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43 理由③

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「君とのことは、絶対に失敗したくない。だから、何度も説明することを躊躇いました。逃げ出したオフィーリアのことを気にしていることを知っていたので、時間を置いて、レニエラに次第に惹かれて好きになったとするべきかと……」

「……私のことを好きなのに、オフィーリア様と結婚しようとしたのなら、どちらにも不誠実でしたね」

 けど、それは女性側から見た場合だ。爵位を継ぐ役目のあった彼にも、きっと言い分はあるはず。

「それには、何の言い訳も出来ません……幼い頃に婚約したからには、責任を取り結婚しなければと考えていました……今思えば、オフィーリアは普通ならば有り得ないような贅沢な要求をして、僕がどうする試していたんですね。自分に向き合って、話をするかどうか」

「あの……私は二人の気持ちが、わかります。貴族として親に決められた婚約を果たそうとしていたジョサイアも、他の人が好きなのなら、自分と向き合って話をすべきだと言っていたオフィーリア様も」

 ジョサイアは私のことが前から好きだったらしいけど、私は顔合わせまで彼から話しかけられたことも手紙も貰ったこともない。

 つまり、今日まで彼から好意を向けられているなんて、知る由もなかった。

 だから、ジョサイアは想いを自分の心の中に収めていただけだ。本来ならば、誰にも咎められることのない恋だった。

 私のことを胸に収めたままで婚約者だったオフィーリア様と結婚しようとしたジョサイアは、ある意味では、誠実な人でもあったのだ。

 けど、あまり保守的な貴族とは言えない考えを持つオフィーリア様の目には、それが不誠実に映ってしまっただけで。

「オフィーリアには、悪いことをしました。彼女が怒っていることはわかっていたのですが、何を怒っているのかがわからずに、多忙を言い訳に彼女に言われるがままにしました。そういう意味では、僕が間違えていたんだと思います」

「あの……ジョサイア。私のことを、いつから好きだったんですか?」

 一番に気になっていたことを聞けば、彼は目に見えて狼狽し顔は真っ赤になってしまった。
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