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戦士:秋宮魁斗
魁斗VSエヴァ
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リングでは炎属性の戦士たちが瀑氷をなんとか溶かそうとしていた。
しかし、中位魔法だけあってなかなか溶けない。最終的にはアレクが炎閃暁を放つにまで至った。
「可愛い顔してやってくれるわね。」
倒れているマアルの方を向いて、ジュリアがつぶやいた。
ジュリアも中位の回復魔法を使い続けて、相当な消耗だろうな。
試合数が少ないから、もう2回戦が回ってきた。
1回戦はまぐれだったし、2回戦の激戦を見ていると自信が失せてくる。
相手は、エヴァか。
正直ヘラとの戦いでは実力を測りきれなかった。どういう戦術で来るのかもわからない。
リングに上がり、エヴァと対峙する。アルフレッドほどの圧はない。
なんとなく、勝てる気がしていた。
まぐれとは思いつつも、主席に勝利したことが自信になっていたんだろう。
試合は、驚くほど一瞬で終わった。
ゴングが鳴ったのは覚えている。次に意識がはっきりしたときに視界に入ったのは、青空とジュリアの顔だった。
「あれ!?俺は..」
「おはよ。傷は治ったわよ。」
「えっと、試合が始まって..」
「あら、全然覚えてないの?まぁ、あっという間だったものね。」
ジュリアが言うには、試合が始まった瞬間にエヴァはブーストを使用。まったく目で追えなかった俺はすぐに攻撃を受け、試合は終わったそうだ。
「そっ、か。はは、情けないな。」
猛烈にアルフレッドに勝ったことを心のどこかで誇っていた自分が恥ずかしくなった。偶然だと言いつつ、自分は強いと思い込んでいたのだろう。
それが記憶もないままあっさりとやられて空を見上げている。
あぁ、ほんとにダサいな。カッコ悪い。
「魁斗、大丈夫か?」
やっぱり、ミゲル達は心配してくれる。でも、直接顔を見ることはできなかった。
「ありがとう大丈夫だよ。ちょっと休むな。」
くっそ、1度出た涙が止まらない。改めて自分が最弱なのだと思い知らされた。
もう、戦士も諦めたいな。どうせ2軍も確定だろう。
あてもなく城内をぶらぶらと歩いている時だった。
「よう魁斗、ボコボコだったな。」
ウーラだった。ヘラヘラした態度に、妙にイラついてしまった。
「そうですね。俺、ちょっと休むので。」
少しぶっきらぼうにいい、その場をやり過ごそうとした時だった。
「お前アルフレッドと戦った時、世界がスローに見えなかったか?」
「えっ!」
なんでそのことを知っている?
確かにあの時、驚くほど動きがゆっくり見え頭もクリアだった。でもそれは死を覚悟したからのはず..
「まぁ、見えましたけど。」
やっぱりな、という顔でウーラが口を開いた。
「それ多分、上位魔法だぞ。」
しかし、中位魔法だけあってなかなか溶けない。最終的にはアレクが炎閃暁を放つにまで至った。
「可愛い顔してやってくれるわね。」
倒れているマアルの方を向いて、ジュリアがつぶやいた。
ジュリアも中位の回復魔法を使い続けて、相当な消耗だろうな。
試合数が少ないから、もう2回戦が回ってきた。
1回戦はまぐれだったし、2回戦の激戦を見ていると自信が失せてくる。
相手は、エヴァか。
正直ヘラとの戦いでは実力を測りきれなかった。どういう戦術で来るのかもわからない。
リングに上がり、エヴァと対峙する。アルフレッドほどの圧はない。
なんとなく、勝てる気がしていた。
まぐれとは思いつつも、主席に勝利したことが自信になっていたんだろう。
試合は、驚くほど一瞬で終わった。
ゴングが鳴ったのは覚えている。次に意識がはっきりしたときに視界に入ったのは、青空とジュリアの顔だった。
「あれ!?俺は..」
「おはよ。傷は治ったわよ。」
「えっと、試合が始まって..」
「あら、全然覚えてないの?まぁ、あっという間だったものね。」
ジュリアが言うには、試合が始まった瞬間にエヴァはブーストを使用。まったく目で追えなかった俺はすぐに攻撃を受け、試合は終わったそうだ。
「そっ、か。はは、情けないな。」
猛烈にアルフレッドに勝ったことを心のどこかで誇っていた自分が恥ずかしくなった。偶然だと言いつつ、自分は強いと思い込んでいたのだろう。
それが記憶もないままあっさりとやられて空を見上げている。
あぁ、ほんとにダサいな。カッコ悪い。
「魁斗、大丈夫か?」
やっぱり、ミゲル達は心配してくれる。でも、直接顔を見ることはできなかった。
「ありがとう大丈夫だよ。ちょっと休むな。」
くっそ、1度出た涙が止まらない。改めて自分が最弱なのだと思い知らされた。
もう、戦士も諦めたいな。どうせ2軍も確定だろう。
あてもなく城内をぶらぶらと歩いている時だった。
「よう魁斗、ボコボコだったな。」
ウーラだった。ヘラヘラした態度に、妙にイラついてしまった。
「そうですね。俺、ちょっと休むので。」
少しぶっきらぼうにいい、その場をやり過ごそうとした時だった。
「お前アルフレッドと戦った時、世界がスローに見えなかったか?」
「えっ!」
なんでそのことを知っている?
確かにあの時、驚くほど動きがゆっくり見え頭もクリアだった。でもそれは死を覚悟したからのはず..
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やっぱりな、という顔でウーラが口を開いた。
「それ多分、上位魔法だぞ。」
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