先輩の下駄箱のほうへついていく。
外に出ると真っ暗な空に月が少し赤みがかっていて不気味さをより一層感じた。まるでさっきの声の主が月に呪いをかけたかのように不吉な色をしていた。
「先輩は自転車ですか?」
「ううん、歩き」
「私自転車なんでこれで」
「まって。一緒に帰ろ」
「、、、わかりました。それじゃ自転車取ってくるのでここで待っててください」
私は急いで自転車を取りに行く。
駐輪場に行くとそこで怪しい人影を見た。校舎の壁で何やらがガサゴソしている。
こんな時間にこんなところで何をしているんだ?
顔は暗くて見えないが雰囲気から学生だと思う。先ほどの不気味な声のこともあり怖くなってすぐにその場を離れようとする。
がしゃり、と自転車のカギを外す。
すると私の動きに気づいたのか怪しい影は逃げるように駆け出してその場を離れていった。
なんだったんだろ。
しばらくその影を見送って先輩の待つ方へ戻った。
「おそいよ」
「すいません」
さっきのことは先輩には言わないほうがいいよな。怖がらせちゃいそうだし。
私は先輩の歩くペースに合わせて自転車を押す。
「なんか話して」
唐突に先輩が話題を求めてきた。何か話していないと不安なのだろうか?
「それじゃ、怪談話とかどうですか?」
「ばか」
「すいません。それじゃあ、この学校のこと教えてくださいよ。私まだ入学して2月くらいしかたってないので、まだあんまりよくわかってなんです」
「いいよ。もっちーってなんか部活とか入ってるの?」
「いえ、入ってません。中学のときも何もやってなくて」
「へーなんかやればいいのに。ちなみに私はバスケ部」
「意外です。部活は行ってないと思ってました」
「それ、初めてしゃべった人みんなに言われる。帰宅部じゃないんだって。あはは」
ほんとに意外だ。この見た目でそんなストイックな部活に入っていたとは。普通の見た目で何もやっていない自分が情けなく感じる。
「部活もやって委員長もやって大変じゃないですか?」
「大変だけど全然平気。私以外にもそんな人いるし」
先輩は少し頬を染めてにやけている。好きな人でもいるのだろうか?この会話からのこの表情は明らかに誰かのことを考えているときのそれだ。
「なんか素敵ですね」
「何がだ。別に私はそいつのこと何とも思ってないぞ」
「はいはい。分かってます」
「にやけながら言うな」
なんか授業が終わってから5時間くらい先輩と一緒にいるが、思っていたよりも芯があってかわいらしい人だな。
そんな先輩を見て私は良い出会いをしたと感じた。
「はかせ大丈夫ですかね」
「はかせなら大丈夫だろ。あの人怖いもんとかなさそうだし」
「先輩ははかせといつからあんな感じなんですか」
「あんな感じってどんな感じだし。でも一年の時から私が保健室に行くとしゃべってたかも」
「へー、仲いいんですね」
「まあそうだな」
こっちは否定しないのか。好きというより信頼してるみたいな感じかな。まあ教師と生徒でそんなことはそもそも許されないのだが。
それから先輩と話しながら歩いているとあっという間に先輩の家についてしまった。意外と大きな一軒家で両親もきっと真面目な人なのだろう。見た目はわからないが、、。それにしてもからり学校からから近い。徒歩10分もかかっていない気がする。
「なんかごめんな。送ってもらちゃって。一人で帰れるか?」
「はい大丈夫です。私幽霊とか平気なんで」
「よく言うよ腰抜かしてたくせに」
「先輩ほどじゃないです」
冗談を言って笑うと先輩もそれを見て笑った。
「それじゃまた明日。気を付けて帰れよ」
「はい。また明日」
先輩と分かれて自転車にまたがり先輩に手を振りながらペダルを漕ぐ。
しばらく先輩が後ろで手を振っていたが角を曲がるとそれも見えなくなる。そして急に心細くなり、気温ではない何か肌寒いものを感じた。それを振り払うようにペダルを強く漕ぐ。夜の住宅街ということもあり人はほとんどいない。今は人でもいいから酔っ払いのサラリーマンがいてほしい思った。
かなりのスピードが出ていたがそれすら遅く感じる。まるでなにかに後ろから追いかけられているようだ。
ようやく大通りに出て人通りも多く車も通っているので少し安心する。
家に着くと、さっきまで勢いよくペダルを漕いでいたからか、額に汗がにじんでいた。
「ただいま」
「お帰り、遅かったね」
「うん。ちょっと委員会が長引いた」
「そう。先にお風呂入る?」
「うん。そうする」
母との会話でようやく緊張が解けた。我が家は良いものだ。
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