2 / 6
02 婚約者
しおりを挟む
ジェレミアが結婚前にどんな女性と付き合おうが、私と結婚することは、何年も前から決まっていて、私側の行動に何の文句も付けようがなければ、彼は決められた未来から逃げることは出来ない。
別のご令嬢と結婚したくても、私と結婚してから、何年も経ってからと言われるだろうし、一時の浮気心なんて何年もすれば冷めてしまう。
これまでに良い子の振りをして何も言わなかったのは、ジェレミアに嫌われたくないというだけの打算だ。
だから、ずっと何も言わずに黙っていた。
彼の婚約者として例え蔑ろにされていたとしても、ジェレミアのことがすごく好きだったからだ。
けれど、こんな……周囲に貴族が取り巻く中で、婚約破棄なんて言われてしまえば、そんな我慢も全部全部無駄だったと思い知った。
もう……私たちの婚約者としての関係も、これで終わりだわ。
私は手をぎゅっと握りしめて、これからを生きる覚悟を決めた。
ジェレミアの婚約者でなくなってしまうのなら、我慢せずに嫌われても別に構わないわ。
「……ああ。そうだ。ミレイユ。お前との婚約は、ここで破棄する。それで、良いんだな?」
眉間に皺を寄せたジェレミアに再度の確認をするように聞かれたので、私は王族に対する特別なカーテシーをして、彼の言葉に同意を示した。
……かしこまりました。私の唯一の王子様だった人。そして、これから元婚約者になる人。
これからは、私のしたかったことをするわ。
「この時を、待っておりました。ジェレミア様。これからは、断罪のお時間です。よろしいですわね?」
私がそう宣言した瞬間、ジェレミアの周囲に兵士を取り巻き、彼を両側から捕らえた。
王太子たる自分が、まさかそんな目に遭うなんて思っていなかったのか、ジェレミアはとても驚いているようだった。
私は冷静に、ジェレミアのことを観察していた。今ではもう、怒りも湧かない。静かな覚悟だけだった。
好きだった……すごく好きだったから、私以外の誰かと一緒に居るところを見て傷ついていた。
だからこそ、私はジェレミアを好きなままでいたくて、いつも息苦しいほどの嫉妬の気持ちに耐えなければならなかった。
けれど、もう好きでなくなっても良いと思えば、すごく楽だった。
ジェレミアを好きでなくて良いならば、彼に好きになって貰わなくても良い。
なんだって、私が言いたかったことを言える。
別のご令嬢と結婚したくても、私と結婚してから、何年も経ってからと言われるだろうし、一時の浮気心なんて何年もすれば冷めてしまう。
これまでに良い子の振りをして何も言わなかったのは、ジェレミアに嫌われたくないというだけの打算だ。
だから、ずっと何も言わずに黙っていた。
彼の婚約者として例え蔑ろにされていたとしても、ジェレミアのことがすごく好きだったからだ。
けれど、こんな……周囲に貴族が取り巻く中で、婚約破棄なんて言われてしまえば、そんな我慢も全部全部無駄だったと思い知った。
もう……私たちの婚約者としての関係も、これで終わりだわ。
私は手をぎゅっと握りしめて、これからを生きる覚悟を決めた。
ジェレミアの婚約者でなくなってしまうのなら、我慢せずに嫌われても別に構わないわ。
「……ああ。そうだ。ミレイユ。お前との婚約は、ここで破棄する。それで、良いんだな?」
眉間に皺を寄せたジェレミアに再度の確認をするように聞かれたので、私は王族に対する特別なカーテシーをして、彼の言葉に同意を示した。
……かしこまりました。私の唯一の王子様だった人。そして、これから元婚約者になる人。
これからは、私のしたかったことをするわ。
「この時を、待っておりました。ジェレミア様。これからは、断罪のお時間です。よろしいですわね?」
私がそう宣言した瞬間、ジェレミアの周囲に兵士を取り巻き、彼を両側から捕らえた。
王太子たる自分が、まさかそんな目に遭うなんて思っていなかったのか、ジェレミアはとても驚いているようだった。
私は冷静に、ジェレミアのことを観察していた。今ではもう、怒りも湧かない。静かな覚悟だけだった。
好きだった……すごく好きだったから、私以外の誰かと一緒に居るところを見て傷ついていた。
だからこそ、私はジェレミアを好きなままでいたくて、いつも息苦しいほどの嫉妬の気持ちに耐えなければならなかった。
けれど、もう好きでなくなっても良いと思えば、すごく楽だった。
ジェレミアを好きでなくて良いならば、彼に好きになって貰わなくても良い。
なんだって、私が言いたかったことを言える。
233
あなたにおすすめの小説
婚約破棄ブームに乗ってみた結果、婚約者様が本性を現しました
ラム猫
恋愛
『最新のトレンドは、婚約破棄!
フィアンセに婚約破棄を提示して、相手の反応で本心を知ってみましょう。これにより、仲が深まったと答えたカップルは大勢います!
※結果がどうなろうと、我々は責任を負いません』
……という特設ページを親友から見せられたエレアノールは、なかなか距離の縮まらない婚約者が自分のことをどう思っているのかを知るためにも、この流行に乗ってみることにした。
彼が他の女性と仲良くしているところを目撃した今、彼と婚約破棄して身を引くのが正しいのかもしれないと、そう思いながら。
しかし実際に婚約破棄を提示してみると、彼は豹変して……!?
※『小説家になろう』様、『カクヨム』様にも投稿しています
【完結】王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく
たまこ
恋愛
10年の間、王子妃教育を受けてきた公爵令嬢シャーロットは、政治的な背景から王子妃候補をクビになってしまう。
多額の慰謝料を貰ったものの、婚約者を見つけることは絶望的な状況であり、シャーロットは結婚は諦めて公爵家の仕事に打ち込む。
もう会えないであろう初恋の相手のことだけを想って、生涯を終えるのだと覚悟していたのだが…。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
【完結】溺愛婚約者の裏の顔 ~そろそろ婚約破棄してくれませんか~
瀬里@SMARTOON8/31公開予定
恋愛
(なろうの異世界恋愛ジャンルで日刊7位頂きました)
ニナには、幼い頃からの婚約者がいる。
3歳年下のティーノ様だ。
本人に「お前が行き遅れになった頃に終わりだ」と宣言されるような、典型的な「婚約破棄前提の格差婚約」だ。
行き遅れになる前に何とか婚約破棄できないかと頑張ってはみるが、うまくいかず、最近ではもうそれもいいか、と半ばあきらめている。
なぜなら、現在16歳のティーノ様は、匂いたつような色香と初々しさとを併せ持つ、美青年へと成長してしまったのだ。おまけに人前では、誰もがうらやむような溺愛ぶりだ。それが偽物だったとしても、こんな風に夢を見させてもらえる体験なんて、そうそうできやしない。
もちろん人前でだけで、裏ではひどいものだけど。
そんな中、第三王女殿下が、ティーノ様をお気に召したらしいという噂が飛び込んできて、あきらめかけていた婚約破棄がかなうかもしれないと、ニナは行動を起こすことにするのだが――。
全7話の短編です 完結確約です。
せめて、淑女らしく~お飾りの妻だと思っていました
藍田ひびき
恋愛
「最初に言っておく。俺の愛を求めるようなことはしないで欲しい」
リュシエンヌは婚約者のオーバン・ルヴェリエ伯爵からそう告げられる。不本意であっても傷物令嬢であるリュシエンヌには、もう後はない。
「お飾りの妻でも構わないわ。淑女らしく務めてみせましょう」
そうしてオーバンへ嫁いだリュシエンヌは正妻としての務めを精力的にこなし、徐々に夫の態度も軟化していく。しかしそこにオーバンと第三王女が恋仲であるという噂を聞かされて……?
※ なろうにも投稿しています。
【完結】婚約解消ですか?!分かりました!!
たまこ
恋愛
大好きな婚約者ベンジャミンが、侯爵令嬢と想い合っていることを知った、猪突猛進系令嬢ルシルの婚約解消奮闘記。
2023.5.8
HOTランキング61位/24hランキング47位
ありがとうございました!
婚約破棄させてください!
佐崎咲
恋愛
「ユージーン=エスライト! あなたとは婚約破棄させてもらうわ!」
「断る」
「なんでよ! 婚約破棄させてよ! お願いだから!」
伯爵令嬢の私、メイシアはユージーンとの婚約破棄を願い出たものの、即座に却下され戸惑っていた。
どうして?
彼は他に好きな人がいるはずなのに。
だから身を引こうと思ったのに。
意地っ張りで、かわいくない私となんて、結婚したくなんかないだろうと思ったのに。
============
第1~4話 メイシア視点
第5~9話 ユージーン視点
エピローグ
ユージーンが好きすぎていつも逃げてしまうメイシアと、
その裏のユージーンの葛藤(答え合わせ的な)です。
※無断転載・複写はお断りいたします。
他人の婚約者を誘惑せずにはいられない令嬢に目をつけられましたが、私の婚約者を馬鹿にし過ぎだと思います
珠宮さくら
恋愛
ニヴェス・カスティリオーネは婚約者ができたのだが、あまり嬉しくない状況で婚約することになった。
最初は、ニヴェスの妹との婚約者にどうかと言う話だったのだ。その子息が、ニヴェスより年下で妹との方が歳が近いからだった。
それなのに妹はある理由で婚約したくないと言っていて、それをフォローしたニヴェスが、その子息に気に入られて婚約することになったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる