俺の職業、「剣」闘士じゃなくて「拳」闘士!? ~誤字ってて気付かなかったけど、剣で最弱だった俺が拳では最強だった件~

白野ケイ

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戦士:秋宮魁斗

激闘の結果

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驚いたのは、始まってから数秒どちらも動かない事だった。

ただ見合うだけの時間に、緊張感が増す。
先に動いたのはアリサだった。弓を構えてゆっくりと近づく。

ぱしゅっと放つと、クローカーがその矢をレイピアで落とした。

大きな動きはないのに、空気がピリピリとしている。

実力者同士だからこその空気だろうか。

その時、バッと突然クローカーの周りを走るアリサ。

アリサの得意な、高速で撹乱しながらの攻撃だ。

しかし、クローカーは一矢残らずたたき落とす。さすがの腕だ。

拮抗した試合になるかと思われた矢先、クローカーが姿を消した。ミストーションだ。

アリサは大丈夫って言ってたけど、本当なのか。ノヴァの試合を思い出し不安になる。

ミストーションを確認すると、アリサは目を閉じた。

「おいおい、諦めたか!」

周囲から罵声も聞こえる。女性ってだけで偏見を持つ者も多い。
アリサが簡単に諦めるか。何も知らないくせに。

目を閉じながらスッと矢を構えた。
すると、空に向かってものすごい量の矢を放った。
無数の矢の雨が広範囲に降り注ぎ、傷を負ったクローカーが姿を現した。

「やっぱりね。ダメージとか衝撃受けるとミストーション解けるんでしょ。ノヴァをレイピアで刺した時、レイピアだけ解けたもんね。」

「音か。」

「そ。姿が消えても存在が消えるわけじゃない。足音から大体の場所を絞って矢を放ったの。」

これがアリサが言ってた作戦か。
アリサの身体能力があってこその対策なわけだ。

再びしばらく見つめ合う。

「下位魔法:【ブースト】」

加速したクローカーはまたしても姿を消した。
ノヴァ戦でも見せなかったブーストとミストーションの同時使用。

これでは足音で位置を絞りきれない。

「くっ..」

アリサは矢を構えながら逃げることしかできない。

レイピアがアリサの腕をかすめる。

次第にアリサの傷が増えていった。
なんとかギリギリで急所を免れているが、このままでは体がもたないぞ。

が、その時クローカーが息を切らして姿を現した。おそらく魔法同時使用によるスタミナ切れだ。

2人とも限界を超えている。

「下位魔法:【氷矢】!」

氷の矢がクローカーめがけて飛んでいく。
レイピアでは受け切れず、クローカーが吹っ飛んだ。

「【氷矢】!【氷矢】!」

いくつもの氷の矢を飛ばす。でもあれは消耗が激しいはずじゃ..
クローカーはスレスレでなんとかかわし続ける。

ついにアリサが膝をついた。

「下位魔法:【ブースト】」

その瞬間を狙い、クローカーが加速する。

「はぁ、【氷矢】」

両膝をつきながらアリサが最後の力を振り絞った。
まだ動けると思わなかったクローカーは、左足に直撃をもらった。

ブーストのスピードと相まって、勢いよく地面に転がるクローカー。

「うおぉあぁ!」

それでも立ち上がり、足を引きずってアリサに近づく。
初めて聞いたクローカーの雄叫び。

倒れているアリサの頭めがけてレイピアを振り下ろした。

「そこまでだ。クローカー。」

レイピアを素手で受け止めたのはアレクだった。

「セトラはもう気を失ってる。お前の勝ちだ。」

「かっ、はぁはぁ。」

クローカーも両膝をついた。

なんとも、激しい戦いだった。

「アリサ!」

リングに駆け寄った時にはすでに回復が始まっていた。

「あっちゃー、私、負けちゃったんだ。」

意識を取り戻したアリサは、明るく舌をペロッと出した。
ここまでいい勝負をしたんだ。相当悔しいだろう。

「何言ってんだ!めちゃくちゃいい試合だった!」

「そう?ありがとうミゲル。」

ミゲルは終始ウルウルしてたからなぁ。心配だったんだろう。

激戦の試合は、クローカーに軍配が上がった。
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