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02 限定
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「ええええ……まじか。グウェンって、そういう……羞恥プレイが好きなの?」
ラッキースケベの相手である案内人役のお兄さんについて熱く語る私に、完全にドン引きしている様子のソフィアは、微妙な表情をしつつ目の前にあったコーヒーをスプーンで掻き混ぜた。
「そそそ、そういう訳じゃないよ! けど、あのお兄さんだったら、結構なんでもありなのかもしれない!! あのお兄さんだけの限定だけど!!」
「……ええええええー……いや、私だってさ。ある程度の期間男女交際した後に、そういった大人な行為に二人が辿り着くのは、理解出来るよ。けど、グウェン……名前も知らないくらいの関係性で、そういう犯罪行為スレスレの悪戯した男に、興味抱くってヤバくない?」
ソフィアの言う事は、確かにもっともだ。
私だって、好みの顔と言えどお兄さんが私の胸やお尻に触れるたびにいやらしい顔つきで、息を荒げていたなら「この人、犯罪者です!」とキリッとしてダンジョンツアー運営側に当然のように訴えていたはずだ。
「え。けど、お兄さんはそういう体勢になってしまうの本当に不本意って感じで、胸触っても揉む訳でもなく一瞬だけよ。それは、本当にそう思ってるっぽかったもん。最初は仏頂面だった顔が、どんどん赤くなってきて可愛かったし……はー……また会えないかなー。ソフィア。どうやったら、あの人に会えると思う?」
私は最後に息も絶え絶えになりながら洞窟ダンジョンの案内役をしてくれたあの冒険者のお兄さんに、出来ればもう一回会いたかった。
えっちなハプニングが起こるたびに赤くなっていって、最後にはゆでだこみたいに真っ赤な顔になってたのも、ほんとーうに可愛かったし。
けど、洞窟ダンジョン体験ツアーはキャンセル待ちも何ヶ月待ちという大人気コースだし、案内役の冒険者は、多分その時期に暇だったから適当に引き受けてくれた程度の人だろう。
しかも、お兄さんはツアーが終わって逃げるように帰ってしまったので、名前も何もわからないままなのだ。
「え。グウェン。それって、病気じゃん……ヤバいじゃん。名前も知らないのに、どうにかしてでも会いたいって……完全に恋の病じゃないの?」
「嘘。これが、恋なの? そうなんだ……私、あのお兄さんに恋してるんだ……すごい」
この前成人しといてなんなんだけど、私は村で一緒に育った幼馴染連中のガサツな男の子に何の興味も持てず、恋愛の「れ」の字も経験出来てない。
だから、これがいわゆる私の初恋だということになるのかもしれない。
「てか、暗い洞窟の中で、えっちなことされてドキドキしたのを、なんか勘違いしてるかもしれない……よね?」
私と同じように、村の男衆には興味を持てなかったソフィアは、なんとも言えない顔をしている。
ラッキースケベの相手である案内人役のお兄さんについて熱く語る私に、完全にドン引きしている様子のソフィアは、微妙な表情をしつつ目の前にあったコーヒーをスプーンで掻き混ぜた。
「そそそ、そういう訳じゃないよ! けど、あのお兄さんだったら、結構なんでもありなのかもしれない!! あのお兄さんだけの限定だけど!!」
「……ええええええー……いや、私だってさ。ある程度の期間男女交際した後に、そういった大人な行為に二人が辿り着くのは、理解出来るよ。けど、グウェン……名前も知らないくらいの関係性で、そういう犯罪行為スレスレの悪戯した男に、興味抱くってヤバくない?」
ソフィアの言う事は、確かにもっともだ。
私だって、好みの顔と言えどお兄さんが私の胸やお尻に触れるたびにいやらしい顔つきで、息を荒げていたなら「この人、犯罪者です!」とキリッとしてダンジョンツアー運営側に当然のように訴えていたはずだ。
「え。けど、お兄さんはそういう体勢になってしまうの本当に不本意って感じで、胸触っても揉む訳でもなく一瞬だけよ。それは、本当にそう思ってるっぽかったもん。最初は仏頂面だった顔が、どんどん赤くなってきて可愛かったし……はー……また会えないかなー。ソフィア。どうやったら、あの人に会えると思う?」
私は最後に息も絶え絶えになりながら洞窟ダンジョンの案内役をしてくれたあの冒険者のお兄さんに、出来ればもう一回会いたかった。
えっちなハプニングが起こるたびに赤くなっていって、最後にはゆでだこみたいに真っ赤な顔になってたのも、ほんとーうに可愛かったし。
けど、洞窟ダンジョン体験ツアーはキャンセル待ちも何ヶ月待ちという大人気コースだし、案内役の冒険者は、多分その時期に暇だったから適当に引き受けてくれた程度の人だろう。
しかも、お兄さんはツアーが終わって逃げるように帰ってしまったので、名前も何もわからないままなのだ。
「え。グウェン。それって、病気じゃん……ヤバいじゃん。名前も知らないのに、どうにかしてでも会いたいって……完全に恋の病じゃないの?」
「嘘。これが、恋なの? そうなんだ……私、あのお兄さんに恋してるんだ……すごい」
この前成人しといてなんなんだけど、私は村で一緒に育った幼馴染連中のガサツな男の子に何の興味も持てず、恋愛の「れ」の字も経験出来てない。
だから、これがいわゆる私の初恋だということになるのかもしれない。
「てか、暗い洞窟の中で、えっちなことされてドキドキしたのを、なんか勘違いしてるかもしれない……よね?」
私と同じように、村の男衆には興味を持てなかったソフィアは、なんとも言えない顔をしている。
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