1 / 1
選択はヒロインがするものでしょう?
しおりを挟む
あらためていうと却って陳腐になるくらい、人生というのは選択の連続である。
それは、乙女ゲームに転生したからといって変わらない。
……違う意味で選択の連続だったなぁ、この乙女ゲーム。
ゲームとしては中世ヨーロッパ風恋と魔法の学園物というよくあるシロモノで、プレイヤーキャラは突然魔力に目覚めた平民の特待生。
先輩後輩同級生先生や王子様、そして隠しキャラの魔王と恋に落ちたり落ちなかったり、学園から落ちこぼれたり落ちこぼれなかったりするゲームである。ちなみに魔王は恋に落ちる場合を除きラスボス。
で、繰り返すが選択肢が多い。
そこ、会話で好感度の上下とか普通じゃね? とか思っただろ。行き先で会えるキャラ変わるのとか当然じゃね? とかも。
確かに行き先で会えるキャラが変わるのは分かる。
けどさ、選択肢が「教室」「中庭」「カフェ」とかなら分かるよ?
なんで「まっすぐ」「右」「左」とかで選ばなきゃならない訳?
しかも一回で目的地につかないから右だの左だの選ぶの繰り返さなきゃならないし、同じところをぐるぐる回ってても分からない、オートマッピングどころか地図とかもなく、当然一度着いたら次からは自動で行けるとかって親切もなし。
マップ手作りするのをお勧めって何十年前のRPGだよ言ってみろ、道は重要なとこ以外グラフィックかなり使い回すから覚えられないんだよ。
……まぁ、万事が万事この調子で。そのうち有志が作った地図がネットに上がったけど、初期はほんとーに苦労した。
それ以外にも、攻略キャラとの会話でもこれパラメーターに関係ないだろ的なのとか、着られる服の数とか、選択肢がやったら多くてさー。
その手間が愛を育むって言ったのは公式だっけ? 皮肉だったっけ?
放置系が流行るご時世に何やってるんだって自分でも思ったけど……サポートキャラがねー。
いや、恋愛面のサポートじゃなくて、マップの例でいうなら「どっちに向かう?」って聞いてくれるキャラ。やたら美形だけど非攻略対象……というか黒子扱い。でなきゃストーカーだしリアルに考えると。
とにかくそれが好みで、選択肢がある限り画面にいてくれて、瞬きしたり、表情が変わったり、妙に芸が細かかったり、放置してると雑談始めたり、ついでにゲームやりすぎて何かに遅れたりしないようちょっとしたスケジュール管理とか寝落ちした時用に起こしてくれたりしてさー……推しの「おはよう」の破壊力ときたら。
とにかくそのキャラ会いたさにやってたらいくつかエンディングも見たというわけ。
……うん、ストーカー気質はあたしの方にあるかもしれない。
というわけだから、そのゲームの悪役令嬢に転生してたと知ったときには絶望したね。
殺されるの決定だからじゃないよ。推しに絶対会えないのが決定したからだよ。
脇キャラでもモブでもそれなら一目でも会えるかもって希望があるけど、推しはこういうとあれだがヒロインの脳内に存在してる訳で。
そりゃあたしがヒロインだったとしても脳内だけど。
脳内でよけりゃ今からでも存在させとけって思うかもしれないけど。
画面見てるのとある意味変わらないかもしれないけど。
正直将来の破滅より絶望した当時五歳。
てか、こんな世界いっそ滅亡してもいいかもなぁ。
とかやさぐれつつもなんとなく生きてたら破滅フラグの第一歩学園入学前の婚約が近づいて来まして。
えーっと、殿下の側近の侯爵家の長男だっけ? ふつー、共通悪役令嬢の婚約者とかって殿下じゃね?
などと思いつつ顔合わせをする事になったけど……なぜか複数候補がいて選んでもいいらしい。
豪華だな悪役令嬢、まるでヒロインみたーい、キャッ。
…………まぁ、どうせゲームと同じ人選ばなきゃならないだろうからどうでもいいわ。執着しすぎた結果ってルートがあった気がするけど、ぶっちゃけ好みじゃないんだけどどうしよう? むしろ嫌い。
とか投げやりに思っていられたのは候補の中に推しの姿を見つけるまでだった。
え、なんでヒロインの脳内以外に存在してるの? 幻? 偽物? ゲーム内あれだけサポート以外出番なかったのに?
そう戸惑いつつも秒で婚約を申し込み……かけたのを最後の理性が押しとどめた。
いやだからこの世界魔王いるんだよね? で、負けるとかすると世界滅ぶんだよね?
で、魔王って悪役令嬢が恋愛とか成績とか評判とかの嫉妬によりヒロインに意地悪して断罪されて、破れかぶれで喚び出したから学園に来る訳で。
喚んでたから来はしたものの、別に魔王って悪役令嬢に従う訳じゃないから悪役令嬢を殺してから、ヒロインと出会うんだけど。
ここであたしが推しを選んで婚約して未来が変わったとする。
いや、推しが存在していると分かった以上、もう世界の滅亡とか望まないので何があっても魔王を呼び出すつもりはなくなったから、すでにある意味未来変わってるんだけど。
ただ悪役令嬢が魔王喚ばなかった場合……タイミングの問題かもしれないけど、コムスメの戯言で出てくるような魔王を野放しにする可能性が高いって事で。
どうにかしてヒロインと出会って恋に落ちてくれればいいけど、そうじゃないなら推しの安全がヤバい。
だったらここはゲーム通り件の婚約者選ぶべき?
あー、けどそれでも確実に倒せるとは限らないんだっけ。
……もしや、自分で倒せるようになるのが一番確実だったり?
もし出来たとしてもここで推し選んで大丈夫とは限らないよね、巻き込んだら危ないし。
どうすればいいんだろう?
なんでヒロインじゃないのに悩むことになってるのかなぁ?
それは、乙女ゲームに転生したからといって変わらない。
……違う意味で選択の連続だったなぁ、この乙女ゲーム。
ゲームとしては中世ヨーロッパ風恋と魔法の学園物というよくあるシロモノで、プレイヤーキャラは突然魔力に目覚めた平民の特待生。
先輩後輩同級生先生や王子様、そして隠しキャラの魔王と恋に落ちたり落ちなかったり、学園から落ちこぼれたり落ちこぼれなかったりするゲームである。ちなみに魔王は恋に落ちる場合を除きラスボス。
で、繰り返すが選択肢が多い。
そこ、会話で好感度の上下とか普通じゃね? とか思っただろ。行き先で会えるキャラ変わるのとか当然じゃね? とかも。
確かに行き先で会えるキャラが変わるのは分かる。
けどさ、選択肢が「教室」「中庭」「カフェ」とかなら分かるよ?
なんで「まっすぐ」「右」「左」とかで選ばなきゃならない訳?
しかも一回で目的地につかないから右だの左だの選ぶの繰り返さなきゃならないし、同じところをぐるぐる回ってても分からない、オートマッピングどころか地図とかもなく、当然一度着いたら次からは自動で行けるとかって親切もなし。
マップ手作りするのをお勧めって何十年前のRPGだよ言ってみろ、道は重要なとこ以外グラフィックかなり使い回すから覚えられないんだよ。
……まぁ、万事が万事この調子で。そのうち有志が作った地図がネットに上がったけど、初期はほんとーに苦労した。
それ以外にも、攻略キャラとの会話でもこれパラメーターに関係ないだろ的なのとか、着られる服の数とか、選択肢がやったら多くてさー。
その手間が愛を育むって言ったのは公式だっけ? 皮肉だったっけ?
放置系が流行るご時世に何やってるんだって自分でも思ったけど……サポートキャラがねー。
いや、恋愛面のサポートじゃなくて、マップの例でいうなら「どっちに向かう?」って聞いてくれるキャラ。やたら美形だけど非攻略対象……というか黒子扱い。でなきゃストーカーだしリアルに考えると。
とにかくそれが好みで、選択肢がある限り画面にいてくれて、瞬きしたり、表情が変わったり、妙に芸が細かかったり、放置してると雑談始めたり、ついでにゲームやりすぎて何かに遅れたりしないようちょっとしたスケジュール管理とか寝落ちした時用に起こしてくれたりしてさー……推しの「おはよう」の破壊力ときたら。
とにかくそのキャラ会いたさにやってたらいくつかエンディングも見たというわけ。
……うん、ストーカー気質はあたしの方にあるかもしれない。
というわけだから、そのゲームの悪役令嬢に転生してたと知ったときには絶望したね。
殺されるの決定だからじゃないよ。推しに絶対会えないのが決定したからだよ。
脇キャラでもモブでもそれなら一目でも会えるかもって希望があるけど、推しはこういうとあれだがヒロインの脳内に存在してる訳で。
そりゃあたしがヒロインだったとしても脳内だけど。
脳内でよけりゃ今からでも存在させとけって思うかもしれないけど。
画面見てるのとある意味変わらないかもしれないけど。
正直将来の破滅より絶望した当時五歳。
てか、こんな世界いっそ滅亡してもいいかもなぁ。
とかやさぐれつつもなんとなく生きてたら破滅フラグの第一歩学園入学前の婚約が近づいて来まして。
えーっと、殿下の側近の侯爵家の長男だっけ? ふつー、共通悪役令嬢の婚約者とかって殿下じゃね?
などと思いつつ顔合わせをする事になったけど……なぜか複数候補がいて選んでもいいらしい。
豪華だな悪役令嬢、まるでヒロインみたーい、キャッ。
…………まぁ、どうせゲームと同じ人選ばなきゃならないだろうからどうでもいいわ。執着しすぎた結果ってルートがあった気がするけど、ぶっちゃけ好みじゃないんだけどどうしよう? むしろ嫌い。
とか投げやりに思っていられたのは候補の中に推しの姿を見つけるまでだった。
え、なんでヒロインの脳内以外に存在してるの? 幻? 偽物? ゲーム内あれだけサポート以外出番なかったのに?
そう戸惑いつつも秒で婚約を申し込み……かけたのを最後の理性が押しとどめた。
いやだからこの世界魔王いるんだよね? で、負けるとかすると世界滅ぶんだよね?
で、魔王って悪役令嬢が恋愛とか成績とか評判とかの嫉妬によりヒロインに意地悪して断罪されて、破れかぶれで喚び出したから学園に来る訳で。
喚んでたから来はしたものの、別に魔王って悪役令嬢に従う訳じゃないから悪役令嬢を殺してから、ヒロインと出会うんだけど。
ここであたしが推しを選んで婚約して未来が変わったとする。
いや、推しが存在していると分かった以上、もう世界の滅亡とか望まないので何があっても魔王を呼び出すつもりはなくなったから、すでにある意味未来変わってるんだけど。
ただ悪役令嬢が魔王喚ばなかった場合……タイミングの問題かもしれないけど、コムスメの戯言で出てくるような魔王を野放しにする可能性が高いって事で。
どうにかしてヒロインと出会って恋に落ちてくれればいいけど、そうじゃないなら推しの安全がヤバい。
だったらここはゲーム通り件の婚約者選ぶべき?
あー、けどそれでも確実に倒せるとは限らないんだっけ。
……もしや、自分で倒せるようになるのが一番確実だったり?
もし出来たとしてもここで推し選んで大丈夫とは限らないよね、巻き込んだら危ないし。
どうすればいいんだろう?
なんでヒロインじゃないのに悩むことになってるのかなぁ?
10
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
過程をすっ飛ばすことにしました
こうやさい
ファンタジー
ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。
どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?
そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。
深く考えないでください。
ざまぁされるための努力とかしたくない
こうやさい
ファンタジー
ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。
けどなんか環境違いすぎるんだけど?
例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。
作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。
中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。
……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
宝箱の中のキラキラ ~悪役令嬢に仕立て上げられそうだけど回避します~
よーこ
ファンタジー
婚約者が男爵家の庶子に篭絡されていることには、前々から気付いていた伯爵令嬢マリアーナ。
しかもなぜか、やってもいない「マリアーナが嫉妬で男爵令嬢をイジメている」との噂が学園中に広まっている。
なんとかしなければならない、婚約者との関係も見直すべきかも、とマリアーナは思っていた。
そしたら婚約者がタイミングよく”あること”をやらかしてくれた。
この機会を逃す手はない!
ということで、マリアーナが友人たちの力を借りて婚約者と男爵令嬢にやり返し、幸せを手に入れるお話。
よくある断罪劇からの反撃です。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる