俺の職業、「剣」闘士じゃなくて「拳」闘士!? ~誤字ってて気付かなかったけど、剣で最弱だった俺が拳では最強だった件~

白野ケイ

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戦士:秋宮魁斗

アダンVSアイネ

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「少し休むわ。」

すでに泣きそうな目で、アリサは室内に入っていった。

「心配だけど、1人にした方がいいかなぁ。」

後を追うか否かでミゲルは迷っているようだった。

「そっとしておいたほうがいいかもな。」

おそらくアリサは泣いているだろう。
男たちに泣き顔なんて見られたくないもんな。

さて、次が最も体格差のある戦い。身長150センチもないであろうマアルと、2メートルほどのアダン。下馬評では当然のようにアダン優位だ。

遠くから見ると、まるで大人と子供。リング内のマアルはさらに圧迫感あるだろうな。

しかしマアルはあの実力者コーレーに勝利している。魔法力はピカイチだ。

「ほんとうちっこいのう。」

正直、アダンからは余裕すら感じる。油断するとは思えないが。

その予想通り、試合が始まった瞬間に仕掛けたのはアダンだった。

「中位魔法:【エンロード】」

またいきなりかよ!
マアルを炎の波が飲み込んでいく。

が、すぐにマアルが姿を現した。豪波壁だ。

「全くミゲルといい、防御力が高い奴が多いのう。」

あのエンロードを無傷で..
もしかしてマアルってめちゃくちゃ強いのか?

「下位魔法:【氷壁】」

マアルの前に分厚い氷の壁が現れた。

「そんなもので防げるか!【エンロード】!」

氷の壁は一瞬にして溶け、水となった。

「下位魔法:【氷壁】」

それでもマアルは氷の壁を作り続ける。

「下位魔法で魔法力を削ぐつもりかのう。ならば、下位魔法:【小火】」

マアルが氷の壁を作り、それをアダンが溶かす。魔法力耐久戦となった。

次第にどちらにも疲れが見え始めた。魔法力は5分5分のようだ。

「攻撃しなくては勝てないと思うがのう?」

「いいんです!これで。」

マアルは諦めていないようだが、アダンの言う通り攻撃しなくては勝てない。
このままでは防戦一方だ。

リングは溶けた水でもうびしょびしょだ。

「中位魔法:【豪波壁】!」

突然、攻撃される前に手のひらほどの壁を体の前に張ったマアルが、アダンめがけて全力で走り出した。

「何を企んでおる!中位魔法:【エンロード】!」

お互い力を絞った中位魔法。
が、エンロードの威力が思うように出ていないようだ。

「まさか、この水..」

「そうです!リングを水びたしにすれば、地を這うように飛んでいくエンロードの威力は多少落ちます!」

「そんなもの通用せん!」

息を切らして、エンロードを放ち続ける。

「きゃあ!」

豪波壁が解け、エンロードはマアルに直撃した。

「ようやく、倒れたのう..」

魔法力切れで、アダンもその場に倒れた。

うつ伏せに倒れたマアル。
アダン相手にあそこまで戦えるとは..

「中位魔法!【瀑氷】」

何が起こったのか。
リングに巨大な四角い塔が出来上がった。

アダンを氷の中に閉じ込めるためにマアルが放ったものだった。

よく見れば、氷の塔までマアルの手からリングの水伝いに氷が繋がっている。

「倒れた位置から、リングの水を使ってわしの下で中位魔法を使うとは..」

しかし、エンロードを受けたことで手元が狂って位置がズレたのだろう。氷の塔が閉じ込めているのは、倒れているアダンの右手だけだった。

マアルはすでにエンロードのダメージもあって、気を失っていた。

「勝者は、アダン•ベスキート!」

「2つも中位魔法が使えるとはのう。しかも瀑氷を悟られないためにあえてエンロードを受けた。位置がズレなければわしの完敗じゃった..」

アダンは負けた顔をしていた。

アダンの勝利となったものの、マアルの恐ろしさを知らしめる試合となった。
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