ご令嬢は異世界のPCライフを楽しみたい為に、辺境伯爵のお飾り妻になります。

花かつお

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後編

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  ◇◇後編



 皆様、ルイナアリアテーゼ・アスタリスクです。お飾りの妻となり、あれから、三年は経ちましたわ。


 辺境伯の旦那様は国を守る為に朝も早くから
 お出かけして夜遅くに帰ってきます。
 忙しい時は、仕事場で、お泊まりしてるようで中々、家に帰れない日も多いですの
 本当に仕事が多忙な為にわたくしに構う時間が無いのですわ。


 何て理想的な夫なんでしょう。そんな素敵な旦那様を見かけたら、つい拝んでしまいます。 ありがたや、ありがたや。


 わたくしは、領地に引っ越した一年目は、自室で楽しくネット見放題ライフをしながら、オーリーにパソコンで
 領地の事を検索するよう言われたので検索すると、領地の北にある森は珍しい魔物や高級素材がある森のダンジョンでした。

 オーリーが森の中にセイフティエリアなど休憩所を設置して初心者でも安心して素材を採取できるようにすれば、このアスタリスク領の寂れぎみの冒険者ギルドが盛り上がるとアドバイスされたので、ギルドの隣に移転の魔方陣など設置した建物も建てました。

 これで人々がアスタリスク領に気軽に足を運ぶ事ができるようになり冒険者ギルトは、今では沢山の冒険者達が来るようになりました。

 ちなみに転移陣の利用には料金を頂いております。理由は転移の魔方陣を設置した建物の維持費など必要経費を賄う為と、なるべく転移陣は遠くの方に利用して欲しいので、近くの方は、乗り合い馬車や新しく地球の知識を参考にして作った魔力バスでの移動をお勧めしております。

 そういえば、最近の王都の噂を聞きました。
 何でも貴族が住む家に「悪役令嬢いねがー」と叫んで勝手に侵入するピンク頭の女の集団がいるそうです……

(……しばらく王都には近づかないように致しますわ。)


 そして……


 わたくしは、ただ今ある方の頼みで手にいれた穀物を料理して、こちらで作ったお茶碗にその穀物を盛り、カトラリーには地球の日本で使うお箸をこちらも作ってご用意し、それを今か今かと待ち望んでいる方の前に置きました。


「お待たせしました。マリー様これがこちらのオコメサマでございますわ。味を確かめる為に最初はお塩で頂いてくださいませ」


「きゃーっすごいわ、ルイちゃんがお米の植物ならこの世界にあるって言ってたけど、本当だったのね、もう我慢出来ないわ、いただきまーす。これよっこれっモチモチとした柔らかい正に前世で食べたお米いえ、お米様よーはあ、塩味だけでも満足。し、あ、わ、せ」


 ただ今、物凄く喜んでオコメサマを食べてるのは我が国の女王陛下こと、マリーロッテ様です。
 何とマリー様は前世、地球の日本人の異世界転生者なのです。
 マリー様が転生者と知ったのは、国立図書館の勉強室で誰もいないと思ってパソコンを取り出して使っている所を見られたのが切っ掛けでした。

 最初は、わたくしも転生者かと思われましたが魔方陣の勉強した時にたまたまパソコンを召喚できたと言ったら

 マリー様は

「パソコンを地球から召喚したですって!?はあ、ある意味さすが、天才魔術師令嬢ルイナアリアテーゼ 納得だわ」

 とおっしゃっていましたが、天才魔術師令嬢って?不思議に思っていると

『マスターの事です。マスターはこの世界では、ドラゴンや魔族についで、かなり高い魔力を持ってます。そして、ボクを召喚してから魔術のレベルがもうSクラスを突破して、今ではトリプルSSSレベルになっています。だから天才魔術師なのです』

「えっオーリー、そうなの!?トリプルって!」

『はい、そうです。だからマスターは自分の好きな所に転移魔方陣を設置できるし、パソコンを使って様々な魔術を考案して使えるのです』

 その時、わたくしは、はじめて自分の実力の事を知ったのです。


 ◇◇


「はあっご馳走さま、美味しかったーっまさか、ドラゴンが棲んでると言われる土地にお米や、味噌と醤油が売ってるなんて、びっくりだわ!それってこっちのネット検索で知ったのよね、相変わらずルイちゃんのパソコン、オーリーはチートねっ」

「何でも、ドラゴン族は番様を探す為に世界中を巡り、それでも見つからない場合は、異世界にまで行くみたいです。そして、番様の故郷の食材を持ち込んだり、作ってるそうです。けど異世界に行き来できるのは、ドラゴン族のような高い魔力を持ってないと簡単には異次元の壁を越えるのはむずかしいみたいです。マリー様」

「そうなんだー残念!もし行けたら地球に遊びに行きたかったわ」

「はい、マリー様、わたくしもパソコンから見るだけじゃなく異世界に行ってみたいです」


 わたくしとマリー様が楽しくお喋りをしていたら


「ルイナ、また勝手に領地から抜け出してーー
 っそこにおられるのは陛下!」

「あら、アスタリスク卿、ちょうど良いときにいらしたわね。ルイちゃんが私の為に遠いところから、持って来てくれた食材で作ってくれたルイちゃんの手料理、あなたも食べる?」

「くっルイナが作った手料理だと、食べるに決まってます。陛下」

 
 旦那様が何故か悔しげに陛下に返事をしてますが困ったことに、オコメサマは先程、陛下が御代わりした分で終っていたのです。


「ごめんなさい。旦那様、作った料理は先程で無くなってしまいましたので少しお時間を頂ければ、また新しくお作りします。あっ作るのは旦那様のお好きなチーズハンバーグでいいかしら?」

 わたくしがそう言うと旦那様は、ちょっと困った顔をして

「ああ、それでいい」

「わかりましたわ、しばらくお待ちください。旦那様」



 えっ仕事で忙しい旦那様とわたくしが、なぜ、あんなに親しく打ち解けているのかって、

 それは去年、アスタリスク領地に我が国を狙う二つ隣の国が魔物を使った
 スタンピードが起きたのです。

 オーリーの緊急事態アラームが鳴り、旦那様がいる場所が危ないと言われて、わたくしは、そこに移転して旦那様達を助けに行ったのですが……

 魔物達のスタンピードが終った後、わたくしは、旦那様に説教されました。

 それは、わたくしが最後に大量の魔力を使ってスタンピードした
 沢山の魔物の群れを二つ隣の国に転移させ、そしたら急激な魔力切れを起こし、 倒れた姿を見た旦那様がわたくしの事を心配のあまり、思わず説教してしまったそうです。

 後から旦那様が助けに来てくれて、ありがとうと感謝されました。
 それが切っ掛けになって、わたくし達は前より話すようになったのです。

 そして、貴族のご令嬢のわたくしが料理ができるのはネットの料理を作る動画を見ていて、わたくしも作りたいと思ったのでダメもとで旦那様に尋ねると興味があれば作ると良いとおっしゃって
 くれたので、料理人に教えて貰いながら異世界のレシピで料理を作ってみました。

『マスターせっかくだから旦那様にも食べて貰いましょう。地球の美味しいご飯を、えっ自信がないって、マスター大丈夫です。アスタリスク卿は死ぬほど食べたいと思ってますから』

 オーリーがそう、言ってくれたので、わたくしが作ったチーズハンバーグを召し上がって頂きました。旦那様は美味しいと褒めてくれてましたのとっても嬉しかったですわ!!

 それから、チーズハンバーグが旦那様のお好きなメニューになるとは思いもしなかったですけど

( 改めて思うと、わたくしには勿体無いぐらいの旦那様ですわ。)

 そう思いながらわたくしは厨房に向かうのでした。



 ◇◇◇◇


「アスタリスク卿はチーズハンバーグがお好きなのねえ……。以外と子供舌かコノヤローああっもう本当なら私の息子の嫁にしたかったのに、けど、ルイちゃんが一生のお願いって王都から離れた貴族と結婚したいとウルウルおめめでお願いされたら叶えたくなるじゃない。だからルイちゃんの事を興味持たなそうな仕事人間の偏屈辺境伯を紹介したら、まさかトントン拍子に婚約して気づいたら結婚してるし、けど、ルイちゃんがいつでも王都に帰りたいと言ったら、辺境伯との結婚を無効にして、再度うちの息子との婚約を進める計画だったのに!!まさかアスタリスク卿がルイちゃんを好きになるなんて、予定外よ!あなたもこの結婚は清い結婚で良いって言ってたクセに手のひら変えて、確かにルイちゃんは可愛いし、がんばり屋さんだし、ってちゃんと聞いてる?アスタリスク卿」

「女王陛下、おっしゃってる事の半分以上は支離滅裂で意味がわかりません。大体、私が仕事人間になったのは陛下の指示がおかしいからです。今この国全土の国防を、私一人で全責任を担ってるから、仕事が終わらないんです」

「だって、辺境の英雄様を全責任者したほうが手っ取り早いと思ったから、あなたに任せたのよね。一応、忙しいあなたの為に、軍の連中に、何人か各地の責任者になれる人材を出せとは、言ってるんだけどねえ~中々、決まらないのよ。
 あっ、さっきの貴方達、見ていて結婚当時より話すようになったと思ったけど、まだまだコミュニケーション不足ね。ルイちゃんってば、たまに自分の事“お飾りの妻”ですって私に言ってるわよ♪」

「ーー!?何っお飾りの妻だと、私はそんな事一度も言った事はないのに、なぜだ。ルイナ………」

「アスタリスク卿、それは、本人が勝手にそう思い込んでおバカな事を言ってるのよ。そこら辺、ちゃんと話し合わないとダメよ~あとルイちゃん以外と鈍感だからあなたの気持ちをちゃんと伝えなきゃ、わからないわよ~」

「……わかりました。陛下、ルイナにはちゃんと私の妻だと分からせましょう」



 御二人がそんな会話をしてるとは知らず
 わたくしは旦那様の為に厨房でチーズハンバーグを作っておりました。


 ◇◇◇◇


 そうして、わたくしは、近々、
 お飾り妻から、“愛され妻”になるようです。




 END 
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