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41 理由①

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 そして、別れの挨拶を済ませ、私たちに手を振ってくれるオフィーリア様に振り返し、言葉すくなに道を歩いて移動した。私がここまで使った馬車はもう帰してしまっているらしく、近くに停めてあったジョサイアが乗って来た馬車へと乗り込んだ。

 隣に座っているジョサイアは、いつになく緊張しているようで何も言わない。

 こうして黙っている彼は、整った横顔を見ていると、ため息が出てしまうくらいに素敵だし、黙って鑑賞するには、ちょうど良い男性なのかもしれない。

 けど、ジョサイアと結婚をして、ついさっき今までの何もかもを覆されるような真実を知ることになった私は、彼には聞きたいことがたくさんあった。

 そうよ。彼が何故ここに居るのかも、わからない。

 馬車がすべるように走り出した時に、ここで黙っている訳にはいかないと決意して切り出した。

「ジョサイアは、私と結婚を望んでくれていたから……叔母に私を紹介して欲しいと、頼んでくれたんですね」

 こちらを見たジョサイアは、私が先に話し出したことに、とても驚いた様子だった。

 初めて会った時も思ったけど、ジョサイアは私と話す時……いつも、緊張しているんだわ。

 だから、言葉を選んで話そうとしていたの?

 ……良くあるような社交辞令で、人を褒めること自体は簡単だと思う。私だってなんとも思っていない相手になら、別にそれが失敗したとしても、その後どう思われようが、どうでも良いと思うもの。

 けど、それが……もし、絶対に失敗したくない相手だったとしたら?

「そうです。レニエラはオフィーリアに、全部聞いたんですね」

 ジョサイアはそれ自体は、そうだろうと思って居たんだと思う。どこか噛みしめるようにして言った。

「……ごめんなさい。私、今思うと、ジョサイアが何かを言おうとするたびに、先回りして聞かないようにしていたわ」

 ジョサイアは顔合わせで初めて会った時から、私に何かを伝えようとしていたと思う。

 けど、私はそれを敢えて、見ない振りをした。

 何も言わなかったのは、真面目な彼がどう言うべきかと言葉を選んでいたからだと、今では理解出来るけど……私はあの時に、彼には愛する人がいると思い込んでいた。

 そもそも、自分一人で生きて行くつもりだったし、もう二度と傷つきたくはなかったもの。

 だから、先回りしてこうだろうと決めつけた。

 オフィーリア様は、ジョサイアが自分に向き合わなかったと怒っていたけど、私だってジョサイアの居る方向へ向いてもいなかったので、彼だってそれから何も言えなかったに違いない。
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