婚約破棄はこじらせか？

そこまで義妹を嫌うのか？

　婚約者殿の義姉も学院にいる。こちらは二学年だ。

　……さすがに自分を妃にと売り込んで来るほどまでは恥知らずではなかった。
　てか知ってるからな、最初婚約者殿に対してじゃなく義姉二人も含めた誰かの中からって話が行ってたの。その時経歴に傷が付くのは嫌だとかなりきつく断っておきながら今更そんな事言われてもって感じだよなー。もしその相手に惚れてたとしても醒めるだろそれ。
　そのせいかどうか自分ではなく、自分が取り巻いている令嬢の妹を勧められた。
　殿下は年下がお好きのようなので妹君の方を、って年下じゃなくて婚約者殿が好きなの。……けど年上だったとしても知り合えば好きにはなっただろうけど、あんま離れてたら話は行かなかっただろうし、女性は結婚が早い人が多いから事情を差し引いても引き受けてくれなかった可能性が高くなるから、やっぱ年下が好きだな、うん。

　……しかしさ、そこまで義妹いもうとが嫌いか？
　そりゃ取り巻きである以上令嬢のご機嫌は取らなきゃなんないらしいし、解消前提の婚約者の身内では家柄での立場が逆転するほど力関係は変化はしないという予想は付く。
　けど力関係でいうなら俺の方が強いし、仮にそうじゃなかったとしても何かしら義妹について触れてから話に入るのが普通だろう？
　心配も褒めも儀礼的な話も悪口を言うことすらせずに他の女を薦めるって、完全に義妹の存在無視しようとしてるだろ。
　本気で忘れてはないだろうということは俺に話しかけてきたという行為で分かる。いくら学院内では身分差が緩くなるとはいえ付き合いたい人を選ぶ権利はある。
　それでも話くらい聞いてもらえると思ったのは義妹の件があるからだろ？

　とりあえず断った上で大元の令嬢まで話は通した。てか大元の方がまともだった。あれは暴走の結果らしい。
　断るときに些か義姉に対して礼儀が足りなくなったのはまぁお互い様だろう。
　今は寮に居るとはいえこんな義姉と暮らしている婚約者殿がますます心配になってくる。
　早く休みにならないだろうか？
　けど俺が帰るってことはあの義兄も義姉も帰るんだよな。
　何とかできないかなー。