まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え~もふもふ人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~

待鳥園子

文字の大きさ
99 / 152
第一部

しおりを挟む
「や。透子ちゃん、俺に何か言いたいことない?」
 その人が大きな音で手を叩くたびに星屑が舞った。これは、私の夢の中だ、と漠然と感じた。
「来てくれたんですね」
 私はぱちぱちと目を瞬かせてその人に焦点を合わせた。理人さんの兄である夢使いの久祈さんが早速来てくれたんだ。

「もちろん、透子ちゃんに呼ばれたからね。この前はごめん。俺は幼い頃から小夜乃には弱くてね……理人にもこってり絞られたよ」
 私は上を見上げた。今夜も星空には変わりないんだけど、今日は教科書に出てくるような天体が大きな模型のようになってパステルの色付けで空に浮かんでいる。これも私の深層心理だとしたらちょっと恥ずかしい。すごく可愛い光景だけど、子どもっぽくない?

「……妹さんを大事にしているんですね」
「そうだね、あの子は特に……可哀想な子だからね……すまない。理人と結婚しただけの君には何も関係のないことだとわかっているんだが」
 憂いを帯びた表情で久祈さんはキラキラした星を人差し指で押して、私の方へと導いた。星は私の周囲をくるくると回り出すと星空に帰っていった。

「……理人さんが傷ついているのは久祈さんには分かっているんですよね?」
「これだけ近くに居れば、そりゃあね。だが、それでも、小夜乃も可哀想でね……理人にはもう近付かないと約束させられているから、無理矢理持たされた夫達にも心を開かない。何も話さない有様でね、何か刺激になればと思って君の夢へと繋げてしまった」
 悔いるように頭を下げると私へと視線を合わせた。

「透子ちゃん、夢の中での対抗策を知りたいと言っていたが……」
「ええ。いつもいつも久祈さんに助けてもらうっていう訳にもいかないので、出来たら教えてもらいたくて。対抗策っていうか必勝法? ですかね?」
 私は真っ直ぐに久祈さんを見つめた。この人は頼めばきっと、助けてくれるだろう。でも、夫達のように私の絶対的な味方ではないと思った。

 次々に草原に星が落ちて来て、くるくるとダンスを踊る。
 まるで一緒に遊んでほしいとねだっている子供達のように。

「……それなら簡単だよ。君の夢の中では君が神様で王様だ。慣れたら……それこそ、君の夫達を自分の意思で出現させることも出来るだろうな」
 久祈さんは星達を楽しそうに見つめながらそう言った。

「もう一つだけ、教えてほしいことがあります」
「……どうぞ。俺に答えられることなら」
「死神って何ですか?」
 久祈さんはにっと笑うと、何かを言った。私は唇の動きだけを見て、どうしても、聞こえなくて眉を寄せた。


 一気に覚醒する感覚がして、はあっと息をつく。時計をみると真夜中だ。どうやらあの久祈さんが出て来た夢から、起きてしまったみたいだ。
 無理矢理……起こされてしまったのかもしれないけど。

「……透子? どうした」
 一緒に寝ていた雄吾さんは身動ぎをした私に気がついたのか、私のことを見て、首を傾げた。
 私はその大きな胸に寄り添って、呟いた。

「何でも。何もないです」
しおりを挟む
感想 53

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

蝋梅
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

残念女子高生、実は伝説の白猫族でした。

具なっしー
恋愛
高校2年生!葉山空が一妻多夫制の男女比が20:1の世界に召喚される話。そしてなんやかんやあって自分が伝説の存在だったことが判明して…て!そんなことしるかぁ!残念女子高生がイケメンに甘やかされながらマイペースにだらだら生きてついでに世界を救っちゃう話。シリアス嫌いです。 ※表紙はAI画像です

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーレムです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜

具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです 転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!? 肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!? その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。 そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。 前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、 「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。 「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」 己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、 結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──! 「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」 でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……! アホの子が無自覚に世界を救う、 価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...