上 下
43 / 52
戦士:秋宮魁斗

決勝戦

しおりを挟む
「はい?上位魔法?」

どういうことだ。走馬灯って魔法なのか?

「まだ未完成だが、アレトテンポという上位魔法だろうな。簡単に言うと時を止める。」

「え!時を!?」

そんなの最強じゃないか。でも、なんで俺なんかが..

「魔法力0で上位魔法を使うなんて俺も聞いたことがねぇ。だから完成させる方法もわからないけどな。なんかトリガーがあるのかもな。」

トリガー..
アレトテンポが完成すれば俺はきっと。

「ま、そんだけだ。負けたからってあんま気負うなよ。じゃな。」

手をひらひらさせ、ウーラは消えていった。
多分、俺が落ち込んでいることを知って、今教えに来てくれたんだろうな。
ウーラに多少でもイラついたことを悔いた。

そして、目標が出来た。
アレトテンポを完成させる。方法がわからなくても、必ず。


リングへ戻ると、ちょうど決勝戦が始まった瞬間だった。

決勝戦はクローカー、アダン、エヴァの三つ巴戦。

序盤はアダンの広範囲攻撃と、クローカー、エヴァのスピードが拮抗した。
だが次第に、エンロードから逃げながらクローカーとエヴァが戦う構図になった。

クローカーとエヴァも実力は互角に見えたがクローカーが上手かったのは、戦いの最中にアダンがエヴァの後ろに来るように立ち回ったことだった。
後ろに迫るエンロードに気を取られたエヴァにクローカーのレイピアがヒットし、エヴァは脱落となった。

すぐにエヴァがリングから外され、1対1となった。

しかし3戦目の疲れからなのか、クローカーは1度もミストーションを使わなかった。
結果、クローカーの強みを最大限に活かせずじりじりと追い詰められていった。

最後は小火で逃げ道を無くした後のエンロードをまともに食らい、戦闘不能となった。

「優勝は、アダン・ベスキート!」

様々な波乱はあったものの、トーナメントはアダンの優勝に終わった。
しおりを挟む

処理中です...